グリーンピース・ジャパン
   花岡 和佳男 さん を迎えての 前編 です。



環境保護団体、グリーンピース・ジャパンのキャンペーン・マネージャー、
海洋生態系問題担当者として活動する花岡和佳男さん。

捕鯨問題や過剰漁業問題に加え、3・11以降は原発事故の海洋生態系への影響や
魚介類の放射能汚染の問題に取り組み、海洋調査や市場調査プロジェクトを牽引し、
休むひまもなく飛び回っています。
 


原点は、高校時代の海への思い

ロズリン:花岡さんとの出会いは、あれですね。
      グリーンピース・ジャパンが今年2月に発表した福島原発事故に関する調査報告書
      『 福島第一原発事故の教訓 ―― 原子力行政の制度的欠陥 』 の記者会見。

      単なる環境への影響の説明だけではなく、問題改善への建設的な提案もたくさん
      あって、非常に印象的でした。
 
      正直、それまでグリーンピースとは、少々エキセントリックな人たちの団体だと
      思っていましたが ( 笑 )、 すっかりイメージがかわりました。
 

      © Jeremy Sutton-Hibbert / Greenpeace
      海の放射能汚染調査中のグリーンピースの船 虹の戦士号


花  岡:ありがとうございます。
 
ロズリン:なぜ今のような仕事に進むことになったんですか?
 
花  岡:父の仕事の関係で、3歳から20代までシンガポールやマレーシアに
      住んだのですが、あのあたりはとてもきれいな海がたくさんあるんです。

      高校時代からスキューバダイビングを始め、海のすばらしさはもちろん、
      海の中では息もできない人間の存在がいかにちっぽけかを実感したんですね。
 
      しかし徐々に私が通っていた珊瑚礁が、周囲のリゾートホテル等の開発により
      壊れてきた。 ピュアな高校生だった私としては、自分が好きなものが壊されるのが
      悲しくて、それを守っていく生き方がしたい。そう思ったのがきっかけですね。
 

ロズリン:
それで海洋生物学と海洋環境学を専攻に。。。




花  岡:はい。フロリダの大学で。
      原点は自分の育った海を守ることだったので、卒業後はマレーシアに戻り
      エビの養殖業の仕事につきました。

      通常のエビの養殖はマングローブを切ってしまうので、陸の土砂が流れ込み
      珊瑚礁を壊すので、私はマングローブを残し養殖を行なう方法を現地の人に
      教えていたんです。

      でもショックなことがありまして。
 
ロズリン:何ですか?
 
花  岡:何とマレーシアで養殖するエビの多くが日本で食べられていたんです。

      今日明日食べるのに苦労している現地の方に、日本人である私が環境保護の
      視点でエビの養殖を教える、でもその裏に日本の企業があったんです。

      これが衝撃で日本で活動せねばと帰国しました。



20代いよいよ日本に

ロズリン:
それはおいくつの時ですか?
 
 


花  岡:20代半ばですね。
      日本で暮らした経験がなかったので、最初はカルチャーギャップに苦しみました。

      また、特に日本の方々の多くは考えが内向きで国内のことしか興味がないと感じ、
      危機感を抱きました。
 
ロズリン:だからこそ花岡さんにはすごく重要な役割があるんですね。
      日本人でありながら別な考え方を伝えられる。

花  岡:だといいんですが。
      活動をしていて、グリーンピースのような問題を世の中に広める団体こそが、
      今の日本には必要だと感じています。

 
ロズリン:日本人が動かないから?

   

花  岡:日本の方々は調和を大切にしますね。
      それはすばらしいことですが、市民は行政に対してウォッチする役割も本来は
      あるわけです。
 
      今回の原発問題もそうですが、市民社会は政府や行政がきちんとした仕事を
      しているかを監視する役割を奪われていて、、それにより政府や行政、そして
      一部の企業のやりたいままにできるようになってしまっている。

      捕鯨問題もそう。
      クジラ肉を食べたい人なんて今やほとんどいないのに 「 調査捕鯨 」 と言う
      名目で続き、国際的に日本の印象がどれだけ悪くなっているか。
  
ロズリン:私も海外に行くと、とてもそれを感じます。



「調査捕鯨」を本当のクジラ類の調査・保護に変えよう
 
花  岡:今も日本の船が、鯨類保護区 ( サンクチュアリ ) となっている南極海で、
      税金を使ってクジラを殺している、特に2011-2012の冬は、東関東大震災の
      復興予算を使って南極海で捕鯨が行われていたなんて、みなさん知りませんよね。

      今禁止されている商業捕鯨のころにクジラの数は激減しました。
      きちんと回復させて次の世代に残したいじゃないですか。
 
      私達グリーンピースが捕鯨に反対するのは、生態系を保護し次世代に残すことが
      目的です。 過激だからとか、クジラがかわいいからとかではないと、最近ようやく
      世間にうけいれられてきました。
 

ロズリン:
今もクジラ肉って、日本で売っているんですか?
 
花  岡:一般ではほとんどないですよ。

      食べたい人もほとんどいないのに、ナショナリズムの強い政治家など一部の人が
      「 捕鯨は日本の文化だ 」 と、南極海捕鯨と日本文化をまぜこぜにしている。



      捕鯨問題も、原発の問題もそうですが、今の日本に必要なのは世論を受けとめ、
      過去ではなく未来を見て状況を見極めるディシィジョンメーカー ( 意思決定者 ) です。

      日本にはそういう政治家がいないんですよ。
 
ロズリン:本当ですね。
 

花  岡:だって調査ならば、クジラを殺さずに南極の海の生態系を調べればいい。

      日本はせっかく南極の海を航海できる船と、南極の過酷な環境下で働ける技術者が
      いるんだから、国際的に学者を募って非致死的手法を用いた南極海生態系調査
      すれば、逆に日本の評判になる。

      私はそういう貢献の仕方が一番いいと思います。
 
ロズリン:さすが、建設的なご意見ですね。
      花岡さんのそういうところに私はぐっときたんです ( 笑 )。

      ぜひ次は、記者会見でお話になった原発事故の調査についてお聞かせください。


            

    
  
 <プロフィール>

   花岡 和佳男 はなおか わかお
   
    グリーンピース・ジャパン
   キャンペーン・マネージャー/海洋生態系問題担当
 
   米国、フロリダ州フロリダ工科大学在学中に海洋環境学および海洋生物学を専攻し、
   マナティーや海ガメの保護活動に取り組み、また海洋研究所のインターンとして、
   鯨類のコミュニケーションおよび熱帯魚養殖について研究。

   卒業後、モルディブでの海底調査や、マレーシアでのマングローブ林を伐採しない
   エビの養殖施設の立ち上げメンバーなどを経て、
   2007年よりグリーン・ピースジャパン海洋生態系問題担当スタッフとなる。
 
   2011年11月よりキャンペーン・マネージャーを兼務。
   PADIダイブマスター、おさかなマイスターでもある。
   昭和52年8月21日生まれ
 
 
 
 インタビューは、後編へと続きます!お楽しみに。