社団法人日本歯科衛生士会副会長 相川敬子さん をお招きしての前編です。

  予防ケアのナビゲーター・歯科衛生
  ロズリン:相川さんご自身も現役の歯科衛生士で
  いらっしゃいますが、歯科衛生士とは、歯科業務の中
  でどのような役割を担っているのですか。

 相川:歯科医療に関わる職業には、大きく4つの職種
 があります。歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、
 歯科助手です。
 歯科医師はいうまでもなく歯科衛生士と歯科技工士は、
 国家試験による有資格者です。

歯科衛生士の三大業務は、歯科予防処置、歯科診療補助、歯科保健指導です
が、専門の知識と技術が必要です。
これに対して歯科助手は、受付業務や、治療に必要な器具や器材の準備と
いった介助的な業務を受け持っていますが、特に資格は必要無く、患者さん
の口の中に触ることはできません。

ロズリン:歯科衛生士になるにはどんな方法が?

相川:高校卒業後、専門学校、短大、四年制大学などで専門の教育を
受けてから、国家試験に合格後、免許を与えられます。
歯科衛生士の養成学校は、以前は1年制もありましたが、平成元年に指定規則
が一部改正され、2年制以上の教育になり、さらに平成17年には3年制以上
に改正されました。現在は5年間の移行期間中なので、平成22年度中には全て
の養成学校が3年制以上になります。
現在、4年制大学も5校に増えましたが、教育年限の延長も会の働きかけが
実を結んだものと考えています。

ロズリン:歯科治療の現場に長年関わっていらした中で、大きな変化と
いうと?

相川:私が歯科衛生士になりたての頃は、やはりむし歯の治療が中心でしたが、
この10~20年くらいの間に、歯周治療や歯科保健指導などにウエイトが置かれ
るように変わってきたと思います。また、10年くらい前からは、要介護の高齢者や、
病院の入院患者への口腔ケアに対する意識が高まってきました。以前は、どうし
ても身体のケアのほうが優先してしまい、口腔の健康管理まで手が回らなかった
んでしょうね。 重要性が認識されてきた点では、本当に大きく変わりました。



ロズリン:
かつての高齢者施設では、口腔ケアへの意識がずいぶん遅れて
いたと聞きます:|

相川:最近では、口腔内細菌や歯周疾患と全身の健康との関連が明らかに
なっていますし、高齢者の場合は特に、誤嚥性肺炎を予防する必要からも、
口腔ケアを重視しているはずです。そのために、歯科衛生士を常勤させる
施設も出てきましたし、歯科衛生士の活動の場が広がっています。

ロズリン:今、歯科衛生士さんの就職はどんな状況ですか。

相川:1948年に法律が制定され、当初は歯科予防処置が業務でしたので、
保健所に勤務していましたが、1955年に法律が改正され、歯科診療補助が
業務に加わってから歯科医院で働く人が増えていきました。今では、90%
が歯科医院か病院に勤務しています。その他は保健所や市町村の保健セン
ター、養成学校の教員、歯科関連企業での研究開発に携わっていたり、最近
では介護老人保健施設に勤める人も増えています。
この点も、大きな変化ですね。

常に勉強し、日々新しく
ロズリン:ご自身が、歯科衛生士の道を決意したきっかけは:**:

相川:何らかの、医療に関する職業に就きたかったんです。それも人と
コミュニケーションできるものを、と考えたとき、患者さんに直接指導
ができる歯科衛生士に決めました。もう30年以上経ちますが、この仕事
を選んで良かったと思っています。私の場合は同じクリニックにずっと勤
めていますので、10年、20年という長いお付き合いの患者さんもいらっ
しゃいます。

ロズリン:それは患者さんにとっても、すごく心強い存在ですよ:!!:

相川:そうですね。この職場で、やりがいを見出すことができたことは
幸運でした。やりがいが見つからないばかりに、この仕事を辞めてしまう人は
多いんじゃないでしょうか。

ロズリン:ご専門、あるいは得意な分野は。

相川:歯科医師の指導のもとで歯周治療に携わって、20年近くになります。
情報や技術は日々進歩しているので、常に勉強し、新しい知識を吸収し
て伝えていく努力はとても大切です。卒業して10年くらい経ったとき
に、再び勉強し直す必要性に目覚め、自分なりに自己研鑽してきました。
学会や、歯科関連企業が開催するセミナー、都道府県歯科衛生士会および
日本歯科衛生士会が開催する研修会など、探せば勉強の場はたくさんあり
ますから。専門職として学んでいく姿勢こそが、この仕事には欠かせません。

TVCMの貢献度とは
ロズリン:今、歯周病は若い層にも広がっているというデータがありま
すが。

 相川:中高年の80%以上は、歯周病に罹患して
 いるというデータがありますから、多いと思います。
 歯周病の怖いところは、初期は自覚症状が少なく、
 そのまま進んでしまうこと。初期の段階に発見し、
 治療すれば歯を失うことはありませんが、歯がグラ
 グラになってから初めて気づかれる方も多いのです。
 この段階では治療は困難になります。
 ただ最近は、テレビのCMなどで啓発しているせいか、
 定期的に検診を受ける人が増えるなど、意識は変わっ
                 てきていると感じています。

ロズリン:ある国際学会で印象的だったのは、「口腔ケアの教育に最も
貢献したのは、テレビCMである」という意見でした。にも関わらず、
なぜ歯周病は今こんなに多いのでしょう?

相川:中高年者の場合は、今の若い世代と違って、口腔ケアに関する指導
や教育を受ける機会がほとんど無かった可能性があります。
一方、10代から30代くらいの若い人は、情報はたくさん持っていても、
自分の意志で生活習慣を望ましく変えようというところまでは、なかなか
いかないようなんですね。「分かってはいるんだけど…」という。

ロズリン:
近年は、オフィスでも昼休みに歯を磨く人が増えました。
口腔ケアへの関心に男女差はありますか。

相川:中学や高校の男子生徒の場合だと、「歯を磨かないと、むし歯や歯周病だけで
なく口臭の原因になるよ」という方向で説明すると、一生懸命磨くようになりますね。
口臭については、男女を問わず敏感になるんでしょう。

ロズリン:歯を白くしたい、というニーズは?

相川:白い歯に憧れる気持ちは、やっぱり、女性のほうが圧倒的に強い
ですよ。でも、最近は男性からも白くしたいという要望が多くなりましたね。

相川先生へのインタビューの続きはまた次回。お楽しみに:hahaha: