弦楽器の中でも一番大きな
  コントラバス奏者としてご活躍の
  中川 隼さん に お話を伺いました。




アパガードがスポンサーを務める室内オーケストラ 「 東京シンフォニア
のメンバーでもある中川さん。

王子ホール公演前日のリハーサルを見学させていただいた後、コントラバス
に惹かれたきっかけや、これからの抱負など、幅広く伺うことができました

東京シンフォニア : http://www.tokyosinfonia.com/


 


ジャズ奏者である叔父から影響を

ロズリン:リハーサル、お疲れさまでした。
      コントラバスというとクラシックに限らず、カントリーやジャズなど
      ありますが、弾くのはクラシックだけですか?

中 川 :クラシックだけですね。
      僕はちゃんと勉強をしていないので、ジャズは弾きません。
      昔は好きだったのですが、今はクラシックだけです。

      実は僕の叔父がジャズをやっていて、コントラバス奏者として、ベースを
      弾いていたんです。
      それを聴きに行ったのがコントラバスを始めるきっかけです。

      ですから昔は弾くのも、聴くのも、ジャズだった。スタートはジャズでしたが、
      その後クラシックになりました。

ロズリン:叔父さんのジャズを初めて聴いたのは?



中 川 :高校生の時です。
      叔父がジャズをしているのは知ってはいましたが、あまり興味はなかった。

      高校で軽音楽部に在籍してバンドを組み、エレキベースを担当していたので、
      その時にベースの音にもいろいろあると思って、はじめて叔父の演奏を聴いて
      みたいと思いました。

      当時未成年だったのですが(笑)、叔父の出演するジャズバーには
      よく行きました。




 ロズリン:バイオリンだとふつう3歳くらいから始めたり
        しますが、それはおもしろい話ですね。

 中 川 :そうですね、バイオリンのスタートは早いです。
       遅くても小学校に入ったくらいまででしょうか。

       子供用のコントラバスも実はあるのですが、
       子供はなかなか選ばないですから。
       コントラバスは、少し大きくなってから始める
       ことが一般的です。



楽器に育ててもらう

ロズリン:楽器は高いものでしょう?

中 川 :ものにもよると思いますが。。。
      弦楽器で言えばやっぱり、一番高いのはチェロで、次がバイオリン。
      コントラバスは大きな割に安い方だと思います。


ロズリン:
今日初めて近くで見たのですが、バイオリンみたいに表面がピカピカ
      光ってはいませんね。


    中川さんのコントラバス。こちらは5台目。
    重さは20キロ程度だそう


中 川 :古いものなんです。
      コントラバスは大きく、持ち運ぶ際も固いケースではありません。

      100年くらいたつうちに、いろいろと傷がつきます。
      
      新しいものだとやはりキンキンした音が出るというか、音の質が金属っぽく、
      若い音になります。古くなるにつれ、深みのある落ち着いた音色に変化します。


ロズリン:
やはり楽器は年月を経て良くなっていくということですね。
      今使っているコントラバスは、いつ頃手に入れたものですか?

中 川 :おととしです。
      その前に使っていたものは、今のものよりもうちょっと古かったかな。
      今使っているのは、音が気に入ったんです。




ロズリン:コントラバスを売っているところを見かけませんが、そのような歴史
      のある楽器に、皆さんどうやってめぐりあいますか?

中 川 :楽器屋で購入する場合もありますが、個人的な関係から手に入れることも
      あります。使わなくなったと聞いて、個人交渉するとか。

      楽器は買った金額とほぼ同じ金額で売れるんです。
      自分のものをゆずって次のものを買う。今の楽器は5代目です。

      最初に使っていたものは本当に安いものでしたね。

      いい楽器というのは、腕がないと使いこなせないと思うんです。
      逆に言えば “ 楽器が腕を育ててくれる ” という感じがありますね。
      「 そんな風に弾いたらいやですよ 」 と、音が出ているような気がします。





ロズリン:今日はコントラバス奏者は2人でしたが、同じ音が出るんですか?
       楽器によって音は違う?

中 川 :一般の方が聴いていてもわかるくらい違うと思いますよ。
      楽器自体でも違いますし、弾く人によっても音色が変わります。

      よく、イタリアの楽器は明るくて、ドイツはちょっと曇った音がする、なんて
      言い方もします。

    



ロズリン:
個々の楽器に血統書みたいなものはありますか?
      またどうやって選ぶものですか?

中 川 :今でもレッスンを受けているのですが、僕のものはその先生が持っていた
      コントラバスなんです。

      血統書みたいなものもありますが、やっぱり音で選びますね。


ロズリン:今でもレッスンを受けているのですか?
      プロとして活動している人にとっては、珍しいのでは?



中 川 :めずらしいケースかもしれませんね。
      僕は演奏している中で、自分の演奏、曲の解釈が偏っていっているのでは
      ないかと、ふと思うんです。
      
      何か間違った方向に行ってはいないか?と感じる瞬間がある。

      だから同じコントラバス奏者からの、客観的に見た意見がもらいたくて
      レッスンを受けています。


歌えないと弾けないもの

ロズリン:大学は?

中 川 :音大に入りました。
      入りたいと思ったのはギリギリの時期でした。実は当時ボーっとしていて、
      音大進学に興味を持ったのは遅かったです。

      勉強をスタートしたのは、高校3年生の頃からです。
      今はどうかわからないですが、当時コントラバスはわりあい合格しやす
      かったと思います。



     入学してからは楽譜があまり読めなかったりして、かなり大変でした(笑)。

ロズリン:よく楽譜を読めずに、音大に入りました!

中 川 :入試は英語や社会などの学科に、ソルフェージュなどもあります。
      ソルフェージュというのは、楽譜を見ながらその場で歌うことです。

      実は歌えないと楽器は弾けないんですね。
      その曲をイメージできなければ、その曲を弾くこともできない。

      東京シンフォニアの指揮者ロバート・ライカーもよく、 「 メカニックになっちゃ
      いけない。歌ってくれ! 」 という表現をします。

       


ロズリン:弾くことと歌うこと。結びつけたことがなかったですが面白いですね。
      大学は楽しかったですか?部活は何を?

中 川 :部活などは入っていないです。
      大学にはコントラバス研究室というのがあって、授業のとき以外は
      大体そこにいました。

      練習をしていて気がついたら授業が始まっていた、なんてことも
      よくありましたね。




ロズリン:コントラバス奏者は男性が多いですか?

中 川 :バイオリンよりは多いです。

      立って演奏をしますし、弾くのにはちょっと筋肉も必要です。
      椅子はあるのですが、立って演奏したほうが音がよくなるんです。

      友人とも 「 立って演奏できなくなったらおしまいだよね 」 なんて
      話しています。




インタビューは後半へと続きます。
お楽しみに!