グラフィックデザインスタジオ
 エクスプリム 社長
 マニグリエ真矢さん をお招きした
 後編です。




着物の本も出版、鼓にも夢中!
 
ロズリン:チャレンジャーなんですね。
      そういえば、着物に関する本も出版されたとか。

 
      著書 「 パリジェンヌの着物はじめ 」 ( ダイヤモンド刊 )
 

マ ヤ :日本に来て、着物と出会うプロセスの中で、職人さんなどおもしろい方々の
      お話をたくさん聞けたんです。
 
      日本人って、あまり質問しないんですね。 恥ずかしいのかしら?
      私はフランス人で、日本のことも着物のことも知らないのはあたりまえだから、
      どんどん聞いちゃいました。

      そのときに聞いたことを書き起こした本です。




ロズリン:
私も着物、大好きでよく着るんです。

      学校に通って着付けを習ったのですが、なかなか難しいですね。
      だいたい1時間ちょっとで着るんですけど、2時間かかるときもあります。

     

      帯ってどれも性質が違う。
      やわらかいもの、そうではないもの、癖があるから、最近は着る前の日に
      必ず帯だけは練習しています。
 
      最近は着付けを忘れないために、毎月必ず1回は着る機会をつくって
      いるんです。 結婚式とか、パーティとか、何もなければちょっとした食事に
      着ていくとか。
 

マ ヤ :
私はお稽古で着るのがメインです。
      前は日本舞踊を習っていたんですけど、最近は鼓なので袴ばかり。

      帯を締める機会は少なくなりましたね。


             鼓のお稽古





ロズリン:
鼓とは、すてきな趣味ですね! 
 
マ ヤ :鼓といっても、楽器として舞台で打つのではなく、自然との通信道具として
      打つんです。 満月の夜の海や熊野の神社などで打っています。

      7年前、お能の囃子方であり大鼓ソリストでもある大倉正之助さんと出会い、
      そのグループに加えていただきました。

      3月11日には、東日本大震災の鎮魂大法要として、曹洞宗大本山總持寺で
      行われた108名の鼓奉納させていただいたんですよ。
















3月11日 平成救世観音
東日本大震災鎮魂・祈願
大法要 ( 横浜大本山總持寺にて )
 

津島神社にて奉納



To Doリストはエンドレス!
 
ロズリン:すばらしい体験をされていますね! 

       いろいろな方面でご活躍ですが、これから新たにチャレンジしてみたい
       ことはありますか?
 
マ ヤ :私のTo Doリストはエンドレスです ( 笑 )。

      まず、仕事のほうでは、2010年にスタートしたブランド 「 マヤゴノミ 」 を
      もっと発展させたいと思っています。



      日本の暮らしの中で出会ったすばらしい伝統や習慣、文化を現代に息づく
      スタイルとデザインで世界へ発信するものです。 

      たとえば、 「 ココロづけ袋 」 というシリーズがあるのですが、もともと日本には、
      人にお金をお渡しするときにちょっと包んで渡す習慣がありましたよね。

      いまは 「 裸でごめんね 」 となりがちで、それすら言わない世代もある。

     ココロづけ袋

     私たちフランス人の目から見ると、すてきな習慣なのに失くしてしまうのは
     もったいないな、と。

     でも、昔ながらののし袋のデザインは私自身もあまり趣味じゃないし、
     現代にマッチしていないと思うので、こんなふうにモダンなデザインを考えました。
     これなら、日常の中に取り入れながら伝統を残していけるのでは。

   モダンなデザインで

     残念ながら、まだあまり人に知られていないんです。
     「 こんなのがあったの! 知っていれば欲しかったのに 」 と言われることも
     多いので、もっと人の目にふれるように広めていきたいです。
 
     プライベートでは、パラシュートやお香をやってみたい。
     あと、日本人の
スピリチュアルな考え方に注目していて、それをテーマに本を
     書きたいと思っています。



それでも、日本が好き
 
ロズリン:日本に来られて24年。
       日本の好きなところ、嫌いなところを教えてください。
 
マ ヤ :嫌いなところは、ずばり、平等と対等を間違えている人が多いところ。
 
ロズリン:というと?




