特定非営利活動法人 おさかなポストの会
  代表 山崎 充哲 さん
  お迎えしての前編です




今回は、多摩川べりで飼えない魚を引き取る 「 おさかなポスト 」 の運営や、
子どもたちに、水辺の安全や多摩川の生態系を教えるなどのボランティアを
行なっている山崎さんにお会いしました。
とても手間のかかるおさかなポストをなぜ運営しているのか?
多摩川の現在の状況など、多摩川から命を考える、とても興味深いお話を
伺いました。
 
おさかなポストの会URL  http://homepage2.nifty.com/gasagasaaqua/post.html 


多摩川の水温があがり、熱帯の生き物が住める「タマゾン川」に!
 
ロズリン:山崎さんがやっている 「 おさかなポスト 」 とは、どういうものですか?
 
山 崎 :多摩川の脇にたたみ4畳分ぐらいの生け簀を設けており、飼えない魚や
      カメを持ってきた人に、川に捨てずにここにいれてもらいます。
 
      そして一旦私どものところで預かり、里親を捜して引き渡すまでの
      命のリレーを行なうというシステムです。
 
ロズリン:どういった経緯で始めたのですか?


  

山 崎 :
ペットの魚やカメを捨てる人が増え、それが外来種のことが多いので、
     多摩川の生態系が崩れて危機感を覚えたことがきっかけです。
 
     その前に多摩川の環境の話からしますね。
     30年ぐらい前までは、下水をそのまま川に流し、全国的に川の環境汚染
     がひどい時代でした。
 
     川には洗剤の泡、便、ゴミなどが浮いておりひどい状況でした。
     多摩川の魚はたくさん死んでしまい、いたとしても奇形のことも。
 
ロズリン:それは悲しい時代でしたね。


     山崎さんの著書 「 いのちの川 ( 幻冬舎 )」


山 崎 :下水処理場で水をきれいにすることを行政が始めた。
      それで今は、水道水に使えるくらいきれいな水が多摩川に流れています。
      ですがこの水温が高いんです!
 
      その理由は、家庭でつかうお風呂や台所の水がお湯だから。
      下水処理場は水をきれいにすることができても、温度は下げられない。

      そこで新たな問題が発生しました。多摩川がタマゾン川になってしまった。
 
ロズリン:タマゾン川ですか?
 
山 崎 :これは多摩川とアマゾンをかけた造語ですが、本来は住めないはずの
      捨てられた熱帯の生物、グッピーやピラニア、アロワナなんてものが、
      水温の上昇で快適に住めるようになり、繁殖してしまったんです。
 
      川がきれいになったことで、逆にここで生きられるだろうと、ペットを捨てる人も
      増えちゃったんですね。




ロズリン:ピラニアは人間を襲いませんか?
 
山 崎 :人間のことは恐いですから、逃げちゃいますよ。
      でも本来日本の川にいる 「 あゆ、うぐい、はぜ 」 のような魚たちが
      外来種のエサになったり、すみかを奪われたり。
 
      カメもそう。外国のカメに日本のカメが追い出されてしまうだけでなく、
      産卵場が強いカメに奪われてしまっているんですね。
 
      魚もカメも日本のものはとろくさくて、外来種に負けちゃうので、生態系が
      大きく崩れてしまうんです。


       預かった 「 赤耳亀 ( ミドリ亀 ) 」


  


ロズリン:カメって長生きするんですよね。
 
山 崎 :そうです。
      購入する時は気軽に買うけど、世話が大変だったり、カメや鯉のように
      100年以上生きるものもあるので、飼い主が亡くなると捨てられてしまったり
      するんですよ。
 

ロズリン:
なるほど。自分より長く生きると想像して魚やカメを買う人はなかなかいない
      でしょうね。病気のものもいるんですか?



