竹垣 英信 さん のインタビュー、後編です。





森を守りたいという日本人の想い
 
ロズリン同じような活動をしている方は他にもいるんですか?
 
竹 垣 :僕らみたいな “ 森づくり ” の団体は、林野庁の最新調査では全国で
       2600を越えています。


3年前が1800ですから、規模の大きい
小さいはありますけど、3年で800も増え
ています。

ただ実際に活動している団体は、数字より
少ないと思いますよ。







ロズリン:
組織の数にもびっくりしましたが、森を守りたいという意識が
      高まっていますね。



竹 垣 :日本人は森が好きなんです。

      ただ、森を守りたいという気持ちはあっても、地味な団体なのでなんとなく
      世の中に広まっていかない。
      インターネットやメディアやいろんな方法で、もっと情報を発信していか
      ないといけないです。

      団体を支えている会員の半分以上が50才以上で、若い人がほとんど
      いないのも問題です。

      これから 10年、20年先を考えたとき、 “ 若い子たちと一緒に森づくり
      をしていく ” という新たな目的ができました。
 


若者と森の出会いをプロデュース
 
ロズリン:竹垣さんのプロジェクトでは若い人の参加が多いですよね。



竹 垣 :洋服屋さんから情報を発信したことがウケたんです。
       若い子たちは洋服やおしゃれが好きなので、“ 森 ” と “ 若者 ”
      の間に “ 洋服 ” を入れることで、何か楽しいことができるんじゃないかと
      思ったんです。

      「 森は今こんな状態になっていますよ 」 、
      「  みんなで一緒に森づくりしませんか 」 と発信しても、なかなか多くの人
      には届かないし、響かない。

      洋服屋さんに 「 植林ツアー 何月何日に森づくりやります 」 というポスター
      を貼ってもらうと、全く森に関心がなかった人も見てくれて、ちょっと楽しそう
      だから行ってみようかなという気になってくれたみたいです。

ロズリン:それは面白いアイディアですね。

竹 垣 : また森づくりの様子が 「 王様のブランチ 」 というテレビ番組で取り上げ
       られたんです。



       そのときの参加者が20~30代の人たちで、すごく楽しい雰囲気だった
       んです。 
       その放送を見てさらに参加者が増え一気に広がり、ラジオのJ-WAVE
       に呼ばれたり、ファッション誌に掲載されたり、僕らの活動の認知度が
       上がっていきました。


 
ボランティアに目覚める楽しさ

ロズリン:森づくりの流れは実際、どんな感じなんですか?

竹 垣 :現地で2、3時間ほど作業してもらい、終わった後は基本的には
      バーベキューや、田舎のおもてなしごはんをみんなで食べたり
      します。 
 
      作業時間は、季節や天気、山の斜面の具合や森の状態などによって
      違うので、フィールドを見て作業時間が決まります。

 

     例えば、雑木林のつくり直しの場合は植林の準備をするために、腕の太さ
     くらいの木をノコギリで切ってもらい、4月になったら植林をする。

     それを次のシーズンにも同じようにやっていきます。
     ( 太い木は、専門家が後でチェーンソーを使って切ります )

 


ロズリン:そうすると同じ場所で、継続した流れになります。
      成果が分かると次も参加したいという思いにつながりますね。

竹 垣 :そうですね。
      最初に参加した人たちは荒れている状態を知っているので、次に参加した
      ときに自分たちがやったことがどんな風に実ったのか見て分かるんです。

      大体のボランティア活動は、今回はここ、次回はあちらというように移動する
      ことが多いですから、結果が分かりづらい。

      僕らの活動は、来て良かったという思いになる人が多いみたいです。




ロズリン: 実際にどんな使命感をもって参加されているんでしょう?

竹 垣 :最初は楽しむ目的で、森で非日常を味わうつもりで来ている人も多いですが、
      参加している途中でボランティアに目覚める人が多いんですよ。
      社会的な使命感が芽生えるらしいです。(笑)

      20代の人がボランティアに関わる理由は、自分がそれをすることで社会と
      関われることが楽しいから。

      30代の人は子供のため、50、60代になってくると先進国の義務や責任だと
      いう理由が多いそうです。



森も参加者もリフレッシュ

ロズリン:参加された方の反響は?



