7月16日にアップした前編に引き続き、日本女子プロ将棋協会
女流棋士 中倉 彰子 さん をお招きしての後編です。


 女性の手で創る、未来の将棋スタイル
 
 ロズリン:女流棋士による日本女子プロ将棋協会(LPSA)に
 ついて、もう少し伺えますか。
 
 中倉:まだスタートしたばかりで、みんな無我夢中で走っている
 感じです(笑)。お蔭様で無事に二年目を迎えることができました。
 1周年記念パーティーにはロズリンさんにもご夫婦で出席くださり
 嬉しかったです。

組織としてはまだまだ未熟なので、課題は多くあります。 個性の強い人が多いので、
まとめていくのは大変ですね(笑)。
でも皆の長所を生かして、それぞれが活躍して輝けるようになりたいです。
人数が少ない分、フットワークが軽いので、今までの将棋界になかった新たなチャレンジ
を続けていきたいですね。
私自身失敗しても、新しいことにチャレンジするのが好きですから。

今年6月まで、私たち姉妹でネットラジオラジオBOXX」に番組を持ち、若い人に向け
て活動をPRしました。 メールでの質問など、反響があるのはうれしいですね。


イベントなどに参加しにくい地方在住の人とコミュニケーションできるのもメリットです。
今は一旦休止していますが、また再開する考えです。

またLPSAでは、女子児童が対象の「Girl’s Shogi Project(略称GSP)」で、指導の
ほかに大会やイベントの企画を通して、女の子が将棋に親しめる環境づくりに取り組ん
でいます。

女性の団体としても、この層を厚くすることはとても大切です。
また女性がおしゃれに将棋を楽しめる環境も目指しています。
 
ロズリン:オリジナルグッズなども、会のみなさんで企画を?
 
中倉:アイデア会議を開いて検討しています。メンバーの中に、デザインが得意な人が
いるんですよ。 「日めくり詰将棋カレンダー」や 「おしゃれな布盤・駒袋」 「駒の動かし方
手ぬぐい」、あと 「カラー扇子」 といってあざやか色の扇子に直筆でサインしたものなど
を販売しています。 お蔭様でどれも好評です。オンラインショップでご覧頂けます。

“我慢する”ことの大切さ

ロズリン:
現在、将棋を教わっている生徒さんたちはどんな方たちですか。
 
中倉:4歳からご年配の女性までと幅広いです。

小さい子でも、例えば漢字を模様として覚えれば、指せるようになります。私たちも
おはじきを使って駒の動きを示すとか、分かりやすい教え方を工夫しています。

子どもの教室はとても楽しいです。 将棋に向いている子は見ていて分かりますが、
みんながプロを目指すわけではありませんから、それぞれが心から楽しんで、将棋
を通して何かをつかんでもらえれば嬉しいなと思って教えています。
特に女の子は、他のことに興味が移りやすいのか、残念なことにすぐやめてしまう子も
多いので、男の子とは違う教え方が必要のように思います。
 
ロズリン:将棋は、頭のトレーニングという意味でも良いと言われます。



中倉:前頭葉をよく使うという点は、将棋を学ぶメリットとして保護者の方々にもアピール
しています。それと将棋は、“我慢する” という状況が多いんです。

居面が悪ければ、じっと我慢して自分に流れがくるのを待ったり、「勝ちそう!」と思っても
攻め急いでは駄目だったり。  “こらえ性” を育むのには効果的かも知れません。

対局中に「もういいや!」と切れては絶対に勝てませんから。 女性と男性を比べると、
女性のほうが積極的に攻める将棋が多いようで、そこは不思議ですよね。
 
ロズリン:教育用のテキストなどもお作りになったのですか。
 
中倉:子供向けの入門用DVDを準備中です。 構成や台本も一から検討しました。
制作コストはかけられないので、手作り感のある仕上がりですが(笑)。
他にもGSPの一環で入門用の盤駒やルールブックなどを準備しています。

海を越える、将棋だけが持つ深さと魅力

ロズリン:
最近は、将棋を海外に普及させる動きが盛んになりつつあると聞きます。

             
 中倉:そうですね。もともとはインド発祥のもので、東洋に伝わった
 のが、日本将棋や中国将棋・タイのマークルックなど。
 西洋に伝わったのがチェスに、と発展していきました。

 世界には100種類以上の将棋に似たゲームがあると言われています。
 でも「相手の駒を取って、それを自分の駒にして再び使える」というのは
 日本の将棋にしかないルールで、そこに興味を持って本格的に将棋を
 勉強するチェスの愛好家もいます。

ロズリン:どちらかというと囲碁のほうが、普及は進んでいる?

中倉:囲碁は世界中にプロがいるくらい層が厚いですが、将棋も「国際将棋フォーラム」が
開催されていて、海外から強豪が集まるようになりました。

また最近はネットを通じて対局できるので、将棋が広まる機会は増えました。 海外の人にも
もっと教えられたらと思って、英語も勉強しているのですが、どうもそちらのほうはなかなか…。

ロズリン:最後に、尊敬している人は?

中倉:1961年に初の女流プロ棋士として認められた、蛸島彰子さんです。
実は私の名前は、この方にあやかって父が付けました。 男性ばかりの中で、女流将棋界
を牽引してきた功労者です。

将棋の世界の良いところは、自由度の高さ。今後も、公式戦の対局やアマチュアへの指導
などをこなしつつ、新しい試みも楽しんでいけたらと思っています。
また女の子が夢と憧れをもって目指してくれる世界を目指して頑張りたいです。



インタビューの感想
 “男性の世界” という印象の強い将棋界で、女性だけの団体を立ちあげ、
プロ女流棋士としてチャレンジし続ける中倉さんを、応援したいと思います!
 前頭葉と戦略マインドの鍛錬の為にも、これを機会に私もあえて練習して
みようかと思います。