9月1日にアップした第5回インタビュー後編です。
こどもの国歯科歯科医師 小林範彦先生歯科衛生士 熊谷香織 さん 
にお話を伺います。

    

赤ちゃんをむし歯から守ろう
 
ロズリン: 以前からよく“お腹の赤ちゃんにカルシウムを取られるから、妊娠中は
       歯がとても悪くなる”と言われますが、実際にはどうなのでしょう。
 
小林: そういうことはないんじゃないかと思います。例えば髪の毛なら、毎日の
     サイクルで伸びたり生え変わったりするものだから分かりますが、歯のよう
     な硬組織が、たかだか10ヵ月程度でボロボロになるとは、理屈からしても考
     えられません。

     ですから妊婦さんに対しても、その理由で特にカルシウムを摂れという指導
     をしたことはありませんね。
 
ロズリン: 知覚過敏症なども、妊婦さんに限らず、若い人にも多いと聞きます。
 
小林: ブラッシングの仕方が間違っているために、歯ぐき
     が下がっている人はいます。

            実際、ホームケアのやり方は人それぞれで、ひどい
    人はヒドいんですよ、本当に!(笑)

    しかもそういう人は、症状が相当ひどくなってからで
    ないと来ないんですよね。

    それが妊婦さんだと麻酔や薬は基本的に使えません
    から、とりあえずその場は応急処置だけを行ない、
    出産後に改めて治療するつもりでいるんですが、
    ほとんどの場合、本人はそれっきり来院しません。
    困ったものです。


ロズリン: 子どものむし歯などは、母親から原因菌をもらうせいだとも言います。
 
小林: 後天的な理由、つまり一種の母子感染ということです。 赤ちゃんと一番密接に
     接触するのがお母さんですから。
 
熊谷: よく、赤ちゃんとお母さんでスプーンの共用は避けるようにと言われていますが、
     何かの都合で一緒に使ってしまうこともありますよね。
     そういうときのためにも、口の中はいつもできるだけキレイな状態を保っておくこと
     が大切なんです。
     
    産後はどうしても忙しくて歯の手入れがおろそかになりやすいので、その前にぜひ
    正しいみがき方を身につけてもらいたいと思います。



ロズリン: 歯みがき剤の使用については、どんな指導を?
 
熊谷: 妊娠中だと、人によっては気持ちが悪くなることがありますが、歯みがき剤を
    使わないと歯が着色しやすい人もいるので、最初に水だけでよくみがき、その後
    に少量の歯みがき剤をつけて軽くみがくよう勧めています。
 
肝心なのはパパ&ママの姿勢
 
ロズリン: 小さな子どもの歯のケアで、ポイントとなるのは?
 
小林: 要するに、汚れが取れれば何でもいいので、うんと小さい歯ブラシとか、綿棒
    でも構いません。
    今は、指サック式のブラシなど便利なものがいろいろ売られています。
    
    でも結局は親のほうが、いかに習慣づけるかにかかっているんじゃないかな。
    ちょっと疲れているときだと、「今日は面倒だからやめるか」なんてことになりがち
    でしょう? 子どもは子どもで気分屋だし。
    だからうちでは、どんなときでも無理やりみがかせますよ(笑)。

熊谷: うちの1歳の子も、いやがるときが多いんですが、やっぱり仕上げみがきは押さ
    えつけてでもやってます。
 
小林: 親御さんのほうに、習慣づけようという意識があれば、どんな方法でもいい。
     問題なのは、関心のない人です。

ロズリン: では、お母さんのほうに、お子さんのケアを指導するとも?

小林:
幼稚園くらいの子なら、お母さんに「みがいてください」と言うしかないですよね。
 
熊谷: いつも良くみがけてる子は、良くみがけてるんですが…
            残念ながら、どう教えても身につかない子も、ときにはいますね。
 
ロズリン: 息子さんも、やっぱり歯医者になってほしいですか。

小林: 僕は、父が歯医者で兄が医者、母方も歯医者や医者という家系なんですが、
            僕の息子は歯医者にはしたくないですね。
     なぜって、何となくですけど(笑) いや、大変な職業だと思います。好きでないと
    できない。…でも医者になるならいいかな、とか(笑)。



ロズリン: 熊谷さんが、歯科衛生士を目指したきっかけは?
 
熊谷: 自分自身にむし歯が多くて、「なぜむし歯になるんだろう?」と疑問に思ったのと、
    母が看護士をしていたこと。自分も手に職をつけたかったからです。

小林: 以前、うちの歯科助手のアルバイトがきっかけで、専門学校に入って勉強して歯科
    衛生士の資格を取った人もいるんですよ。
    彼女は今、他のクリニックでがんばっています。

ロズリン: オフの時間の過ごし方などは。

小林: スポーツは、家族ぐるみでワイワイと賑やかにやっています。
            ここに飾っているラジコンカーも僕の趣味。息子は、今はバギーカーに夢中ですけど。

    それから、実は神奈川歯科大の法医学教室に籍を置いています。
    歯形による鑑定の分野にも興味を持っていまして、学位取得のための論文を準備中…
    のはずなんですが、なかなかその時間が取れないのがつらいところです。

    うちは土日や祝日も診療していますし…。
    やっぱりこの仕事、嫌いじゃないからなんでしょうね。

     

<インタビュー感想>

今回は妊婦さんや赤ちゃんのオーラルケアについて、注意すべきことがらを中心に
お話を伺いました。

小林先生の気さくなお人柄は、歯医者さんに恐いイメージをお持ちの方でも、きっと
安心してお口のトラブルや治療について相談できると思います。

歯科衛生士の熊谷さんも、妊婦さんやお子さんをお持ちの患者さんには心強い存在
ですね!