竹 垣 :女性も男性も会社員の方が多いんですが、
      「 森で一日過ごした後の一週間は、仕事でのストレスが減ったような感じがする 」
      「 心が軽くなった 」 などの感想が寄せられます。

      森づくりをすることでリフレッシュにもなっているみたいですね。
      いろんな人と出会えるのも楽しいという声もよく聞きます。

      リピーターの方も多いですし、次に来る時は新たな参加者を連れてくることも。
      最初は一人で参加する人が結構多いんですよ。


ロズリン:
宿泊するときもあるんですか?

 
竹 垣 :今は新宿からバスで行く日帰りの開催だけ
      ですが、そういう声は多いですね。

      天体観測や温泉に入りたい、キャンプをしたい
      という要望も多くて。

      夏場は宿泊しないと作業が終わらないボリューム
      になるので、みんなの要望も踏まえ、テントを持ち
      込むことも検討しています。



森で遊ぶ原体験を子供たちに

ロズリン:森づくりの他に子供向けのワークショップもやっていますね。

竹 垣 :子供のときに森で遊んだような原体験がないと、急に大人になってから森が
      困っていると言われてもピンとこない。

      そこで、子供向けに自然のなかでキャンプをしたり、木を切った後の森に
      行って秘密基地づくりをしたり、間伐材を使った “ マイ箸づくり ” や
       “ カラマツブロックであそぼう ” などの子供向けワークショップをやっています。


ロズリン:竹垣さん自身も子供の頃に森に親しんだ経験がある?



竹 垣 :ありますね。クワガタやカブトムシを捕りに行ったりしてましたよ。
      


みんなのスキルを活かせるフィールドを

ロズリン:今の組織をこれからどんな風に発展させていきたいですか?

竹 垣 :年は企業とのパートナーシップに力を入れていこうと思っています。

      CSR ( 企業の社会的責任 ) 活動に力を入れる企業が増え、地域社会と
      係わり経済を発展させようという流れになってきているので、今後、僕ら
      みたいな団体と一緒に社会貢献する企業が増えると思います。

      外部の専門化とも連携して僕らがコーディネーター役になり、みんなの
      スキルが活かせる場がさらに広がる。企業のベストパートナーを目指して
      いきたいですね。

ロズリン:そうなると森づくりの活動もさらに広がりますね。

竹 垣 :それから最近、事務局のスタッフにも女性の意見が欲しいと思っています。

赤ちゃんや小さい子供がいるような、
これまで活かされていなかった女性の
力を活かせる雇用形態を、今後つくって
いきたいです。

森づくりに参加してくれる方も不思議と
女性が多いですし、女性はパワフル
ですよね。





日常のすべてがアイデアの源泉

ロズリン:
団体のPR活動から実際の森づくりと多忙ですが、リラックスする時間は
      取れますか?



竹 垣 :
取れないですね。
      というのも、本や雑誌を読んだりテレビを見たり、街を歩いていても、起きて
      何かをしていれば情報が目に入ってくる。

      それがアイデアに結びついていくので、休んではいられない。( 笑 )

      休日に子供たちと遊んでいるときも、ああこんな遊びも楽しそうだなとか、
      子供はこういうことに興味があるんだとか、いろんなことに反応してアイデア
      に結びつけてしまいます。




<インタビュー感想>

「 森を守る 」 ため、逆になぜ 「 木を伐採する 」 ことから始めるのか。 
最初は本当に疑問に思いました。
森を守るならば、当然 「 植樹 」と考えます。熱帯雨林を守る、砂漠化を
阻止するなどの為には、積極的に木を植える必要があるからです。

例えばオーストラリアでは、地域によって自分の敷地の木を1本切るのでも、
行政への申請と許可が必要なほどです。
横浜の自宅には木が何本かありましたが、落ち葉などの問題もあり、近所の
一部から苦情が寄せられ、大部分切ってしまったのです。

森林という大きな単位ではなく、居住地域の個人レベルであっても、日本と
海外の事情は大きく異なります。

竹垣さんがおっしゃるように、やはり人間は自然と共存することが必要です。

周辺をコンクリートだけで囲まれた生活では、メンタル的にもストレスが
溜まってしまうからです。

日本は自然にあふれ、天然の水も擁する豊かな国です。
自国の資源を上手に活かし、この美しい自然を後世に残す重要なターニング
ポイントに来ているのだと思いました。

森を守ろうとする団体がたくさんある中で、その団体が連盟として協力すれば、
より大きなムーブメントを起こせるでしょう。

私たち個人もそれぞれ何ができるのか、考える時にきています。