銀座ミツバチプロジェクト副理事長
   として幅広くユニークな活動をされている、
   田中 淳夫 さん をお迎えしての前編です。



銀座でミツバチが飼われるようになって、実は今年で6年目。
毎年たくさんのハチミツが採れていることをご存知でしたか?

ミツバチを通しさらに大きなつながりが生まれ、発展しています。
実際にミツバチを見せていただくこともでき、とても興味深い
お話をうかがうことができました。
 
銀座ミツバチプロジェクト
 
 

さまざまなご縁から生まれた 「 Bee Garden 」
 
ロズリン:田中さんがミツバチプロジェクトに関わるようになったきっかけを
      教えてください。

      本日おじゃましたこのビルは 「 紙パルプ会館 」 ですが、どうしてこちらに?


田 中 :
私は22歳で大学を出て、プロパーでこちらに就職しました。
      ちょうどバブルの全盛だった30歳のころに、ビルを建て直す事になりました。

      5年後にビルが建ったのですが、そのときにはすでにバブルが崩壊してしまい、
      貸しビル業は非常に苦しくなりました。



      それで困ったことになったなと思い、友人をはじめ様々な方に声を掛け、
      勉強会はじめフォーラム等様々な形で会議室を使ってもらうと考えました。
      その結果、さまざまなコンテンツが生まれることになったんです。

      日経新聞の記者の方や厚労省の次官を呼んで医療に関する勉強会をしたり、
      人材派遣業の方々のネットワークを作ったり、日中ビジネス交流会、東京スィ
      ーツクラブなど、いろいろな企画を形にしました。

      単なる会議室としてではなく、何か人が集まるきっかけが必要だと
      気がついたんです。



ロズリン:なるほど、ビル使用のための様々な目的までも提案して、新しいビジネス
      を生む。 とても面白いお話ですね。
 
田 中 :いろいろな提案をしました。

      銀座のバーテンダー理事の方のお話や、資生堂のアートディレクターに
      ショーウィンドーの作り方やコンセプトについて。
      コンテンポラリーアートで知られる東京画廊の山本社長に、なぜ銀座には
      画廊が多いのかを講演していただいたり。

      私自身も、銀座の街を学ぶなど、いろいろな講演会や勉強会を開催し、
      人の輪がずいぶん広がっていきました。



      こうした中で、 「 銀座食学塾 」 を開催している友人から 「 ビルの屋上を
      探しているBee Keeper ( 養蜂家 ) がいる 」 という話があって、ここからが
      きっかけになりました。
 


ロズリン:えツ?ユニークな話ですね。 でも、ハチは怖くないですか?
 
田 中 :僕も最初、同じことを聞いたのです。
      そうしたら、ミツバチはわずか1ヶ月の命で、次の命のために巣箱へハチミツ
      を届けるのが使命。
  
      花から花へ行くのが仕事なので、特別なことがない限り、人を襲わないと言う。



      それなら、僕も Bee Keeper の人に屋上を貸してあげれば、銀座産の
      ハチミツがもらえる! と思ったんです。

      それがいつの間にか、 「 やるのなら教えてあげるから、途中で辞めないでね 」
      という話になってしまって。
 
      気がついたら、自分たちがミツバチを飼うことになっていたんです ( 笑 )。
 
 
ミツバチを育てると自然界が見えてくる
 
ロズリン:それはビックリな展開ですね。
      でも都心部の高層ビルの屋上でミツバチを飼っても、肝心な花がありますか?


