副理事長 田中淳夫 さん
  のインタビュー 後編です。

 


ミツバチプロジェクトが結ぶ、交流の場
 
ロズリン: Bee Garden は、今銀座にいくつぐらいあるのですか?
 
田 中 :中央区に全8ヶ所で、1000㎡を超えました。

      銀座では、養蜂所はここ紙パルプ会館の屋上と、銀座マロニエゲートビル
      の屋上の2ヵ所です。

      今、他のいくつかの企業さんでも次々屋上に作ろうという話も出てきています。




ロズリン:そんなにたくさんあるんですか。
 
田 中 :環境問題を考えていく中で、今、大きなビルを建てると東京都の条例で、
      屋上を緑化しなくてはいけないのですが、ただ芝生を植えても誰も来ない
      ですよね、食べものに関わる緑にしないと。 そう思いました。

      取り組みは今、銀座ビーガーデン と称して様々なものを植えています。

      白鶴のビルには稲が植えられていて、銀座のクラブのママが着物姿で
      稲刈りをして、銀座産の米でお酒が作られて振舞われていたりします。

      銀座三越の屋上にも野菜が植えられていて、昨年は京橋築地小学校の
      4年生が授業として収穫をしました。





      屋上に食べ物を植えれば自然と人が集まってきますし、さまざまな
      交流が広がっていきます。
 


ロズリン:今は相当注目を集めていますね。
 
田 中 :海外でも関心が高いようで、いろいろなメディアから取材も受けました。
      全日空や日航等の機内誌、Japan Times、CNN、BBC、ドイツ国営放送
      やアルジャジーラまで。



      最近では韓国で講演をしたり、ロシア沿海州のアムール川上流の
      養蜂視察にも出かけて来ました。

      デンマークの環境大臣やアメリカ公使など、海外からも沢山の方々が
      いらっしゃったりします。


ロズリン:日本国内ではどうですか?



田 中 :ミツバチプロジェクト自体が、地方で広がっています。

      現在では札幌、仙台、福島、名古屋、大分、北九州でミツバチプロジェクト
      の活動が広がっているんです。

      このプロジェクトを通して、地方とつながりができていく中で、逆に地方の
      農業と銀座の街をつなげていくようなさまざまな活動も生まれています。

      ミツバチに直接関係のあることでは、ミツロウが取れますが、これを使って
      山形の作家さんにキャンドルを作ってもらい、松屋さんでクリスマス時に
      販売し、収益の一部を東北の震災で被災して親を亡くした子どもたちに
      寄付する活動も始まりました。




ロズリン:
今日ビルの外で、マルシェのようなものがありましたが。。。
 
田 中 :それは年に4回 「 ファームエイド銀座 」 という食に関するイベントを、
      この紙パルプ会館の前で実施しています。

      交流が生まれた地方の方々と協同した企画のひとつです。

      ファームエイドでは、岡山の新庄村から 「 ヒメノモチ 」 の餅つきをして
      もらったり、佐渡ヶ島から鬼太鼓が来たり。

      地方各地からの農産物や名物料理のマルシェが立ちます。



      こうした活動は、ほかにもいろいろあります。

      たとえば銀座のビルの屋上で新潟の枝豆を育て、銀座中学の子ども
      たちがボランティアで手伝ってくれています。

      それが縁で銀座新潟塾という塾も開催されているのですが、今年は
      子どもたちが2泊3日で新潟に農業研修に行ってきました。

      また、収穫された枝豆と銀座ハチミツでコラボをして、マカロンを作って
      販売をしたりもしています。

     
              銀座ミツバチとのコラボ商品



ロズリン:ハチミツからの思いかげない大きな発展ですね。
 
田 中 :岡山県の新庄村は人口1000人ほどの小さな村で、岡山市へと流れる
      旭川の源流域でもあります。

      そこでは今年から、手間が掛かっても農薬をなるべく使わない米作りを
      始めました。

      先日その新庄村に伺い、 「 源流サミット 」 にも出席してきました。
      苦労して価値のあるお米を作っているのだから、岡山市の人たちに環境
      を考えてもらうと同時に、そのお米を高くても買ってもらうにはどうしたら
      よいかということも考えています。

      銀座ファームエイドでは、つきたてのお餅を食べたことがご縁で特別村民
      になってもらい、村と都市をつなぎ交流してもらう事も始まりました。



   

 
楽しく活動していくことが 「 夢 」
 
ロズリン:ハチミツはどのように採取しますか?つまり自分たちで作業して採りますか?

