日本酒や焼酎、ビールやカクテルなど
飲料すべてのプロである
“ トータル飲料コンサルタント ”

友田 晶子 さん をお招きしての後編です。




フランス留学で日本酒に興味を
 
ロズリン:日本酒のきき酒師もされていますね。
 
友 田 :フランス留学時代に、日本の食や日本酒の文化のことをよく聞かれた
      のですが、何も答えられない。とてもショックでした。

      私が働く場所は日本なのだし、日本で働くソムリエであれば、 「 和酒 」 
      と呼ばれる日本の 「 国酒 」 である、日本酒や焼酎をわかっていないと、
      世界に対しても打って出られないなと思いました。

      勉強をしたいと思ったのが1990年頃で、ソムリエの業界と日本酒の
      業界がコラボレーションし、新しい協会を作るというタイミングだったん
      ですね。

      それが日本酒のソムリエである、きき酒師のスタートだったのですが、
      偶然にも、協会を作るための準備室に入れてもらえたんです。



ロズリン:一度北海道でお酒作りを見学したことがあるんですけれども、
      びっくりしたのは、ヨーロッパで一等賞になったという日本酒があって、
      ヨーロッパでも販売され、評価されているのかと驚きました。




友 田 :最近は、特に海外輸出に力を入れています。

      国内で日本酒があまり売れないという、厳しい状況がありまして。
      特に若い人たちが、日本酒をあまり飲まないんですよ。
 
ロズリン:生活に合わない?
 
友 田 :生活習慣の変化に対応してこなかった、日本酒業界の責任でも
      あります。
      
      さまざまな理由が複合しているかとは思いますが、日本では売れない
      のであれば、海外で活路を見出すという流れです。

      海外では日本食がブームですから、それに合わせて日本酒にも興味を
      持っていただける。





ロズリン:焼酎も入りますか?
 
友 田 :入ります。
      入りますが、焼酎は、海外では少々むずかしいです。

      焼酎は、蒸留酒でありながら食事と一緒に飲む 「 食中酒 」 。
      お湯や水で割ってやわらかくして、食事と合わせて飲むことが文化と
      なっていますが、欧米諸国では、蒸留酒を食事と一緒に飲む文化がなく、
      食前か食後か、なんですね。

      そこがむずかしいところで、海外で認めてもらうには、時間がかかると
      思います。




ロズリン:日本では焼酎は人気で、芋焼酎がいいとか、銘柄とか、詳しい方は
      とても詳しいですよね。 好きな方はとても好きです。

      ある年齢以上の方には多い気がしますが。
 

友 田 :
焼酎は悪酔いしないと思われているんです。

      特に年配の男性の方には、たくさん飲んでも翌日に残らないと
      思われています。 そこが人気なのかも。
 
ロズリン:でも本当のところは?
 
友 田 :私は半分うそだと思っています ( 笑 )。

      いつも人体実験 ( ! ) をしていますが、たくさん飲んだらやっぱり
      悪酔いします。

      気持ちの問題じゃないかと思うのですが ( 笑 )。





30歳で最初の1冊を
 
ロズリン:今、ここまで来て、大変なエキスパートだと思いますが、
      後悔することはありますか? 

      別の道を選べばよかったな、とか。
 
友 田 :そうですねぇ。。。

      仕事ではないんですけれども。普通の家庭の主婦になったら
      どうだったろう、と時々思いますが。 ( 笑 )

      ただ、私にはいくつか出版物があるので、それが私が産み出しているもの、
      後に残る子供のような存在だと思っています。



 ロズリン:そういう考え方は、すばらしい
       ですね。

       今日持って来られた本
       「 今宵も一杯 」 
       ( 阪神コミュニケーションズ )
       は出たばかりですね。

       ずっと連載されていたのですか?



友 田 :6月の末に出たのですが、これは雑誌 「 pen 」 での100回分の連載を
      まとめたもので、本が出たのを機に、一度連載はお休みになっています。

      エッセイとしての読み物ののほかに、そのお酒を飲めるお店や買えるお店
      も紹介するなど、データ的には充実させました。
 

ロズリン:
一番最初に書いた本は?
 
友 田 :30歳になったときに出した 「 女が酒を選ぶとき 」 ( WAVE出版 )
      という、書き下ろしエッセイ本です。



      おととしには 「 世界に誇る 品格の名酒 」 ( ギャップジャパン ) という、
      日本酒のバイリンガルの本も出版しています。

      海外の方に日本酒を知っていただく目的で書いた本ですが、うれしい
      ことに、この本がきっかけで、今年10月、シンガポールで日本酒の
      イベントをやることになりました。
 

ロズリン:もっと海外に行きたい?
 
