国際難民支援会(RIJ) 
 Refugees International Japan
 
 会長・CEO ジェイン ベスト さん 
 をお招きしてのインタビュー後編です。



真の自立のために必要なこと
 
ロズリン:RIJ ( 国際難民支援会 ) でのジェインさんの役割は?
 
ジェイン:私は資金集めは不得手なので、プロジェクトのディレクターを引き受け
      ました。

      以前のザンビアでの経験やコネクションを活かして、海外から入ってくる
      プロジェクト提案をスクリーニングして決裁したり、進行中のプロジェクト
      をモニタリングしたり。




ロズリン:最近のプロジェクトにはどういったものがありますか。
 
ジェイン:現在、年間2万5000ドル ( 約230万円 ) の寄付金、つまり少ない予算
      の範囲内で動いていますので、大きな組織では難しいこと、即ちソフトの
      部分にウェイトを置いています。

      例えば物質とか井戸とか、具体的なインフラを難民に供給するより、RIJ
      が支援するのはカウンセリングなどの心のケア、難民
キャンプを出た後
      に必要な生活技術のトレーニングを始めとする各種の教育などです。

      もうひとつの例は、ウガンダでの子供のランチプログラムです。

      難民人口の半分は子どもです。ウガンダでは、栄養不足が原因で情緒
      不安定な状態だった子どもたちが、学校があっても欠席したり、勉強しな
      いこともありました。
      
      給食プログラムを実施してからは目に見えてよくなったのです。














ウガンダで実施した給食の支給


     他に、心的外傷に対するトラウマのケアも重要ですし、遊びやスポーツ、
     ダンスなどを教えて、健康や衛生管理への意識、人間らしい心のゆとり
     を育む教育も行なっています。









難民にインタビューをする
ジェインさん



ロズリン:いずれも、人として生きていくうえで非常に大切なことですね。

ジェイン:女性の場合、例えばタイ北部のカレン民族のキャンプでは、新しい
      コミュニティづくりやメンタル面のケアに始まり、一人ひとりが自己主張
      しつつオープンになれるようなトレーニングをすることによって、自立支援
      を行なっています。

      平和が回復したとき、洋裁や美容師、調理師などの仕事を持つことで、
      女性が健全で安定した生活が送れるよう、技術指導や道具の提供を
      しています。

 
 カレン・キャンプ                 リビエラで洋裁を教える


ロズリン:頭では分かっていても手薄になりがちな女性の自立支援というテーマに、
      しっかりと向き合っているのは素晴らしいと思います。
 
ジェイン:難民は孤児も多いのですが、実は孤立した老人もとても多いんです。
      コミュニティが崩壊した上、家族と一緒の避難についていけず、はぐれて
      独りになってしまう。

      例えばシエラレオネを例にすると、家族が見つかるよう努力し、毛布や
      蚊帳を配給したり、生活のために市場で露店などを持てるようサポート
      しています。









 
 家族のもとに戻った老人



形の無いものを命ある行動に
 
ロズリン:最新のアニュアル・レポートによると、大手企業の協賛や、イベント
      企画など非常に多彩な活動をされていますね。



ジェイン:寄付による資金集めは、すべてボランティアの方々のご意志による
      もので、スタッフも精一杯がんばっていますが、十分な活動のため
      にはまだまだ足りません。

      イベントでは、例えばチャリティオークションは好評ですが、他と違う
      のは、単に楽しむだけでなく、プロジェクトを紹介して理解を促し、出資
      を募る点です。

      また毎年ウェスティンホテルで開催するテーブルセッティング展示会が
      人気で、二日間で2000人以上の来場者があります。

      ごちそうは出ませんが ( 笑 ) 、「 ここに毛沢東とマルクスを呼んで対談
      させる 」 とか、 「 このテーブルではこんな会話がなされる 」 など、作者
      が自由な発想で語るプレゼンテーションが面白いんですよ。



ロズリン:有名企業の協賛イベントも、徐々に増えていますね。
 
ジェイン: 「 難民の子供たちに光を 」 という募金キャンペーンは、一昨年までで
      20回開催された活動です。

      毎年12月、三菱地所の協賛で丸の内オアゾ1階に “ フェスティブツリー ” 
      と名付けたモミの木を配置し、ミニコンサートや展示などで活動内容をPR
      しました。

      残念ながら、色々事情があって同キャンペーンはこの20回目をもって
      一旦終了となりましたが、さらに新しいアイデアを盛り込んだ企画で再び
      お目にかかりたいと考えています。
 
ロズリン:これからやっていきたいことは。

 
 ジェイン:イベント収入に依存する現状から脱する
       ために、会員を今の3倍程度に増やす
       のが目標です。

       1年を1スパンとして、よりスムーズに
       プランを実行できるよう運用体系を整える
       ことも重要ですし、我々の側から直接、
       プロジェクトを企画提案していくスタイルも
       確立したいですね。
 
    そして教育。現段階では対象国や費用等、具体的には決まっていませんが、
    メンタルケアや女性の教育・自立支援などについて、形の無いものゆえの困難
    さは覚悟の上で、今後いっそう力を入れていくつもりです。


最高の仕事、最高の人生
 
ロズリン:もしリタイアしたら、住みたいのはどこの国?

  

ジェイン:タイに住むのもいいかな、と思っています。
      現時点ではやや政情不安ですけれど。
 
ロズリン:今もお住まいは東京ですか。
 
ジェイン:2年前、東京西部のあきるの市に引っ越しました。
      川がそばにあって、サイクリングコースも近いし、いい環境ですよ。
   
      ただ、実は古い家なので、シロアリにやられているし、修理が必要な箇所も
      たくさんあります。

      趣味は … あれこれやってみては、次のことに移るタイプなんですよね。
      焼き物をやってみたり、ロウソクを作ったり。

ロズリン:自然に囲まれ、楽しく暮らされるとはうらやましいです。
      ちなみに、最も幸せを感じるのはどんなときですか。
 


ジェイン:
私たちの支援が生かされた成果を見るのは、本当に嬉しいことです。

      若いときはとにかく現地での活動がしたかったけれど、いろいろ考えると
      今はこのライフスタイルが落ち着きます。
 
      昔の同級生は、ほとんどが今は優雅な暮らし。
      私にはそれはないけれど、手応えと刺激のある仕事で毎日が充実して
      いますから、何も不満はありません。

      たとえお金にならなくても、いつも熱意と志のある人たちに囲まれて、
      素晴らしい仕事に携わっている自分は最高に恵まれていると、心から
      感謝しています。


<インタビューの感想>

 少しでも助けになればと、私も様々な寄付やチャリティーイベントに参加する
 ことはあります。 

 でも実際に現地の最前線に赴き、自ら活動する中では、私達の想像も及ばない
 ような大変なご苦労があったと思います。

 その苦労を苦労と考えず、むしろ手ごたえがあり、充実した恵まれた環境であった
 と語られるジェインさん。

 世界には紛争や戦争による難民、また地震などで被災された方々など、問題を
 抱えた数多くの人々が存在します。 「 知らない 」 ということの恐ろしさを感じます。 

 インターネットなどが発達し、現地の状況が伝わりやすくなったとはいえ、厳しい
 状況や現地からの声を広く伝える、彼女のような方々の存在は、本当に重要です。