絵画のように印象的な色彩を放つ
   美しい風景を撮る写真家 
   吉村 和敏 さん

   色々な話をうかがいました。
 


前々回お越しいただいたメイクアップアーティストの朝美さんに見せていただいた
吉村さんの写真集に感動。

タイミングよく開催されていた写真展でお会いすることができ、今回のインタビュー
が実現しました。
 
国内外を巡って撮った数々の写真を写真集や個展で発表する他、講演会、雑誌や
エッセイなど言葉の表現でも好評です。
 
ホームページ http://www.kaz-yoshimura.com/ 



カメラとの出会い
 
ロズリン:子供の頃から写真家になるのが夢だった?

吉 村:子供の頃は全く考えていませんでした。

     写真に興味を覚えたのは中学3年生のとき。
     家にあるコンパクトカメラをいじっていたらすごく魅力的に感じられ、だんだんと
      “ 撮る ” という行為が楽しくなって、中学の終わり頃には一眼レフが欲しいと
     思うようになりました。



ロズリン:子供に一眼レフとは当時はかなり高い物ですよね。
 
吉 村:親にムリ言って買ってもらいました。
     初めて手にしたのは当時5万円くらいのオリンパスのカメラです。

     高校生になって写真クラブに入ってからはもうず~っと写真撮って現像して
     プリントして・・・の繰り返しでしたね。




     中学3年生のとき初めて手にしたカメラ
     OLYMPUS OM 10


ロズリン:現像までするのはなかなか本格的ですね。
 
吉 村:学校に暗室があったのでモノクロは自分たちで全部プリントしていました。
     カラーは写真屋さんにおまかせしてましたけど。

     自分の作品がカタチになるということがすごく楽しかったし、思いつくことを
     いろいろ試してみたり、もうやることすべてが面白かったですね。
 

写真家への扉を開いたプリンス・エドワード島
 
ロズリン:本格的に写真を学んだのは高校を卒業してから?



吉 村:いえ、高校を卒業したら働くと決めていましたから、東京に出て印刷会社
     に就職しました。

     そこで2年間、写植の仕事をしていたんですが、そのときは写真には全然
     興味なくてすっかり忘れていました。

 
ロズリン:へ~!それは意外ですね。
      でも、写真への興味が復活した?
 
吉 村:2年働いてみて、やっぱり会社員は違うなと思ったんですよ。

     そこで “ 自分にできるものは何か ” と考えたときに、 “ 写真だったら
     可能性があるかな ” と思えて。

 そのときに初めて 「 写真家になろう!」 と
 思ったんです。

 写真家になるためにはやっぱり写真を沢山
 撮らないといけない。

 じゃあ、どこかに行こうと。
 で、どこにしようかなと考えたときに “ カナダ ”
 だったんですよ。


ロズリン:
いきなり?
 
吉 村:はい、いきなり ( 笑 )

     国内じゃないと思ったんですね。海外に出ていろいろ新しい世界を見た
     かったんです。

     中古カメラとフィルムと片道航空券を買ってカナダに行っちゃいました。
     貯金がなくなったら農場で働いてお金稼ぎながら、約1年間居ました。

 
ロズリン:英語は話せた?



吉 村:全然できなかったですよ。
     言葉は分からなくてもどうにかなるかなと思って。 ( 笑 )

     新しい環境に身を置くことでいろんなことを得ました。

     友達も沢山できたし、勉強にもなったし、経験を積め、面白いことに
     出会え、写真も沢山撮りました。

     僕が居たのはプリンス・エドワード島という小さな島で、そこが全ての
     始まりですね。


     プリンス・エドワード島の朝
     写真集 『 PASTORAL 』 ( 日本カメラ社 刊 )



写真家になるという決意
 
ロズリン:帰国してからはどんな活動を?
 
吉 村:日本に帰ってからは雑誌社や出版社などいろんなところに電話して
     写真を売り込んで、きっかけを掴もうと模索しました。

     そのうち旅行パンフレットの撮影が入ったり、そこからいろんな仕事に
     つながったり、なんとか写真の仕事ができるようにはなったんだけど、
     最初はなかなか生活していくことができなくて大変でしたね。
 
ロズリン:生活していくとなると大変な世界ですよね。
 
吉 村:アルバイトして写真を撮って、アルバイトしてまたカナダに行って写真
     撮って、の繰り返しでした。

     20代の頃って写真家になりたいとは思っていましたけど、どうやったら
     なれるのか分からなかったので、やっぱり自分は会社員かな、なんて
     揺れていました。   



     27、8才の頃に 「 写真だけで一生いく。もうどんなに苦しくても写真家
     として生きていく 」 って自分の中で決めたとき、そこから自分が変わった
     んですよね。 強くなりました。
 
 
写真集と個展、大切な表現の場
 
ロズリン:最初の写真集 「 プリンス・エドワード島 」 を出版してから結構な
      スピードで出されていますね。
 
吉 村:そうですね、昨年は5冊出版しているのかな。
     撮ったものを発表していくことは写真家にとってとても大事なことなんです。

     本は自分の作品をカタチにしていく最終形だと思っているので、まだ未定
     ですけど、今年は1~2冊出せたらいいなと考えています。

     僕の表現というのは写真集をつくることと個展を行うこと、この2つですね。
     個展も2年に1回はやっています。




ロズリン:個展では写真を販売することもあるんですか?
 
吉 村:全て販売しています。
     でも、日本ではまだ写真を飾るという文化があんまりないので、 
     あまり売れません。   
 
 
フィルムとデジタルふたつの世界
 
ロズリン:フィルムとデジタル、どちらを使われていますか? 



吉 村:僕は撮影のときはいつも両方持っていきます。
     表現方法が異なるので、撮るテーマによって使い分けています。

     フィルムの方が色彩に深みがあります。
     メリハリの効いた作品を生み出したいときは、デジタルの方が適しますね。 




ロズリン:それぞれの違いを使いこなしていくのは面白いですね。
 
吉 村:フィルムは、オリジナルプリントや印刷物を作る際、そのプロセスの
     過程で高度な技術が必要になってくる。

     ワン工程加わることの奥深さ、面白さがありますね。

     デジタルは少ない光でもちゃんとキレイに拾ってくれるから、フィルムで
     撮れないものが撮れるようになった。 例えば、夜景や暗いところ。

     またデータで保存できるから大量に撮れるし、やり取りも簡単、
     色褪せないしね。




ロズリン:
フィルムを使うのは、プロの世界がメインになっていくんでしょうね。
 
吉 村:フィルムは縮小していくでしょうが、確実に残ってもいくでしょう。

     今はもうデジタル全盛期ですけど、僕はフィルムの時代に生まれて
     良かったなと思います。

     フィルムのノウハウを知っていますし、撮るときやっぱりフィルムの頭で
     考えていますね。   
 
 
インタビューは後編へと続きます。お楽しみに!! 


   フランスの美しい村を撮影している
   ときの様子