株式会社パックスクリエイション 
  代表 藤村 育三 さん を迎えての
  インタビュー後編です。





藤村さんのWEBサイト : http://www.fujimuraikuzo.com/



パプアニューギニアで、子どもたちに絵画教室を開く
 
ロズリン:育三さんは、パプアニューギニア政府観光局のサーフィン観光大使をされていますね。
      どういったいきさつで就任したのですか?
 
藤 村 :サ-フィンでお世話になっている海をきれいにすることに少しでも役立ちたいと、
      NPO法人 「 ビューティフルオーシャン 」 を立ち上げたのですが、そこから人脈が
      どんどん広がりまして。
 
      ある時、パプアニューギニア観光局の方に出会いました。
      そして現地で行なうサ-フィンキッズプログラムのクルーとして、僕をよんでくれたことが
      きっかけです。


  
      訪れたトゥビラ村で             村のビーチには、すごくいい波が立つ
   

ロズリン:それは興味深いですね。
 
藤 村 :すごくいい波なのに、現地ではサーフィン文化がないんです。
      だから日本からプロサーファーが中古のサーフボードを持っていき、
      現地の子供たちにサーフィンの技術を教える、キッズプログラムが生まれました。
 
      僕はこれをきっかけにその後寄付を募り、画材を持ちこみ子供たちに絵を描いて
      もらったり、寄付するサーフボードにみんなで絵を描いたりする 「 青空教室 」 を
      するようになりました。


      子供たちの色彩感覚はものすごく優れていて、それは素敵な絵を描くんですよ。
      この活動を何年か続けていたら、観光大使に任命されたという経緯です。


   
         中古のサーフボードを持ち込み、青空教室が始まる!






ロズリン:すばらしい活動です。子供たちは喜んでいるでしょうね。

  

藤 村 :僕は、この活動はパプアの子供たちのためにというより、自分自身や
      日本人のためにやっていると感じています。
 
ロズリン:それはどういうことですか?
 
藤 村 :彼らは一見貧しいように見えても、僕たちが失った豊かさをすべて持って
      いるからです。
 
      豊かさって何だろう? と考えた時に、彼らのように必要なものを必要な時に
      必要なだけとれることじゃないかと気がついたんです。

      それってすごく贅沢なことだと思いませんか?
      とれたての魚がいつでも食べられるから、彼らは冷蔵庫を持つ必要自体がない。

ロズリン:そう言えばそうですね。
 

藤 村 :また自給自足の生活の中で、村の子供たちは日本では考えられないぐらい
      しっかり育ちます。 言われなくても、上の子が下の子の面倒をみる。

 

      あちらでは 「 いじめ 」 っていっさいないんです。観念さえない。
      村の大人に 「 こっちは何でいじめがないの? 」 と聞くと、 「 いじめって何? 」 と
      逆に聞かれて、いじめの概念を話すと 「 何でそんなことするの? 」 と驚いてしまう。
 
      きちんと村が生命体として機能していると、子供たちもしっかりしてくるんですね。
      彼らに宝物を描いてといったら、何を描いてくれると思いますか?
 
ロズリン:さぁ。何でしょう?
 
藤 村 :タロイモや魚、家です。食と住に直結したものが宝物。
      宝物イコール必要最小限なもの、といったマインドは日本にも昔はあったはず
      ですけど、すっかり失われてしまいましたよね。
 
      それを見習おうというよりは、そういう感覚があることを日本人が考えるきっかけに
      なればと、日本で子供たちの絵の展覧会をしようと思っています。



                 


ロズリン:
開催の時には、ぜひ教えてください。
      パプアニューギニアには、どのぐらいのペースで行っていますか?
 
藤 村 :基本的に年1回くらいのペースで訪れてます。
      でも今年は自分が企画したツアーを現地で行なうため、何度か出かけます。
 

ロズリン:どんなツアーですか?
 
藤 村 :最初の何日かで 「 スタンダップパドルサーフィン 」 ( SUP ) を練習し、
      それで海を移動しながら島から島、村から村を泊まり歩くんです。
      自給自足の村に海から上陸する。
 
ロズリン:ええ? でも危なくないのですか?

  

藤 村 :
そのために、観光局だけじゃなく村人や村長たちと何度も話あい視察もして、
      安全なルートをきちんと考えて選びます。
 
      ベースキャンプから SUP で移動する時に、自分がしょっていく荷物をパッキング
      するのですが、これが結構難題です。

      荷物を軽くすると移動が楽だけど、向こうで困るかなとか。
      でもあれこれ持っていくと、サーフィンで移動する時に大変だしと、参加者はすごく
      悩むと思いますよ。
 
      でもそれをつきつめていくと、 「 生きるのにそんな多くの荷物なんて必要ないんだ 」 
      と気づく。
      その人がそういったことを考えるきっかけになり、そのマインドを日本に持ち帰って
      日々の暮らしに取り入れてもらえたらとも思っています。

  

ロズリン:それはいいきっかけになりそうですね。 参加希望者がたくさん集まりそう。
      でも体力がないとだめね。
 
藤 村 :そんなに体力がなくても大丈夫ですよ。
      グループの体力に合わせてルーティングしますので。
 
      ベースキャンプで必要な技術は教えますので、鍛えてなくても大丈夫。
      上手な人と、それほどできない人が協力し合い進んでいくのも重要な気がします。

       スタンダップパドルサーフィン
       サーフボードの上に、波をかくパドルを持ち
       立って漕ぎながら水面を移動する。
 

「遊び暮らす」のが夢
 
ロズリン:活動の幅が広いのですが、ほかにもはまっていることはありますか?
 
