特定非営利活動法人 ルーム・トゥ・リード・ジャパン
  事務局代表
  松丸 佳穂 さん をお招きしての前編です。
  



ルーム・トゥ・リードは、マイクロソフトの幹部社員だったジョン・ウッドにより
2000年に創設された、開発途上国の子どもの人生を、読み書きの習得と
男女平等の教育機会から変えていくことを目指した、国際的なNGO。

松丸さんは、2010年に日本事務所を開設するにあたり、事務局代表として
採用されました。
 
ルーム・トゥ・リード・ジャパンURL http://japan.roomtoread.org/
 


開発途上国の教育支援がテーマ
 
ロズリン:ルーム・トゥ・リードとは、どんな活動をする団体なんですか。
 
松 丸 :アジア・アフリカの子どもたちへの教育支援がテーマですが、その中でも主に
      2つの分野に重点を置いています。

      ひとつが初等教育における読み書き能力の向上です。
      初等教育の段階でドロップアウトしてしまうと、戻ることは難しいためです。
 
      もうひとつが、女子教育の支援です。
      途上国だと、男子に比べて学校に行けない、あるいは初等教育を修了できない
      こどもは、女子のほうが多いのです。 
      
      一方で女子を教育することの効果は非常に高いのですね。


  
      たとえば、教育を受けた女の子は、栄養や健康に関する知識が向上するので、
      お母さんになったときに、きちんと子どもに予防接種を受けさせたり、薬の処方箋が
      読めるようになるなど、命を守ることにつながります。

      また、特に中等教育を受けた女性は、経済的にも自立ができ、貧困削減や経済成長
      につながる、といった効果があります。


         学校につくった図書室 ( ベトナム )

      具体的な活動は、学校や図書館・図書室を設立したり、女子教育支援プログラムを
      実施したり、現地語の絵本を現地で出版して、寄贈したりしています。


ロズリン:
絵本の出版まで手がけておられるとは、すばらしいですね。
 
  

松 丸 :子どもたちにぜひ絵本を読んでもらいたいということで、当初は、英語の絵本を
      寄付してもらい現地に送っていたんです。
      でも、現地からの報告で、子どもたちの満足度が必ずしも高くないという結果が
      出たんです。
 
      おかしい、なぜ? と考えたら、現地の子どもたちは母国語の読み書きもできないのに、
      英語の絵本が読めるわけがないのですね。
      それでまずは現地で現地語の絵本を探してみました。でもないのです。

      現地では絵本の出版はビジネスにならないので、出版ビジネス自体が育っていない
      のです。 そこで、じゃあ私たちが絵本を作ろうと。



      私たちはそのプログラムにも非常に力を入れていまして、読み物として楽しい絵本や、
      衛生教育、環境問題、数字を扱った絵本など、たくさんの種類の本を作っています。

      もちろん英語の本も、出版社に協力を得ながら、これまで通り寄贈しています。





 


ロズリン:
支援の対象としているのは何カ国ですか。

松 丸 :今は10カ国です。

      ネパール、バングラディッシュ、スリランカ、インド、ラオス、ベトナム、カンボジア、
      南アフリカ、タンザニア、ザンビアです。


       現地語で作られた絵本を読む子どもたち ( ベトナム )


いろいろな人が自分にできることでサポート
 
ロズリン:日本の組織の役割は? 
      松丸さんは、どんな仕事をされているんですか。
 
松 丸 :日本を含めて先進国の主な役割は、資金調達。
      それから、ルーム・トゥ・リードを知らない方はまだいっぱいいらっしゃるので、
      広報活動や啓発活動も行っています。
 

ロズリン:実際に日本で活躍しているのは、ボランティアの人たちなんですね。
 
松 丸 :そうです。 すごい数のボランティアサポーターがいます。
      個人だったり、会社だったり、いろんな人がいろんな形で、自分にできることで
      サポートしてくださっているのです。


