社団法人日本歯科衛生士会副会長 相川敬子さん をお招きしての後編です。


 半世紀を経た今とこれから

 ロズリン:相川さんが副会長を務める、㈳日本歯科衛
 生士会とは、どういった団体なのですか。
 
 相川:47都道府県の歯科衛生士会と連携を図る全国
 組織で、1948年の発足ですから、ちょうど60年の歴史
 があります。
アメリカではもっと古くからありますが、アジアでは日本が一番長い歴史
があります。現在の会員数は、全国に1万6000人です。
私は、千葉県の歯科衛生士会長を経て現在に至りますが、両方の団体
の役員を兼任する人もいます。
 
ロズリン:研修制度など、教育にも力を入れているそうですね。
 
相川:生涯学習を奨励する立場から、研修会の企画・開催などにも積極
的です。平成18年には日本歯科衛生学会を設立し、歯科衛生の向上と
実践に根ざした学術研究の振興に努めています。

また、認定歯科衛生士制度を含む新たな生涯研修制度の実施に向けて
準備中です。 この制度は、過去の研修履歴を評価し、一定の基準を満
たした会員には、認定研修の受講資格が得られるというものです。
卒後の継続学習により、特定する専門分野において、水準の高い業務実
践に対応できる歯科衛生士を育成し、国民の保健、医療、福祉の増進に
寄与することを目的としています。
 
 ロズリン:海外に対しての交流や活動は?
 
 相川:世界20数ヵ国からなる国際歯科衛生士連盟
 (IFDH)に加盟してい
 ます。 3年に1度各国の代表者が集まり会議が行わ
 れ、同時にシンポジウムも開催されます。
 昨年、カナダのトロントで開催された会議とシンポジ
 ウムには、会長と私とで参加してきました。
 
ロズリン:発表される研究テーマはどういったものがありましたか。
 
相川:シンポジウムのメインテーマは、「Many Cultures of Dental Hygiene」
でしたが、それぞれが携わっている分野から出てくるので、内容は実に様々
でした。  
教育機関、歯科医院などなど…。各国の状況や交流の中から得た情報を
その後の業務に反映していけるので、参加の収穫は大きかったと思います。
 
多くの声を変革の原動力に

ロズリン:今、歯科衛生士が抱える問題は?
 
相川:現在、有資格者は20万人以上。実際に勤務している歯科衛生士
は約9万人います。そのうち、日本歯科衛生士会の会員になっている方は
約1万6千人です。
歯科衛生士の業務内容の充実、地位の向上のために
は、歯科衛生士全員が会員である大きな組織が必要です。
多くの声が集まれば、現状を変える大きな力になるのだという気持ちが大切
です。多くの人に入会していただき組織力を高めることです。
 
ロズリン:20万人の中には、せっかく資格を持っているのに仕事を辞めて
しまったケースもありますよね。
 


相川:
確かに昔は、結婚や出産を機に辞める人が多かったけれども、最近
は職場復帰する例もだいぶ増えました。

ただ、キャリアにブランクがあるせいで躊躇する人が少なくないので、そういう
人には、歯科衛生士会など勉強する場がいろいろあることを知ってほしいです。
また歯科医院だけでなく、介護の分野で復帰する人もいます。実際に家族を
介護した人などは、その経験を活かすことで貴重な人材になり得ますから。
 
ロズリン:まさに今、非常に高いニーズがある分野です。また、いったん
離れた人でも復帰しやすいよう、制度や環境を整えることも大切ですね。
 
メンテナンスはプロに聞こう

ロズリン:ご自身の、毎日の口腔ケアにおいて、こだわりはありますか。

相川:子どもの頃は、むし歯だらけだったんですけど…学校で正しいブラ
ッシングを覚えたおかげで、その後は苦労しなくなりました。あとは…
「一日1回は、十分に磨こう」というくらいかしら。
 
ロズリン:将来、歯科衛生士のお仕事をリタイアされたら、してみたい
ことは?
 
相川:歯科とは全く違う勉強を、改めてしたいと思っています。
例えば、大学時代に専攻していた日本史や、フランス語の勉強を再開した
いですね。今のところは、自分の時間がほとんど作れないので…。
 
ロズリン:歯周病などのトラブルを抱える人へのアドバイスを。
 
相川:自分ではしっかり磨いているつもりでも、実際には“正しく磨け
ていない”人は案外多いもの。歯科医院などで、プロから適切なケアの
指導を受けることがとても大事です。この先も何十年と生きていくこと
を思えば、理にかなっていますよね。疾患があっても早めに対処できま
すし、フロスや歯間ブラシなどの正しい使い方も教えてもらえますから。
普通のブラッシングにしても、ほとんどの人は力が強すぎるので、プロ
のチェックを受けることをお勧めします。
 
ロズリン:では最後に、若い歯科衛生士の方々へのメッセージを。
 
相川:私たちの仕事は、患者さんとの信頼関係の上に成り立つもの。
信頼を得るためには、常に研鑽し、専門職としての質を高めていく
必要があります。勉強し続ける姿勢を忘れないでください。


 
インタビューの感想
歯科衛生士はご活躍の範囲が思ったより広いですね。 
治療の責任も、歯に関する正しい知識普及の責任も担っています。
相川さんのように歯科衛生士の方々も力を合わせ、働く環境の向上
と勉強の機会ために、これからもがんばっていただきたいですね。