友 田 :行きたいです。
      南半球にはどこも行ったことがないんです。
      チリ、オーストラリア。本当に行きたいですね。
 
ロズリン:今年のGWにオーストラリアのハンターバレーというワインの産地に
      行きましたが、ゴルフ場の中にもブドウ畑があるんです。

      ずーっと坂のところにつたがあって、それが水はけがよいようになって
      いると言われました。
 

友 田 :オーストラリアは、最近はすごく技術が発達しています。
 
      オーストラリアから日本に技術者を呼んで、勉強会を開催している
      くらいです。





海外にもっと日本酒の理解を!
 
ロズリン:私たちもときどき、オーストラリアに日本酒を持って帰りますが、
      飲まないんです。

      向こうの生活に合わなくて。
 
友 田 :それはやり方があると思います。

      ワイングラスで飲むとか、オンザロックやソーダ割りにするとか。
      生牡蠣など生ものの料理に合わせるとか。

      ただ最近は日本でも、日本酒をまったく飲まないという若い人も多いです。
      一部日本酒ファンやマニアのような人たちはいますが、一般的に飲まれる
      量がとても少ない。

      美味しい飲み方を知らないんですね。
      新しい飲み方、楽しい飲み方、 “ お燗 ” などの伝統の飲み方などを若い
      方々に提案しています。
 
 
ロズリン:これからやりたいことはどんなことですか?



友 田 :やっぱり、日本酒を世界に広めるということですね。
      現地のお料理と日本酒を合わせるとか、そういうこともしたいんです。

      もちろんワインも続けていきますけれども、ワインの経験があってこそ、
      できることだと思うんですね。

      ワインのことも知っている、海外の食生活もわかる。
      その中で、いかに日本酒を楽しんでいただくか。やっていきたいテーマ
      のひとつですね。





 ソムリエには主観を捨てることが大切
 
 ロズリン:ソムリエになりたい方へのアドバイスは
       ありますか?


 友 田 :そうですね。
       まず、資格を取る前にやることがある。
       そこを知るべきかと。

      
    資格は二番目、三番目に重要なことで、
    まずサービス業をしたい場合は、やはり
    「 飲料サービス 」 とは何かを知ること
    かと思います。

    どんな仕事でも、どこかサービス業に通じる
    部分があるので、ソムリエに限らずですが、
    お客様に喜んでいただいて報酬をもらう・・・
    という根本的な仕事の成り立ちや
     「 サービス産業 」 のなかで、自分に何が
    出来るのか、自分は何をしたいのかをまず
    考えるべきかと。

                      ソムリエには客観的な視点も大切です。

       特にお酒は好き嫌いがある嗜好品ですし、ごく主観的なものなので、
       自分の好みを押し付けることなく ( 時にはそれも必要なテクニック )、
       お客様の気持ちになってセレクトしたり、おすすめできることが重要。

       主観を押しつけるだけでしたら、仕事ではなくご趣味でどうぞ、という
       ことになってしまいます。





<インタビュー感想>

今回は友田さんのワインセミナーにお邪魔し、まずは夏ワインとワインに
合う
おつまみを実際に堪能しつつワインについて勉強し、その後にお話しを
伺う
という大変贅沢なインタビューでした。
 
ワイン好きが高じて日本を飛び出しフランスへ留学。

フランス語が満足に話せなくてもまずは一歩踏み出してみる。
「 なんとかなる! 」 という考え、またご自身をずうずうしい性格と分析する
彼女のバイタリティ、行動力は見習いたいですね。
 
日本には、焼酎や日本酒といったすばらしいお酒があるのですから、
それらを愛し、また世界中もっと多くの人に広めたいという友田さんの夢は
とても素敵です。

実現すれば酒どころの多い東北地方を元気にする
助けともなるかもしれません。
 
サンギは元商社からスタートし、創立当初はワインを輸入していました。
1970年代、その頃の日本では甘いお砂糖入りの赤玉ポートワインくらいしかなく、
本来の酸味があるワインは到底受け入れられなかった時代でも
あったんです。

それでも日本では、ワインとおいしいお料理を楽しむ文化が定着しました。
 
いま世界では日本食がブームで、日本酒も注目されています。
この機会に日本酒とおいしいお料理を楽しむ文化が、世界にも広まり定着する
ことを楽しみにしています。