写真家 吉村和敏さん
  をお招きしての後編です。




自然のなかに感じる人々の気配を切り撮る
 
ロズリン:撮るのは自然や風景写真がメイン?
 
吉 村:風景写真が好きですね。

     僕は自然のなかに生活している人の気配、つまり建物や道、自動車、電線、
     そういうのが入っている風景が好きなんです。

     地球上に人が暮らしているという風景を撮っていきたいんです。
     それがたぶん、僕の表現なんじゃないかな。



ロズリン:その方向性は写真を撮っているうちに自然と決まっていった?
 
吉 村:そうですね。
     高校時代に撮っていた写真を見てみると、やっぱりそういう風景ばっかり
     撮っているんですよ。 その頃にはもう方向性が定まっていましたね。

     今の日本の風景写真って完全に自然だけじゃないですか。
     そういうのにはあんまり興味がないです。




ロズリン:風景写真はシャッターチャンスのタイミングを合わせるのが大変ですか?
 
吉 村:今回展示の写真は全部、昼間に一度ロケハンに行くんですよ。

     ここで撮ろうというのを決めて、イメージに合う時間帯、夕方とか明け方に
     もう一度足を運んでいます。 必ず撮る前にその風景を下見します。


    インタビュー当日に開催中だった写真展 「 MAGIC HOUR 」



ロズリン:目に見えない努力ですね。
      最近の写真集はこれまでと雰囲気が違いますね。
 
吉 村:素直に美しいっていう感じではなくて、最近は自分の見つけた風景をもっと
     ストレートに切り取っていますね。

     この間出した写真集 「 CEMENT 」 は、北海道のセメント工場を大型カメラ
     で撮影したものなんですけど、この写真もセメント工場をひとつの風景として
     捉えて撮っています。





撮影時のハプニング
 
ロズリン:海外撮影のときの宿泊先はどうしている?
 
吉 村:現地に着いてから探します。
     取材先となる村の中に宿泊することもあるし、ハイウェーのインターチェンジ
     の近くに宿泊していくつかロケ地を回ることもあります。
 

ロズリン:撮影はひとりですよね。
      世界中をひとり旅するのは寂しくないですか?
 
吉 村:20代の頃は現地で会った人と交流するのも好きだったんですよ。
     でも今はひとりが気楽。 寂しいというのはないですね。

     写真だけにガッと集中していた方が心がハッピーになるし、楽しい。
     これって、どんどん自分勝手になってきているのかな。 ( 笑 )




ロズリン:芸術家の特徴かもしれないですね。 ( 笑 )
      海外の撮影で困ったことや危なかったことは?
 
吉 村:沢山ありますよ。 ヨーロッパって治安が悪いところもあるんです。
     お金を取られそうになったことも何度かあります。 

     日本のようにカメラを肩から提げていると、ヨーロッパでは地元の人
     に怒られるんですよ。 「 もっと用心深くなれ 」 って。
     なぜなら、大都市では引ったくりの被害が続出しています。

     機材をカメラバックに入れたり、チェーンで自分の身につないだり、
     いろいろと気をつけています。 危なそうな人が来たら即逃げます。

     ヨーロッパでは何度も怖い思いはしていますが、カナダでは治安が良くて、
     暗くなって夜景を撮っていても全然OK。



ロズリン:撮影していて失敗したことは?
 
吉 村:せっかく撮ったのにフィルムがちゃんと入ってなかったことがあります。

     また機材のトラブルというのはよくありますよね。
     最近はそういうのも常にアンテナ張って注意しています。 
 
 
日本に注目、世界にアピール
 
ロズリン:今後の目標は?
 
吉 村:ヨーロッパやアメリカにどんどんアピールしていくことです。

     自分の作品を世界のマーケットで売っていくのがこれからの夢ですね。
     特にカナダで写真展をやってみたいです。

     

ロズリン:カナダでは賞を取っていますよね。
      写真展はまだやってなかったんですか。
 
吉 村:海外ではまだ一度もやったことがない。
     いずれやりたいですね。

     でも、海外に20年以上、一年に何度も足を運んでいると、どんどん日本が
     好きになっていくんですよね。
     いま一番頭の中に強い思いがあるのは実は日本なんですよ。

     日本のランドスケープにすごく惹かれます。



    日本っていろんなものが混ざって、街や村も統一感がないじゃないですか。

    でもそれがひとつの個性なんです。そこに美しさを発見するんですよね。
    僕なりの切り取り方で撮っていきたいですね。



未来の写真家へ
 
ロズリン:これから写真家になりたいと思っている人へアドバイスを。

 

 吉 村:何かひとつテーマを決めるといいと
      思いますよ。

      いま世の中ってありとあらゆる写真が
      あふれていますから。
      やっぱり人と違った表現を試みて
      ください。


  ひとつテーマを決めて、それをとことん追いかけて、3年でも4年でも5年でも、
  そうしてできた作品を発表してみる。

  それが写真家への一歩になると思います。


ロズリン:そしてその作品を発表すること?
 
吉 村:そうですね。 もっとも大切なのは、続けること。 実はデビューより継続
     していくことが大変なんです。

     1冊はその気になれば誰も出せるんです。
     小説のように、その次のテーマと作品は大変ですよ。

  

ロズリン:続けることのコツは?
 
吉 村: “ 焦り ” かな。 これで生きていけるかなという。
     僕も 「 来年どうする? 」 って自分にいつも問いかけるんですよ。

     その焦りがあるから僕もいま頑張っていけるんだと思います。

   
写真展「MAGIC HOUR」は、キャノンギャラリーS(品川)で開催された。


<インタビューの感想>
 以前インタビューしたメイクアップアーティストの朝美さんがお持ちだった
 吉村さんの写真集をひとめ見て!
 その色のコントラストの美しさに、一瞬で大ファンになってしまいました。

 当日は、2010年12月22日~2011年2月12日まで開催されていた写真展
 「 MAGIC HOUR 」 期間中で、会場におじゃましました。

 「 マジックアワー 」 というのは、日が沈んでから一番星が輝くまでのほんのわずかな
 時間に一瞬みせる、淡くピンクに染まるとても美しい時間帯のことです。
 
 大きく引き伸ばされた写真は、まるで今この瞬間その景色を目の前にしているかの
 ようでした!
 
 まだまだ、たくさんやってみたいテーマがあると語る吉村さん。
 今後どんな素敵な作品を見せていただけるのか、とても楽しみです!

 そして是非、オーストラリアにもいらして欲しいです。