藤 村 :今ライフワークとしてやっているのは川下りです。
      先日、カヌーのオリンピック選手やラフティングのチャンピオンたちと、多摩川の
      上流から東京湾に流れ出るまでの80キロを、スタンダップパドルサーフィンで
      下ったんですよ。
 
ロズリン:それはすごい。どのくらいかかりますか?
       またどうしてそんな大変な挑戦をしているんですか?

  

藤 村 :
17時間かかりました。
      上流のほうは立っていられないほど流れが強いですが、途中、ひたすら自分で
      こがないと進まない状況になりますから。

      挑戦する理由は、基本的には、 「 楽しいから 」。
 
      そして、多摩川が生まれてから、海に還るまでのすべてを自分の目で見たかった。
      自分たちが川を流れていくので、あぁ川と海はつながってるんだな、とあたりまえの
      ことを、自分の感覚として実体験できます。

      海のゴミを減らそうと思ったら海岸だけ掃除してもだめなんですね。
      全てはつながっていますから。
 


ロズリン:この間、飛行機事故でジャングルに落ちた少女が、幸運にも助かった
      ドキュメント小説を読みました。 
      彼女は両親が環境の研究者だったので、水の流れのことを理解して
      いたために助かった。
 
      最初はジャングルの中でほんの小さなくぼみの流れを探し、それが少しずつ太く
      なっていく流れにそって何日も歩き、やがて大きな川に出て助かることができました。
      この知識がなかったら、ジャングルから出られなかったでしょうね。



藤 村 :その話は、おもしろい。
      そのほかの趣味といえば、格闘技が好きですね。
      今、週に2、3回、ボクシングに通っています。若いやつらと殴りあってますよ。
 
ロズリン:体を鍛えるためですか?
 
藤 村 :それもありますね。
      集中しないと殴られる状況って普段そうそうないじゃないですか。

      そういう状況に身をおくことで集中力がつきます。
      これがクリエイティブな作業に生きるんですね。精神的なエネルギーの素にもなる。




ロズリン:ア-ティストは、メンタルとフィジカルの循環も大事ですものね。
      育三さんの目指していることは何ですか?
 
藤 村 :遊んで暮らすことです。子供の頃からぶれてないですね。
      これは、毎日ぶらぶらしていたいってことじゃないですよ。
 
      遊びを仕事にし、仕事を通して遊ぶこと。
      どんなつまらない仕事でも、僕はそこにおもしろみを見つけて楽しみたい
      と思うんです。
 
      言われるままにやるだけなら「やらされている感覚」になりますが、
      こうやったらおもしろいんじゃないですか?とこちらから工夫や提案をすることで、
      仕事はどんどん楽しくなる。
 
ロズリン:それはとても素敵なことですね。




藤 村 :去年手がけたハウステンボスのパレードはもちろん、自分がプロデュース
      した店で、みんなが楽しんでくれたり、幸せそうにしていたら、僕もとっても
      幸せな気分になりますし。
 
      そう思うと僕の将来の夢は、今の延長戦上にあり、今の生活は結構いい線
      いってると思ってます。
 
      人生は短いから、楽しいことはどんどんしないとね。
 

ロズリン: 今日はこうして久しぶりにお話ができて、私もとても楽しくなりました。
      ありがとうございました!
 
藤 村 :こちらこそ、ありがとうございます。
      最近、旬のものを料理するレストラン 「 HOME PARTY 」 を目黒に開業したんです。
      ぜひそちらにもきてくださいね。



ロズリン:うれしい。 楽しみです!


     レストラン HOME PARTY の立体看板
     こちらも藤村さんの作品


HOME PARTY URL http://www.hmpy.jp/index.html



 <インタビュー感想>
 
  会うのはなんと10数年ぶり!
  でも育三さんは当時とまったく変わらず、パワフルで次々と新しいことをやっていて、
  嬉しかった。
  若さゆえ、かなりやんちゃをした20代の頃のお話も今回初めてで、その破天荒さ、
  度胸には驚かされました。
 
  パプアニューギニアのこどもたちへ画材を贈ることは、彼らへの支援とは思っていないと
  語る育三さん。目からウロコじゃないですか?
 
  本当の豊かさとは、必要なものを必要なときに必要なだけ自然から得られること。
  彼らは貧しいのではない。冷蔵庫を持っている我々こそが貧しい。

  先進国が失った豊かさがそこにはあるんですね、考えさせられる言葉です。


  

  パプアニューギニアのこどもたちと。 みんな笑顔がすばらしい!!

  

   彼が企画して今年10月に実現する、スタンダップパドルサーフィンでの
   「 世界初のアイランドホッピングツアー 」 、このお話しも是非またうかがいたいです!
 
   旬の食材を楽しむお店を目黒にオープンし、パプアニューギニアのこどもたちが描いた
   絵の個展や、多摩川を下るイベントなどなど、 「 仕事 」 と 「 遊び 」 の境界線を飛び越えた
   ような楽しい活動で、充実した毎日を過ごす育三さん。
 
   彼のように自分のポリシーを貫き、人生を送れる人は幸せです!
   楽しみながら事業をする人にこそ、成功者が多いと言います。
 
   当時の彼らとの仕事は本当にすばらしかったので、
   また一緒に仕事をする機会をさがしたいです!