コントラバス奏者としてご活躍の
  中川 隼さん の インタビュー後半です!

 



弦楽器だけで演奏される東京シンフォニアの魅力

ロズリン:練習は長時間ですよね、常に立っての演奏ですし、苦痛ではないですか?
 
      また練習期間は、曲によっても違うのでしょうが、どのくらいやればよい
      という目安はありますか?

中 川 :練習は好きじゃないですが ( 笑 )、 練習することでよくなっていくことが
      楽しいですね。
  
      そして身につくまで練習は続きます。。。
      一応演奏日という期限がありますけれど ( 笑 )、 終わりはないですね。

   

      曲については、得意不得意もあるし、純粋に難しいものもあります。
      僕は曲自体に興味がありますから、どういう音を出したらよいのか、
      いつも考えています。

      たとえば絵を描くときには、色をつけてリアルにしますね。
      音楽というのは、鳥を描くのであれば色をつけるだけでなく、それを飛び
      立たせなくてはいけないんです。それが僕らの仕事だと思います。

      曲によって感情の表し方や、景色、時代も違います。
      そこをつかむのが難しいし、それが音楽の魅力、楽しさでもあるんです。


ロズリン:
素人だと、ただ楽譜どおりに弾けばよいと思ってしまいますが、色々な
      イメージや感情を取り込み「生きた音」を出すなんて、奥が深いですね。

      ちなみにコントラバスはいつも前に出ての演奏はないのに、一度ソロが
      ありましたね。



中 川 :スペインセレナーデのときです。 ああいう形は多くはないですね。


ロズリン:
そうでした。
      日本外国特派員協会で開催される、東京シンフォニア恒例のディナー
      コンサート、スペインセレナーデでしたね。

      ソロはいかがでしたか? 楽しい?それとも緊張しました?

  


中 川 :普段はあまり、メロディーラインを弾くことがないのですが、
      あれはやっぱり緊張しましたね ( 笑 )。

      でも覚悟すれば、大体は大丈夫です。



ロズリン:コントラバス奏者の立場から、好きな作曲家というのはいますか?

中 川 :ベートーベンです。

      ベートーベンの場合は、コントラバスが下でメロディーとして流れている。
      やっぱり天才の音楽ですね。



      まず曲がすごいです。
      とてもよくできていて、この辺の ( お腹の下のあたり ) 、とても深いところで
      曲が作られているということを感じます。


ロズリン:指揮者のロバートは、流行の曲や日本人に馴染みのある有名曲を
      あまり選びませんね。

中 川 :結構、深いところから考えているのだと思います。

      東京シンフォニアは弦楽器だけの編成ですから、弦奏曲だと限りがあります。

      新たに彼自身が発掘し編曲をして、弦奏曲のレパートリーを増やしています。
      こんな曲もあったんだ、おもしろいなと。



      今回のベートーベンの曲も、本当はピアノやフルートの五重奏なのですが、
      弦楽器用に編曲されています。

      本来はピアノが1人で弾くところを、複数のバイオリンがパートを分けて
      弾いていくのです。

      相当集中していないと音がつながっていかない。
      走っている電車に飛び乗るような感覚です。



著名な作曲家も一人の普通の人間

ロズリン:東京シンフォニア以外でも活動されていますよね。



中 川 :ヴィオラやフルートなど、違う編成で演奏をしたり、人に教える仕事も
      しています。


ロズリン:
中川さんのお話を聞いていて、情緒的な表現などとてもわかりやすいと
      思いますが、文章を書くのが得意なのでは?


  中 川 :文章はあまり書かないですね。
        ただ、話すのは好きです。

        自分の演奏会では、MCでよく、
        この曲がどんな曲かというような
        話をします。

        話してしまうと弾けなくなっちゃう
        から苦手、という人もいますが、
        僕は割と大丈夫です。
  
        苦にならない。


ロズリン:お客様にも、曲を理解してほしい?

