一般社団法人 盲導犬総合支援センター
   専務理事 森田 恭信 さん

  をお招きしての後編です!




犬は素晴らしきパートナー
 
ロズリン:いま、現役で活躍している盲導犬はどのくらいいますか。

 

森田:
現在、全国で約7,800人 ( 平成10年日本財団による報告より ) が
    盲導犬を希望しているのに対して、活動中の盲導犬は約1,000頭余りです。

    1頭が働くのは8年間ほどですが、引退後は新たなパートナー ( 盲導犬 ) と
    歩きますので、8年ごとに代替の犬を使うというパターンが定着しています。

    また、安全性を第一に考えると、盲導犬に向いていないと判断された犬を
    盲導犬として提供することはできません。

    それが盲導犬になる確率が3割~4割といわれるゆえんであり、頭数が
    伸びにくい原因の一つでもあります。

ロズリン:盲導犬になってから、盲導犬ユーザーにはすぐに慣れるものでしょうか。



森田:
もちろん最初から息が合うものではないようです。
    犬との歩行を訓練する共同訓練を約4週間行いながら信頼関係を
    築いていきます。

    ある人の言葉によれば、“ 犬は上書きしていく ” 性質の動物だそうです。
    それだけ順応性が高いので、徐々に呼吸が合っていくそうです。
 
ロズリン:視力を失ったときの孤独感や絶望は、想像がつきませんものね。




森田:私もたくさんの盲導犬ユーザーの方とお話をさせていただく機会がある
    のですが、中途失明者の方の場合には特に、明るい未来が閉ざされた
    という思いから目標や夢を見失ったりすることが少なくないようです。

    しかし犬がそばにいると、そんな気持ちを癒し支えてくれて、一緒に
    生きていけそうだという希望が持てるようになったという話も聞きます。



ロズリン:これこそ、犬が持つ計り知れないパワーですよね。

      街中で、盲導犬を連れた人を見かけたとき、対応に戸惑うことが
      ありますが。



 森田:本来、盲導犬はハーネスを着けている
     間は仕事中なので、他人が構っては
     いけないとされています。

     ですから、基本的には “ 温かく見守る ”、

     困っていらしたら
     「お手伝いしましょうか?」 とひと声かける
     のがいいと思います。





グローバル・ネットワークの波
 
ロズリン:森田さんは、ワーキングホリデーとしてオーストラリアに滞在された
      ご経験もおありとか。

      現地で、盲導犬の支援事業はご覧になりましたか?
 
森田:プライドを持って活動に臨んでいるな、と感じました。
    単に歴史が長いだけでなく、支援事業が一つのブランドとして社会に
    浸透しているんですよ。

    知名度としては赤十字やユニセフに並ぶくらい、民間の支援体制が
    充実していて、“ 協力 ” のレベルが違う。
    
    活動中の盲導犬は約3,000頭以上、自然環境も良くて、うらやましい
    ことばかりです。
 
ロズリン:これからは、海外との情報交換や交流がいっそう大切になりますね。
      まさに森田さんにぴったりなお仕事なのでは。
 
森田:実は私、理系の大学卒なんですよ。

    社会に出たのがちょうどバブル期で、最初はゼネコンの企業で現場監督
    なんかやってました。



ロズリン:えーっ、本当ですか?
 
森田:20年くらい前の話で、東京ビッグサイトの建設にも立ち会ったんですよ。

    あのころのお台場は本当にまだ何もなくて、ハエだけがいっぱい
    いましたね。
 

ロズリン:
その後、国際交流に目覚めた ( 笑 )?
 
森田:国が支援する国際交流世界青年の船事業に、1997年と2002年の
    2回、
参加しました。


          出航33日目  一番右が森田さん

    97年はアフリカから中東、シンガポールやハワイ、バンクーバーなどを
    65日間かけて回り、02年はオーストラリアやニュージーランドなどで
    45日間という船旅でした。

    日本人130名、総勢300名が一つの船でずうっと一緒に過ごすわけ
    ですから、対人スキルも磨かれますよ ( 笑 )。
 
 
熱き心で、とびきりの笑顔を
 
ロズリン:そして縁あって、今の世界に導かれました。
 
森田:元来の商売好きと、国際交流で培った海外のネットワークとスキルを
    活かして、社会に貢献できればいいなと。

ロズリン:私たちサンギは、10月に発売した新しいこども用歯みがき剤
       「 アパガード アパキッズ 」 に盲導犬のキャラクターを使用し、
      売上の一部を盲導犬育成へ支援します。

      今後は企業との積極的な連携を?
 
森田:企業や団体、個人を仲介する役割を果たしていけたらと考えています。

    また、障害者のためのケアハウスの運営や就職のあっせんなど、協会が
    できない部分のフォローアップ業務はたくさんあると思います。



    代表理事の高橋忠生は、かつて日産自動車の副会長であった頃から
    活動を支援していました。
 
    現在は、センターの事業をビジネスとして確立するために手腕を発揮する、
    頼もしい存在です。

    私も、事業に必要な理念やヴィジョン、在庫管理のノウハウなどについて
    指導を受けられたのは幸運でした。

ロズリン:足場が固まれば、活動のフィールドがさらに広がりますね。




森田:うちのTシャツは 「 着てると背中がアツくなるんだよ!」 と言う人も
    いて ( 笑 )、それだけでも認知効果は大だなと。

    ちなみに、日本のキャラクターグッズのデザインは海外でも受けがいい
    ので、それらを積極的に紹介していくことも計画しています。

ロズリン:
子どもたちへの教育・啓発活動などは?
 
森田:小学校で講習を実施するところが増えていますし、最近は夏休みの
    自由研究のテーマに選ばれて、質問や問い合わせが多いですよ。

    静岡の訓練施設は一般見学OKなので、家族連れも目立ちます。


  静岡の日本盲導犬総合センター
  写真提供: ( 財 ) 日本盲導犬協会


ロズリン:最後に、この活動におけるモットーを。
 
森田: “ 笑顔で ” ( 笑 )。 … 笑ってますけど、ここで働く人間にも
    幸福感が大切です。

    我々自身が豊かな気持ちにならないと、多くの人たちの笑顔は
    生まれません。

    皆で工夫し、互いを思いやり、助け合う。
    そうすることで初めて、支援の輪が広がっていくのだと思います。





<インタビュー感想>

 7,800人が盲導犬を希望しているのに対して、活動中の盲導犬は
 わずか
1,000頭あまり。皆さんこの数字をどう思われましたか。

 視力を失ったときの孤独感や絶望、そんな時にパートナーとして視力
 の助けとなってくれるばかりでなく、そっと心に寄り添ってれる盲導犬
 の存在は、どんなにか心強いと思います。

 海外にくらべ、日本は圧倒的に盲導犬が不足しています。

 盲導犬育成に対する支援は、個人や企業の協力でのみ成り立っている
 という事実。 グッズを購入する、パピーウォーカーとして盲導犬育成を
 直接助ける、寄付をする。

 それぞれができる範囲で継続して協力してゆきたいですね。