小編成の弦楽室内オーケストラ
  「 東京シンフォニア 」 のチェロ奏者
  巌 裕美子 さん をお招きしての 後編 です。

  


「やめたい」と思ったときもあるけれど
 
ロズリン:子どものころから、チェロ奏者になると決めていたんですか。
 
巌さん :そうですね。
      具体的に決めていたわけではなかったですけど、ずっと続けて
      いくんだろうな、とは思っていました。
 

ロズリン:
やめたいと思ったことはない?
 
巌さん :あります。中学生のころ、母に 「 やめたい 」 と言いました。
 
ロズリン:別の夢ができたとか?
 
巌さん :いいえ。単純に練習がいやだったんだと思います。
      遊ぶ時間がないのが不満でした。
      でも、母にそう言っただけで精いっぱいで、なんとなくそのまま ( 笑い )。
      本気じゃなかったんですね。



      小学校、中学校はふつうの公立でしたが、高校から音楽学校に
      行ったんです。
      まわりがみんな音楽をやっている環境だったので、それからはすごく
      楽しくなりました。
 

ロズリン:音楽以外に趣味は?
 
巌さん :写真を撮るのが好きです。
 
ロズリン:どんなものを撮るんですか。
      被写体は、人? 動物? 風景?ブログなどで載せているんですか?
 
巌さん :人物などではなく、街のちょっと面白い風景などを。
      出かけた先で見つけた、ちょっと変わった看板とかを撮るのが好きで。

      特にWEBで載せたりはしていないです。

ロズリン:看板ですか、それはユニークですね。
      是非見てみたいです。


       
               巌さん撮影のおもしろ画像



オーケストラアカデミーを卒業後、東京シンフォニアに

ロズリン:大学を卒業されてから、東京シンフォニアに入るまでの
      経緯を教えてください。








巌さん :奏者になりたいという夢があったので、大学卒業後、富山にある桐朋の
      オーケストラアカデミーに2年間、通いました。

      月に2回演奏会があり、その活動をしながらオーケストラの勉強をする
      ところです。 まあ、大学院みたいなものですかね。
 
      そこを卒業して、オーケストラに入りたいと思って、入れるところを
      探していました。

      欠員が出ないと募集がたたないので、タイミングがむずかしいんです。



      そうしたら知り合いから東京シンフォニアを紹介されて。
      いつのまにかメンバーに加わっていました。
 
ロズリン:入りたい人はたくさんいるでしょうに。すばらしいですね。
 
 

3~4回のリハーサルで、すぐ本番
 
巌さん :東京シンフォニアに入ってみて驚いたのは、演奏会の少し前に楽譜が
      配られるところ。

      自分で練習をして、3~4回のリハーサルで合わせるだけですぐ本番なんです。




ロズリン:それで、あれだけの音色が出せるんですから、みなさんさすがプロですね。
      演奏は、指揮者によってだいぶ変わりますか。



巌さん :変わりますね。
      だから、楽譜だけで読めないところは、その3~4回のリハーサルで対応して
      いかなければなりません。

      とくに東京シンフォニアは編成が特殊なので、やってみないとわからない。
 
ロズリン:さぞや中身の濃いリハーサルなんでしょうね。
      言葉の問題もありますし。
      指揮者のライカーさんは日本語のネイティヴスピーカーではないので。
 
巌さん :そうですね。その場、その場での対応が求められますね。
      でも言葉は、ゼスチャーで、なんかわかるので大丈夫なんですけど ( 笑い )。




音域が広いのがチェロの魅力
 
ロズリン:いまは音楽活動としては、どんな活動をされていますか。
 
巌さん :東京シンフォニアで演奏するのはもちろん、友人とトリオを組んで演奏したり、
      エキストラでいろんなオーケストラのお手伝いをさせていただいたり。
 
      それと、音楽教室で教えるのと、だいたい半々で活動しています。
 
ロズリン:音楽教室には、どんな生徒さんがいますか。



巌さん :子どもから大人まで、下は8歳くらいから上は70代の方もいます。
      趣味でやっている方が多いですね。
 
ロズリン:プロにということでなければ、大人になってからも始められる楽器ですか。
 
巌さん :ええ。みなさん、はじめての方でもちゃんと弾けるようになっています。
      もちろん、日々の練習は必要ですが。



ロズリン:あらためて、チェロという楽器の魅力とはなんですか。
 
巌さん :チェロは音域が広いので、バイオリンの音も出すことができるんです。
      ですから、チェロだけでアンサンブルができる。
 
      チェロアンサンブル、かなりすてきですよ。
 
ロズリン:今度、ぜひ聴かせてください。今日はすてきなお話をありがとうございました。




 <インタビュー感想>
 
  この道に進むきっかけは、たまたまお母さまがチェロを好きだったからだそうですが、
  ピアノを教えるお母さまが彼女の天性を見抜いていたのか、チェロ演奏家は運命だった
  んでしょうね。
 
  ソロで演奏する際もやはり緊張するといいますが、昨年夏のソロ演奏はとても素晴らしく、
  感動しました。


  これまで東京シンフォニアメンバーの三名のお話しをうかがってきました。
  
  演奏することはいうまでもなく、最近は指導することが楽しくなってきたと話すかたが
  多かったように思います。 
  でも巌さんの場合は、自分がオーケストラの中で演奏している時がなによりも楽しいと
  話していました。
 
  日本が好きなので、海外での演奏活動は考えたことがないと言われていましたが、
  経験という意味では少しもったいないかもしれません。
  ですが彼女のように若く才能ある方が、日本で活躍することで、クラシックがもっと
  身近なものになり、ますます発展していくでしょう。
 
  チェロが弦楽器の中で一番音域が広く、コントラバスのような低い音からバイオリンの
  高い音域まで出すことができるというのは、初めて知りました。
  チェロだけのアンサンブルがあるのも納得です。
 
  チェロをやめたいと思ったのは中学時代に一度だけ。
  巌さんの一本まっすぐに通ったぶれない信念。今後ますますのご活躍が期待されますね。