    


田 中 :ミツバチは3~4kmほど飛べるのですが、浜離宮までが1.2kmで5分、
      皇居は1.5kmですから7分で飛べます。

      日比谷公園も近くにあり、
それ以外に沢山の街路樹があります。
      皇居内堀通りはユリノキ、霞ヶ関はトチノキ。 マロニエ通りのマロニエ、
      並木通りのリンデンなど、実は花を咲かせる木が多いんです。

      実際にミツバチを飼ってみて、銀座周辺は花の宝庫なんだとわかりました。


     
      皇 居                      日比谷公園

  
      最近では世界的にミツバチが減っていて問題になっていますから、銀座で
      ミツバチを育てられたら面白いと思いました。
 

ロズリン:
たしかに、ミツバチの減少が大きな問題です。
      作物への弊害も大きいですから。


田 中 :ミツバチは花のミツを集めるときに受粉しますが、これができなくなると
      当然果実が実らなくなるなど、大打撃を受けます。



      ミツバチがいなくなった理由は、農薬やダニなど様々な要因があります。

      国内では山の自然環境が変わってえさ不足のため、熊による被害も深刻です。
      養蜂家のミツバチがハチミツをとる熊に襲われることが多いと聞きます。

      銀座でミツバチを飼いはじめたことで、今まで関心を持っていなかった、奥山
      にまで関心が及ぶようになりました。
 

ロズリン:でもハチというと、どうしても 「 刺されると怖い 」 というイメージが根強いです。
      周囲に反対はされませんでしたか?




田 中 :
もちろん最初は皆さん心配されていました。
      このビルのテナントや中央区の公園緑地課など、いろいろな方々に説明
      をしに行って。 ご理解いただきながら、2006年3月よりスタートとなりました。

      それまで色々な人を集めたり、変わった提案をしてきたので、
      「 また変なことを始めるみたい 」 で済んだのだと思います。( 笑 )

      ミツバチを飼うようになったおかげで、花やミツバチの生態を知るようになったり、
      自然環境を考えるようになったりと、これまで無関心だった 「 自然 」 について
      かなり詳しくなりました。





ミツバチがさまざまな活動に発展
 
ロズリン:養蜂そのものは、やっぱり難しいですか?
 
田 中 :私が助かったのは、Bee Keeper として世界的に有名な藤原誠太さん
      との出会い。

      いろいろと教えてもらっているのですが、まず教わったのは 「 ミツバチは素手
      で扱いなさい 」 ということ。 なので僕は最初から素手で作業をしています。
      もちろん網のついた帽子はかぶりますよ。
 
ロズリン: まあ … 。でも勇気がいりますね。
 
 

田 中 :ミツバチはお互いに会話をしていて、いじめられていると思うと攻撃して
      くるんです。 手袋をしているとどうしても扱いがぞんざいになってしまうので、
      素手で注意しながらやさしく扱っていれば凶暴な性格にはならないんですね。

      ごくごくまれに不注意で刺されることはあるでしょうが、めったにないですね。
 

ロズリン:それで屋上でミツバチを飼うようになって、実際にハチミツは採れましたか?
 
田 中 :それが思った以上に採れました。

      初年度が150kg、予想していた量のなんと3倍でした。 今年は840kgで、
      もうすぐ1トンです。

     


ロズリン:
ええ?驚きました! そのハチミツどうしていますか?
 
田 中 :僕が銀座の勉強会を開いたときに、銀座は江戸時代から職人の街だと
      知りました。
      それでハチミツも銀座の職人の方々の技で生かしてもらおうと思いました。

      三笠会館のバーでカクテルにしてもらったり、文明堂のカステラ、
      アンリ・シャンパンティエでマドレーヌ、資生堂パーラーのフレンチトースト、
      メゾンカイザーでデニッシュ、ホテル西洋銀座でマカロンというように、銀座で
      採れたハチミツを使った、銀座ブランドの商品を作っていただきました。

      銀座社交料飲組合には1700軒が登録していますが、これらのお店で
      ハニーハイボール ( ハニハイ ) として飲むこともできます。

      さらに、この収益の10%ほどをドネイションとしていただき、そのお金で銀座に
      花を植えています。飲めば飲むほど、銀座に花が増えるというわけです。







     田中淳夫さん略歴

     1957年  東京都江戸川区生まれ
     1979年  日本大学法学部卒業
     1979年  紙パルプ会館就職
     2006年  銀座ミツバチプロジェクトスタート
     2010年  環境大臣表彰



インタビューは後編へと続きます。お楽しみに!