マ ヤ :たとえば、去年の大震災で、避難所に100人いました、カップラーメンが
      90個ありました、というとき。

      10個足りないからと配らず、数が揃うまで待っていたというんです。
      みんないっしょ、みんな我慢、が平等だと思っているんですね。ばかばかしい。 
 
      対等とは、みんな違う、みんなそれぞれ、それを納得し受け入れることです。
      そこから出発し、じゃあ平等にするにはどうするかを考えることです。
      こちらは、努力が必要。



      ふだんからいろいろな人種がいて、違う肌の色や髪の色の人がいる環境で
      過ごしていた私たちには、その努力はあたりまえ。
      でも、日本人にはむずかしいのでしょうね。

ロズリン:同感です。
      自分とは違う考え方の人と折り合っていくのは、日本人はあまり得意
      じゃないかも。
 
      あと、オーストラリア人と比べて日本人はあまり知らない人に話しかけたり
      しないですね。
      日本は国土が狭いわりに人口が多いから、プライバシーを守るのに必死
      なのかしら? ホームパーティもあまりしませんよね。
 
マ ヤ :家を見ると、その人がよく理解できるのに。
      「 いい家じゃないから人を呼べない 」 と言いますけど、フランスだって家は
      狭いですよ。

      学生のときなんか、狭い部屋でも平気で人を呼んでいました。
 
      家族ぐるみのお付き合いもしませんね。
      いつだったか、結婚式に夫は呼ばれず私だけ呼ばれたとき、母や祖母が
      「 信じられない! 失礼だ! 断りなさい! 」 って ( 笑い )。

    

ロズリン:欧米では、必ず夫婦セットですからね。
 
マ ヤ :もちろん、好きなところもあります。
      世界でもこんなに安全なのは日本だけ。 治安の面だけでなく、
      信頼を
寄せて安心しておつき合いできる人が多いです。
 

ロズリン:
地震についてはいかがですか? 
      あの日以来、多くの外国人が日本から去ってしまいましたね。

      マヤさんは、日本を出ることは考えませんでしたか?
 
マ ヤ :まったく考えませんでした。
      日本に住むことを決めた時点で、地震のことはわかっていたわけですから。

      怖くないわけじゃないですが、たとえばフランスにはテロがありますし、
      どこに住んでいてもリスクはあると思うんです。

 
ロズリン:そうですね。
      マヤさんとお話ししていると、あらためて日本のよさに気づかされます。
 
      今日はありがとうございました。


      2004年パリ参議院会館内での授賞式にて



<インタビュー感想>
 
日本人は豊かな自然に恵まれ、古来より自然に感謝し、その自然には八百万の
神が宿るとして、信仰し奉ってきました。
現代の日本ではマヤさんが言われる通り、その文化は忘れられつつあるように
感じます。
 
私も着物の美しさ素晴らしさ、日本の文化に魅せられた一人ですが、その伝統に、
ほんの少しだけ現代的なアレンジを加えることで、現代の生活に馴染むものに進化
させ、もう一度スポットライトがあたるようにします。
 
そんなマヤさんの取組みを素晴らしいと思いました。
 
いつもインタビューをしていて感じることですが、皆さん何かの縁に導かれ、
進むべき道へのきっかけとなる人物に出会います。

その出会い、人と人とのつながりを大切にすることで、その方自身の世界がまた大きく
広がって行くのだと思います。
マヤさんもまず間違いなく、人との縁を大切にこれまで歩まれてきたことがわかります。
 
マヤさんのウィッシュリスト、目標や夢のリストはエンドレス。
フランス人そして女性だからこそ活きてくることをし続けたいと語るマヤさん。

今後またいったい何をはじめられるのか、目が離せませんね!