NPO法人 「 がんばる福島 」
  副代表
  金子 健司さん をお招きしての後篇です。






動物たちを生かしていくので精いっぱい
 
金 子 :代表の松村が犬猫を助けているうちに、今度は牛の問題も出てきてしまった。
 
ロズリン:あの時の犬猫もそうですが、牛の放置もひどかったですね。
      県の大事な財産で生物なのに、当局からそれを救う何の計画もなく。


           放置された牛

金 子 :その通りですよ。 松村は犬猫にえさをやるため、朝から晩までかかって町中を
      回っていましたが、そこで見た光景を彼が話してくれました。
 
      「 ある牛舎で牛がモーモー鳴いていた。ずいぶん元気がいいなと思っていた。
       ところが数日して鳴き声が止まったんだ。 おかしいなと牛舎を見に行ったら、
       そこは牛の死骸だらけだった。 あれは、えさくれ、水くれ、の断末魔の鳴き声
       だったのかと気づいてショックだった 」 と ・・・。


         当時みつけた牛舎の様子

      そして僕はこの時、この原発事故の悲惨さをみんなに伝えなくてはと
      本当に思いました。




ロズリン:何頭もこれから生むという牛がつながったまま、おいておかれたとも
      聞いています。 本当にひどい状態だったらしいです。
 
金 子 :震災前、富岡町にはおそらく500頭前後の牛がいたと思います。

      牛舎での餓死や病気や事故で死んで、または殺処分されて、
      いまは200頭もいないでしょう。

      殺処分に反対の松村は牛も救わなければと、こうして犬猫以外の動物を
      救う活動も始まりました。


           えさを積み込み巡回する





動物だって、同じ被災者のはずなのに
 
ロズリン:私は獣医として働いていませんが、獣医の免許があり、災害時における
      動物たちの問題が非常に気になります。

      人間同様、いざというときの家畜の避難対策も予め考えておくべきです。
 
金 子 :本来、牛や豚は家畜法で、災害時には 「 避難 」 させることになっているんです。
      ところが、今回の原発事故の混乱の中、それがなされなかった。

      代表の松村がよく言うんです。
      人間だけじゃない、動物だって同じ被災者なんだ、と。

      強制避難命令が4月22日に出され、区域の中へ誰もが簡単に入れなくなり、
      動物の世話もできなくなった。

      それで多くの畜主さんは、餓死だけはさせたくないと牛舎の扉を開けて
      放し飼いにしたのです。


      
                               えさをもらう牛たち

      この後に政府は、安全面、衛生面を考慮し、全頭殺処分せよ
      との命令を下しました。

  

ロズリン:牛は重要な財産です。 被爆する前に救出すればよかったのに…。
 


金 子 :
また殺処分の仕方があまりにもひどいと、多くの動物愛護団体様や
      個人ボランティアのみなさんから、政府や関係機関にばんばんクレームが
      入ったこともあり、殺処分は一時停止となりましたが...
 
ロズリン:牛は重要な財産だし、しかも移動できる財産。4つ足がありますから(笑)。 
      大事にしない手はないと思いますけど。

 

      たとえば、災害時にこちらの牛舎で10頭、あちらの牛舎で10頭など、
      牛を預かるシステムを立ち上げればよいのでは? 

      何か組織を作れば、救出は可能だと思いますけどね。
 
金 子 :そうですね。
      ただ、蓄主さんたちの大半は、今は殺処分に賛成しているのが現状です。

      そりゃあ、本音では殺したくない。
      でも、先が全く見えない状況に置かれていて、その選択しか選べないのかも
      知れません。
 
ロズリン:そうなんですか。
 

金 子 :それに国は、牛を家畜としてではなく、放射能の汚染物質としてしか見ていない。      
      代表の松村に、強制避難区域から一歩たりとも牛を出すなと 言ってきました。


           

ロズリン:今となってはそうでしょうけど、早く動けば助かったのに。

      でもそういえば、福島ナンバーの車が駐車を拒否されたというニュースを
      耳にしました。 実態の分かっていない偏見ですね。

      被爆は、うつるものではないのに。

金 子 : 福島県内の病院でさえ、強制避難区域である双葉郡の保険証を出すと、
      「 この保険証は、うちではだめなんです 」 と 治療を拒否するところもあったそうです。

      その話を聞いたときは、悲しかったですね。

      それでも代表の松村に、役場のみなさんや殺処分に反対の畜主さん、
      牛の去勢手術をしてくれる獣医師さんたちが、協力してくれるようになったのは
      嬉しかったです。

      
             津波を受けて朽ちた富岡駅
 
 
             津波によるガレキの山

 

ロズリン:これから、 「 がんばる福島 」 の活動は?

金 子 :いずれは本来の目的である 「 町を除染して再び住めるようにする 」 活動に
      力を入れたいと思っていますが、正直いまは、動物たちを生かしていくことで
      精いっぱいです。

      代表の松村が現地で奮闘してくれているので、私は横浜と福島を行ったり来たり
      しながら、少しでもこの活動の賛同者を増やすため、 「 がんばる福島 」 の広報
      活動を進めていこうと思っています。


      震災後に生まれた子牛

      同じく震災後に生まれた子豚



 <インタビュー感想>
 
 震災後、本当に心を痛めていたことの1つが、福島の原発周辺に残されてしまった
 動物達のことでした。
 家で飼われていた犬猫はもちろん、飼育されていた牛や豚などの家畜たち。
 その惨状を知り、なんとかしたいと思っていました。
 
 そんな時、非難区域に指定された福島県双葉郡に一人残り動物達を助けている村松さんが
 いることを、外国人特派員協会での記者会見で知ることになりました。


                                   松村さん ( 記者会見で )
 
 幸い松村さんが保護した犬や猫は、一部飼い主の元や里親へと引き取られたそうですが、
 約1年半たった今でも、残された牛や動物たちのために戦い続けることで精一杯というのが
 現状です。
 
 福島がこのような状況の中、日本の原発は再稼動し始めてしまいました。
 エネルギー不足で経済活動が低下するなど、賛否両論あるかもしれませんが、この先また
 大きな地震は絶対にやってくるはずです。

 第二そして更に大きい原発事故が起きてしまう前に、日本はエネルギー確保の方法を
 方向転換する必要があるでしょう。 そして人間だけではなく、大事な動物達の保護対策も。
 
 今後もこの「がんばる福島」の活動を応援したいと思います。
 そして団体本来の目的である、町を除染しもう一度住める状態にすることが一日でも早く
 実現されるようお祈りしています。

 

 ◆金子さんのブログ(NPO法人 がんばる福島)
   ときぶーの時間 : http://blog.goo.ne.jp/tokigootokiboo

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