田 中 :紙パルプ会館のハチミツは、4月から7月まで毎週土曜日の朝にボランティア
      の人にも集まってもらって採っています。

      中央区にさわやかワーク中央というハンディキャップの人達が働く施設がある
      のですが、そちらの人達にも草取りなどを手伝ってもらい、ハチミツから得た
      収入からお金を支払うという仕組みも作りました。
 

ロズリン:
ハチミツ自体を買うこともできますか?
 
田 中 :銀座で採れたハチミツをさまざまな商品に使用して、銀座地域のビジネスと
      結びつけ、相乗効果を生みたいと思うので、ハチミツ自体を売ることはあまり
      考えていません。
 
 
いまのところ松屋デパートに入って
いるラベイユという高級ハチミツ専門店
でのみ少量販売している程度です。

少量ですが、皆さん銀座土産として
買われているみたいですね。







ロズリン:とても素朴な質問ですが、ハチミツを採ってもミツバチは困ることは
      ないですか?



田 中 :ミツバチ1匹が生涯に集めるハチミツは、実は小さじ1/2杯くらいと
      本当に少量なんです。

      でも女王バチは1日1000~2000個もの卵を産みます。
 
      ハチミツが大量に採れる時期には、巣がハチミツでいっぱいになって
      卵を産む場所がなくなってしまう。

      その部分をこちらで収穫してもらうわけです。

    

      天候や季節で採れるハチミツの量は変化しますから、それを見て、ハチミツが
      減っていく時期には採蜜はストップします。
 

ロズリン:どの花のハチミツというのは、どうやってわかるのですか?
 
田 中 :ミツバチはとても効率よく社会的に生きています。
      その時々で決まった花に向かって行き、その花のミツを集中して採るんです。
      最初に、企業で言えば企画開発のミツバチが今日ミツを採るべき花を探しに
      行き、帰ってきたらダンスを踊って方向と距離などを伝える。

      するとそれを見ている営業部隊のミツバチ達が、みな一斉にその花に飛んで
      いきます。 とても効率良く仕事をしています。
 
ロズリン:おもしろいですね。
 

田 中 :
こうしたさまざまなミツバチの生態に詳しくなりました。
 
      今、大震災以後、日本の環境だけでなく、食や農業等の問題でもさまざまに
      揺れています。
      私たちは農業生産法人を作っていて、銀座ミツバチという会社も作りました。

      福島にも土地を借りてジャガイモを作っているのですが、そうした活動も
      きっかけとなり、被災地にもいろいろな援助を行っています。



      現在世界から見ると、原発事故で日本の環境の不安なども言われて
      いますが、来年10月には東京でIMFの国際会議があり、世界中から
      約2万人が来訪します。

      銀座にも沢山の人々が来るでしょうが、銀座のミツバチの存在が、東京の
      そして日本の環境の安全性を示してくれたらいいなと思いますね。


      銀座の街は昔から、新しいことを受け入れてきた街だと言われます。
      「 いいものは続くし、悪いものなら続かなくても仕方がない 」 それがフィルター
      であると言われています。

      これからもミツバチプロジェクトが続いていくようなら、私たちもそれに合わせて
      変化しつつ、よい発展を遂げていけたらと思っています。






<インタビュー感想>

 銀座の真ん中、それもビルの屋上でミツバチを育てる。
 そんなことができるの?、どうやって?と疑問に感じていました。
 ミツバチ達は立派に屋上の巣箱で働いていましたよ!
 
 田中さんは 「 ミツバチが環境の指標となる 」 といいます。
 彼らが元気に生きられる環境であれば、間違いなくおいしい作物が育つ、
 人間にとっても良い環境が実現できるはずです。
 
 今世界的にミツバチの減少が問題になって、その原因については、
 各国で研究されていますが、まだその究明にはいたっていません。
 
 実をつける多くの作物がミツバチによる受粉に頼っています。
 最近では、銀座に咲く桜などの木に、たくさんの実がなるようになったそうです。

 ハチミツから始まり、銀座地域がつながり、花や緑が溢れるよりよい環境を育てる。
 そして安全でおいしい食物を手に入れることもできる。
 一つのご縁からスタートしたプロジェクトが、こんなにも素晴らしく大きなムーブメント
 をおこすことができることに大変驚きました。
 
 ご苦労も多いかと思いますが、皆さん楽しんでさまざまなプロジェクトを手がけて
 いることが、また素晴らしいと思います。