写真家
  日暮 雄一さん をお招きした
  前編です。





今回お話をお伺いした日暮雄一さんは、日本人はなかなか行かない
西アフリカ地方 ( マリ、ブルキナ・ファソ、トーゴ、ガーナなど )の土でつくられた
バナキュラー ( 土着的な ) 建築を撮影し続けている写真家です。
 
大学では建築を学び、その後設計事務所で8年間設計をしていたという日暮さん。
どうして西アフリカの建物を撮影するようになったのでしょうか?
 
インタビューの前に、ユニークな建築のスライドショーを鑑賞させていただき、
その後お話をお伺いしました。


 





建物を撮影したくてカメラマンに
 
ロズリン:すばらしい写真です!!
      どれも見たこともない建物ばかりで、とても感激しました。

      西アフリカに行くには、時間はもちろんですがお金もかなりかかりますよね。 
      失礼ですが、その時間とお金を得るのに…普段日本では、どんなお仕事を
      されていますか?



日 暮 :
日本でも建築を撮影しています。
      しかし、日本ではバナキュラーなものではなく現代的な建築物を撮影しています。
      建築家などから依頼を受けての撮影、それがメインの仕事ですね。
 
ロズリン: ( お仕事の写真集を見せてもらって ) アフリカの建物とは全く違う、非常に直線的で
      きれいな建物の写真です。

      すごいですね、こういう作品も私は大好きです。
 
       

日 暮 :建物が好きなんです。
      自分の好きな建物を撮り続けたくて、写真家になりました。



ロズリン:撮影の感性がすばらしいですね。

      影や日の当たり具合が素敵です。 この写真もちょっと時間がずれるだけで、
      まったく違う表情の写真になってしまいますよね。
 
日 暮 :おっしゃる通りですね。
      私自身が設計を行っていたので、設計者の設計意図をくみ取ることができます。
 
      そこに、自分の感性をプラスして撮影を行っています。
 

ロズリン:
設計の仕事からカメラマンへと大きく転身されたわけですが、カメラの撮影技術
      を学ぶために専門学校に通うとか、何か特別な勉強はしましたか?



日 暮 :特別な勉強はしていないんです。
      基本撮影して行く中で学んできました。
 
 

若いときには、今でこそ行ける遠い国へ行きたい
 
ロズリン:アフリカとの出会いはどういったきっかけでしたか?
 
日 暮 :学生の時から海外にはいろいろ行っていました。
      ヨーロッパなどもいろいろと周りましたが、メディアなどでもあまり紹介されない
      ようなところばかり行きました。

      また、若くて体力がないと行けないようなところから廻ろうと思い、中近東、インド、
      ネパール、チベット、南米などの遺跡や建物を見に行きました。 
 
ロズリン:南アメリカ、インドやチベットなども面白い建物がありますよね。
      でも今回のような面白い建物を見たのは初めてです。



日 暮 :私も初めて見たとき、そう思いました。
      設計の仕事をしていた頃は、いろいろと頭で考え、ミリ単位でデザインを
      考えていました。

      それが土の建物は、そうした緻密な建築手法とはまるで違い、現地にある
      土や木、石などを組み合わせきれいな建物をつくりだしていたので、大きな衝撃を
      受けました。
 
      ディテールなんかないんですが、ものすごくパワーを感じます。
      プリミティブな造形美がとても美しく、そしてそのような建物が西アフリカには
      多くあるんです。
 
      そんな建物をもっともっと自分の目で見てみたいと思い、写真家になったんです。


 


  ユニークな土の建築物
 
  ロズリン:先ほど見せていただいたスライドにあった
        建物は、どれも珍しいものばかりでした。
     
        西アフリカ独特のものですか?
        南アフリカなどにもあるんですか?


 
日 暮 :そうですね。南アフリカなどでは、ここまで造形的に面白い建物はないと思います。
      土は使いますけれども木が多くありますから・・



      今通っているマリやブルキナ・ファソといった国は、砂漠地帯で雨も少ないため
      樹木が少ない、それで木をあまり使わないですむ 「 土の住居 」 や 「 土のモスク 」
      が作られているんです。

      土がおもな素材ですと、造形が自由に造れるので面白いものが生まれてくる
      のだと思います。




ロズリン:同じ土の住居といっても村によって形が違ったり、建物の表面にも美しい模様が
      描かれていたりと、すばらしいものでした。

      建物の形状や模様に何か決まりごとはありますか?
 
日 暮 :形状は部族ごとにほぼ決まってきます。
      例えば、カッセーナ族の母屋は円形の部屋二つでできていて、日干しレンガを
      積み上げ、壁にペイントをして、石を使って壁をツルツルに磨きます。

      そのような家々が壁づたいに繋がって、一つの村を形成しています。



      それに対し、タンベルマ族の家は日干しレンガは使わず、泥を積み上げて
      作っていきます。
      そして、それぞれの家が独立して30mとか離れて建っています。 


ロズリン:
タンベルマ族の家はおもしろかったですね。

      家畜を1階の小部屋に住まわせ、人間は2階に作った部屋で暮らしていて。
      建物の外から見るだけでは、想像もできないような内部構造をもっていますね。



      あの建物を土と木の柱だけで作り上げるという技術も、相当なもんです。
      日暮さんの描かれた建物の図面がなければ本当にわからない。


     

 

日 暮 :僕も最初に建物の中に入れてもらった時には、内部は薄暗く、
      まるで迷路のように感じました。

      現地で実測し、図面を描いてみてやっと建物の構造を理解することができました。





日暮雄一さん略歴

1970年  東京都生まれ
1993年  武蔵工業大学建築学科卒業
       豊田博之建築設計事務所
1996年 武蔵工業大学大学院建築学専攻修士課程修了
1996年~2003年   松田平田設計
       「山梨県小瀬スポーツ公園アイスアリーナ」で2002年日本建築学会作品選奨、
       2003年建築業協会賞(BCS)、東京建築賞奨励賞、国際オリンピック委員会 IAKS 
       AWARD 2003 SILVER AWARD受賞
2003年  日暮写真事務所設立
 

在学中、設計事務所在職中から、アフリカや中近東など土着的な建物を撮るように。
現在はフリーのカメラマンとして建築を中心とした写真を撮影している。





インタビューは後編へと続きます。お楽しみに!