中 川 :そう、もっと曲を知ってもらいたいんです。

      その曲が作られた時代背景や作曲家についてなど、話をすることで
      聴く態勢が整い、お客様もその曲に感情が入りやすいと思うんです。

      「 こういう曲なんです。 じゃあ演奏いきますね! 」 という感じです。

      3 ~ 4人 の小さな編成でも演奏することがあるので、聞いてくれる
      お客様との距離がない。
      お客様と作曲家との距離も小さくできたらと、いつも思っています。

      有名な作曲家の人も、たぶん普通の人としての一面を持っていた
      はずです。

      ベートーベンだから、バッハだから、というのではなく、作曲家がその時
      に感じていたこと、人としての魅力も感じつつ聞いてもらえたら、多分
      もっとクラシックがおもしろいはずです。




ロズリン:ああ!聴きたいですね。

      そういう小さなコンサートは、一般の人も聴くことができますか?

中 川 :プライベートなものもありますし色々ですが、今後はさまざまな形で、
      色々な方に聴いてもらえるようにしたいと思っています。



コントラバスの魅力

ロズリン:以前、歌手の方にお話しを聞いたときに、
       「 歌うことは好きだから仕事として意識をしたことがない 」 と
       おっしゃったのが、印象的でした。

       普段、音楽を忘れるときはありますか?




中 川 :う~~ん。。。 忘れるときはないですね。
      僕もそういう感じかもしれないです。

      仕事としてではなく、好きなことをしているという感覚です。


ロズリン:
音楽というのは、とても情緒あふれるロマンチックなお仕事ですね。
      なぐさめというか、大切なことを思い出させてくれる素敵な仕事だと
      思います。

中 川 :この大震災を経て、音楽について改めて思うものがありました。

      音楽は物質的なものではないです。
      音楽はなぐさめ、はげまし、喜びの世界。 音楽が果たす役割を考え
      させられました。

      音楽をやる人間は、 「 なんで? 」 と突き詰めていく者が多いと思う
      んです。 そして悪くいうと普通のことができないのかもしれない。



      演奏者は皆真面目ですけれども、自分勝手ですよ ( 笑 )。

      自分勝手な人たちが集まって、それぞれに意見を出し合い、最後には
      一緒にがんばってひとつの曲が演奏される。
     
      それが面白いと思います。

ロズリン:リハーサルのときも、皆さん熱心にディスカッションされていましたね。
      それは一般的な光景ですか?

  


中 川 :
東京シンフォニアの場合、フルオーケストラのように人数が多くないから
      できることなんでしょうね。

      人数が多いと、収拾がつかなくなるかもしれないです。




ロズリン:例えば、コントラバス以外の楽器に憧れたことはありますか?

中 川 :かつて “ チェロコンプレックス ” みたいな時期がありました。
      同じように低い音が出るのに、チェロには皆が知っている名曲が多い。

      でも、コントラバスは新しい曲が中心です。
      かといって、チェロのパートをコントラバスが弾くと何か違うし。。。。

      でも、今はそういうことも思わなくなりました。

      イモっぽくてどんくさいおじさんだけれども、よさがある、コントラバスって
      そんな楽器だと思うんですよ。

      そんな魅力もよいなと思うようになりました。




ロズリン:
今後の目標、挑戦したいことは?

中 川 :ずっと続けて行けたらということでしょうか。

      また仲間とコンサートを企画したり、ヨーロッパにも行ってみたい。
      挑戦したいことは、たくさんあります。
      ありすぎて話せないくらいです。

      
                                 コンサート当日は正装で



<インタビュー感想>

 巨匠と言われる作曲家も一人の普通の人間。 
 ( 「 一人のおじさん 」 とも言う 中川さん。 笑。 )

 堅苦しく構えず、その一人の人間がその時何を感じ思ってこの曲を作ったのか。
 それを観客が想像し、感じて欲しいと言います。

 その為にも作曲された時代背景、作曲家自身について、観客へお話する時間を
 作ることが大切だそう。

 そうすればもっと自然にその曲を深く感じ、理解できるのでしょうね。

 そして演奏する側についても、ただテクニックで弾くべきではない、と。
 「 描こうとしている鳥を飛ばせないと 」 という表現も素晴らしいです。

 “ 偉大な作曲家の交響曲 ” なんていうと、やっぱりこちらも正装して、かしこまって
 聴く体制になってしまいますよね。 
 でもクラシックを難しく考えず、楽しんで欲しいと語る中川さん。
 
 “ 音を楽しむ ”。  音楽の基本ですね!!

 中川さんがMCをつとめるコンサートにも是非おじゃましたいです。
 今後ますますのご活躍を、応援しています。