山 崎 :います。おさかなポストでは怪我や病気の手当はできるだけしますが、
      川に捨てられるものが多いため、多摩川だけでなく、全国の川で外国の
      病気が蔓延し、魚が何万匹も死ぬなど、パンデミックがおきているんですよ。
 
ロズリン:大変なことになっているんですね。
      その防止や生態系を守るために、山崎さんのおさかなポストが始まったわけですね。
 
山 崎 :多摩川の一部ですから、微々たる活動ですけど。
      2004年からスタートし、 「 おさかなポスト 」 の名前は2005年につけました。

      もともと漁業協同組合と知己があり、生け簀もあったのでできています。

      個人ではなかなか難しいですが、うちの会社の若い衆をはじめ、協力してくれる
      人がいるので運営できています。


       著書 「 おさかなポスト 」


魚だけではなく、外来種のペットを捨てる人が多いのも社会問題に
 
ロズリン:生け簀は、分かれているんですか? 
      ピラニアと小さな魚が一緒に入っていたら食べられないか心配です。
 
山 崎 :大まかに魚の種類で分けています。
      入れる時に間違える人がいるといけないから、毎日見回りにいっていますよ。
 
      通常はそう多くはないですが、震災後は一日5千匹の魚や50匹のカメが
      集まってきて、それはもう預かる場所が大変でした。
 
      でもあとで被災した男の子が来てね。
      自分は津波から逃げられたけど、飼っていたカメは連れてこられず、どこを
      さがしてもいないと。

      この子はそのカメに似ているから代わりに飼うことにする、と話していましたが、
      こういうケースは多々ありましたね。
 

ロズリン:
いいお話ですね、でも里親を探すのは大変でしょう。
 
山 崎 :そうですね。でも活動も長くやっていると、個人の希望者だけでなく、地域や学校、
      水族館などとの体制はできています。


 
      水族館はわざと傷ついた魚や病気の魚をひきとり、子供たちへの教育に使って
      いたりします。
      「 どうしてこうなったと思う? 」 と、考えさせるんですね。
 


ロズリン:
ポストに入った魚を一旦預かるといっても、えさ代など大変じゃないですか? 
 
山 崎 :大変ですよ。
      エサや水槽の電気代だけで、月に30万円から40万円かかります。


         預かった魚は水槽に

    
 
ロズリン:そのお金はどうされてるんですか?

山 崎 :企業から助成金や寄付金を時々いただけるんですが、ほぼどこからも
      出ないので、私どもが以前からやってる環境コンサルタントの仕事や、
      その他、数人で広げた事業でなんとか捻出しています。
 
      雨水はバケツなどに2トンほどため、水槽を洗う水や雑巾を洗う水を節約するよう
      にしたり、工夫もしますよ。
 
ロズリン:エコとしても立派なことですね。


山 崎 :うちみたいな活動をしているところが、水道をじゃぶじゃぶ使ってたら
      しゃれになりませんから ( 笑 )。
 
      でも始めて約10年。 かなり知名度があがり、ポストに魚を持って来る方はもちろん、
      見学に来る方も増えたんですよ。
      遠足や修学旅行のコースに組み込まれています。
 
       こういったおさかなポストは世界で初めてのようですので、海外のメディアもよく来ます。
 
 
ロズリン:各国にあるような問題ですかね。
 
山 崎 :魚だけじゃなくて、いろんな動物の問題ですよ。
      僕たちは多摩川べりをパトロールもしていますが、ヤギやにわとりも、いろいろいますね。
 
      外来種のワニやヘビがいたこともあるし、穴うさぎなどはよくいます。



ロズリン:あら、かわいい。
 
山 崎 :うさぎぐらいいいじゃないかと思うでしょうが、外来種を放置できないので、
      これもつかまえます。
 
      なぜかというと、穴うさぎは繁殖して多摩川の植物を食い尽くすし、土手に穴を
      ほるので大雨の時に崩れるなど、害があるんです。

      うさぎをつかまえたら学校などに連絡して、飼い主を探します。
 
 
ロズリン:今までで、もっとも大きな発見はなんですか?
 
山 崎 :一番びっくりしたのは、アミメニシキヘビでした。
      4メートルぐらいあったかな。すごく寒い時で、寒くて寒くて仮死状態だったので、
      かわいそうだけど穴を掘って埋めました。
 
      飼えませんし、そのままにしてもかわいそうですし、騒ぎになりますから。
 
ロズリン:捨てる人が無責任ですね。
 
山 崎 :そうです。ですから僕がほかにやっているボランティアでは、生き物を大事にする
      モラルを子どもたちに教えるようにしているんです。



 
  多摩川がアマゾン化している
  ことを書いた 「 タマゾン川 」
  



 インタビューは後編へと続きます。
 お楽しみに!!