                 日本のサポーターの方々
  
      たとえば、私の名刺を見て 「 すごくいいところに事務所があるな 」 と
      思いませんでしたか? 住所は六本木。

      実はここは、外資系銀行のクレディ・スイスのオフィスなのです。
      スポンサーになってくださってまして、私ともう1名のスタッフ、インターンの席を
      無償でご提供いただいています。
 
      日本事務所を立ち上げてはじめのうちは、クレディ・スイスがサポートしてくれて
      いるというのは信用にもなるので、無名の団体としてはとてもありがたいことでした。





ビアーズ・フォー・ブックスで楽しく気軽に社会貢献
 
ロズリン:いろいろなサポートの形があるんですね。
      私たちが個人でサポートしたいなと思ったときには、どんな形が考えられますか?



松 丸 :直接プロジェクトに寄付をするという方法もあれば、ボランティアサポーターとして
      活動する方法もあります。

      たとえば、 「 ビアーズ・フォー・ブックス 」 というサポーターがたちあげた日本発の
      イベントがあります。
 
      レストランやバーなどのお店に協力してもらい、イベントに参加した人がお店に
      行って、例えばビールなどのドリンクを注文すると、お店側が1杯につき100円を
      寄付してくれるというものです。
 
      フェイスブックなどでも告知していますので、そちらを見て、企画するもよし。
      お客さんとして参加していただいても楽しいと思います。

      詳しくはこちら https://www.facebook.com/RoomtoRead.Japan
 

      集めたお金は、先ほどお話した現地語の絵本を出版する活動に使われます。
      現地語の絵本を作るのに、1冊あたり約100円かかるのです。
   
欧米だと、チャリティーのカルチャーが生活に
根付いていますが、日本の場合はとくに
 「 お金を寄付してください 」。
しかも、継続的にというのはなかなか難しい
ことですね。

それで楽しく気軽に社会貢献ができるようにと、
日本に長く住んでいるゲイリー・ブレーママン
というアメリカ人のサポーターが考案してくれた
秀逸なこの仕組みが、
 「 ビアーズ・フォー・ブックス 」 というイベントです。




ロズリン:協力店は、たくさん集まりますか?
 
松 丸 :ええ。というのも、お店はそれによって集客ができるのですね。

      通常は、クーポンなど広告費を出して集客をしていますよね。
      それが、飲めば飲むほどチャリティになる、というコンセプトに共感するとともに、
      自分が飲んだ分だけ払えばいい気軽さもあり、かなりの人が集まるんです。
 
      お店にとっては集客のチャンス、集まる人にとっては行けるときに参加すれば
      いいので、気が楽。 すごく広がりました。

      日本発のイベントで、今では世界中のルーム・トゥ・リードで開催されています。
 

ロズリン:だいぶ資金が集まりますか?



松 丸 :
このイベントを始めて約4年ですが、1800万円、絵本の冊数でいうと
      18万冊以上になっています。
 

ロズリン:自分で開催してもいいんでしょうか。
 
松 丸 :大歓迎です。
      ビアーズ・フォー・ブックスのホームページがありますので、そちらから
      マニュアルをダウンロードしてみてください。

      1杯につき100円を寄付するという同意さえ得られれば、店側だけでなく、
      誰もが気軽に主催者になれます。

      マニュアルはこちら → http://www.beersforbooks.org/page/tools-1



         カンボジアの中学校を訪問した松丸さん





  
     ルーム・トゥ・リードは、開発途上国の何百万人という子どもの人生を、読み書きの
     習得と男女平等の教育機会から変えていく国際的な組織です。

     “ 子どもの教育が世界を変える ” という信念のもと、すべての子どもが初等教育の
     間に読み書きと読書習慣を身につけること、女子学生が中等教育を修了することを、
     現地コミュニティ、パートナー組織、政府機関と協働でサポートしています。

     2000年から現在までに、アジア・アフリカ地域の 780 万人以上の子どもを支援し、
     2015 年までに 、1000 万人の子どもに教育の機会を提供することを目標として
     います。

     詳しくは、ウェブサイト japan.roomtoread.org   をご覧ください。




 インタビューは、後編へと続きます。
 お楽しみに!