有限会社ビッグアート
  代表取締役
  奥村 昇 さん をお招きしての前編です。





地下道を明るく飾って、子どもたちから感謝状
 
ロズリン:春日部じゅうにいろいろな絵を飾って、街のみなさんの評判はいかがですか。
 
奥 村 :おかげさまで上々です。
      歴史の好きな人たちが観光に来てくれたりなど、街に人が増えました。
 
ロズリン:シャッターがしまっているときに宣伝になりますから、お店の人も喜んでいるのでは。
 
奥 村 :そうですね。店が開いているときはいろいろな情報が入ってきますから
      アートがあっても目立たないのですが、閉っているときにはすごく目立つし
      印象に残ります。





ロズリン:描いていらっしゃるのはシャッター以外にも?
 
奥 村:公衆トイレや幼稚園など、いろいろなところに描いています。
 
     春日部には三カ所地下道がありましてね。

     すごく暗くて汚いんですけど、小学校の通学路になっていて。
     春日部駅の地下道には、水族館のような絵を描いたんです。


 
   以前は暗かった地下道の写真                 こんなに明るくなった!


 

     


奥 村:動物もたくさん描きました。
     そうしたら、すごく子どもたちに喜ばれました。

     以前は怖くて駆け抜けるような場所だったのが、最近は中で遊ぶ子どももいるんです。
     ピクニックシートを敷いておやつを食べている子もいる。

     感謝状ももらったんですよ。
 
ロズリン:わあー。それはうれしいですね。
      私もたまたまこの地下道を通ったことがあり、絵を見たんです。

      ユーモアと親しみがある絵で、とても好きです。


               子どもたちからの感謝のことば

         



春日部の街おこしに本格的に取り組む
 
 
奥 村 :街の中で人が通らないところは、暗いとか怖いとか圧迫感があるとか、何らかの
      ネガティブな要素があるんです。
 
      そういうところをアートで飾ってあげると、急に散歩客が増える。
      すごくやりがいがある仕事なんですが、これまではお金の出どころがなく、なかなか
      ビジネスとして成立しなかった。
 
      今回のシャッターアートは、商工会議所から正式に依頼されたことでビジネスに
      なったんで、以前から取り組みたかった街の中をエンターテインメントにするという仕事に
      本格的に取り組めそうです。

  




ロズリン:すてきですね。
 
奥 村 :街おこしということでは、いろいろなアイデアがあるんですよ。

      まずは春日部にユニークな空間をたくさんつくっていこう、と。
      そして、エンターテインメント性を出して、外国人やアーティストがたくさん
      住んでくれるような町にしようと思っているんです。
 
      たとえば今、昔駅前に映画館があったんですが、その通りに昔の名画の映画看板を
      設置する活動もしています。

 



ロズリン:
こちらの絵ですね、これは市から依頼されたんですか?

奥 村 :そうではないんです。 オーダーがあったから動くのではなく、自ら積極的に
      街づくりに協力して、街自体を商品化する。

      その時には今度は我々のビジネスになると思うんです。
      そんなふうに10年がかりで、街に投資していきたいと。

ロズリン:エンターテインメントは得意分野ですものね。



奥 村 :
それから、お年寄りや子どもが幸せな街。

      いま毎朝、ラジオ体操をしていまして、お年寄りが50人くらい集まっているんです。
      その仲間たちで日曜日に気功を始めたりなど、すごくいい循環が生まれています。

      いままでお年寄りの交際の場って、病院しかなかったんです。

      笑い話ですけど、病院の待合室で 「 今日はOOさんいないね 」
      「 具合が悪いみたいだよ 」 ( 笑い )。


ロズリン:
おもしろい話ですね。子どもたちについてはどうですか。

奥 村 :いまは、子どもたちも遊ぶ場所がないんですね。
      学校から家に帰ったら、外に出ていくところがない。

      ちびっこ広場を作って、そこにお年寄りがいて、遊びを教えてくれるようにしたらどうかと
      考えています。

      病院の待合室なんかじゃなくて、もっと健康なところにお年寄りが集まれるような場所を
      つくりたいとも思っています。

     


ロズリン:夢が広がりますね。


奥 村 :
今までの仕事の仕方ではだめだと思っているんです。
      市民みんなで家族のようなコミュニティーをつくりたい。でないと少子高齢化で
      みんなが孤独になってしまうんですね。




ユニークな会社経営

ロズリン:最後になにか、若い方へのアドバイスはありますか?

奥 村 :うちのスタッフも若い人ばかり。

      みんな好きな仕事をしたいと言うけれど、好きになればいいだけ。
      最初から好きな仕事があるわけでない。自分がどう仕事を楽しむか。
      まずは興味をもつことだと思うんです。

      うちでは 「 わくわくプロジェクト 」 というのをやっている。
      どうすれば街が、自分の仕事が、会社がわくわくするかを考える。

      だから会社内で制度もいろいろ作ったんです。
      70日間休める制度とか、17時から始まる会社も作りました。2部制にしたんですね。

  

      17時まで会社の本来の仕事。17時過ぎたら、自分のアート、例えばオブジェを
      つくりたい人とか、それぞれが好きなテーマで制作する。

      そしてその作品は会社が買い取ってあげる。ですから2回給料をもらえる。
      もちろん1部でかえってもいいんです。基本給は1部でもらってますから。

      デザイン、業務改善提案したら、手当がでるなど、楽しく仕事をできる制度を
      いろいろ作りました。

      またスタッフが10人になったら、社員食堂をつくろうと思っています。
      栄養士を雇い、近くの貸し農園では農作物をつくる。
      仕事前は農業をして、夕方は自分の好きなことをする。

 

      こういう業界はどうしても給料が多くはない。
      月5万円で生活(食事、住まい)できたらいいなと思っています。

      シェアハウスをつくったり、3食まかない付きで給料が安くても余裕のある生活が
      送れるようにしたいと考えています。

      仕事だけでつながるのではなく、価値観を共有できる人間を集めたい。
      そう考えています。



ロズリン:
何か、今後の夢はありますか?

奥 村 :今後は一般住宅も手掛けていきたいと思っています。
      アパート一棟など、建物全体をデザインしてみたいんです。

ロズリン:素晴らしいですね。
      今日は楽しいお話をどうもありがとうございました。


       



  <インタビュー感想>

    現在、週に2回は春日部にあるサンギの中央研究所に通っていますが、いつも東口にある
    店舗のシャッターに、和風の素敵なペイントがされているのを目にしていました。

    いつかこの絵を描いた方にインタビューをしたいと思っていて、今回やっと実現できました!

    江戸から数え、日光道中の4番目の宿場町としてかつては 「 粕壁宿 」 だったそうですが、
    このシャッターアートで街を盛り上げていこうという街おこし企画の一つだったと知り、
    素晴らしいと感じました。

    せっかく美大を出ても、手書きの需要がないそうですがそれは残念なことですね。
    考えてみれば、デザインの世界も今はコンピュータグラフィックの時代です。

    でも手描きだから醸し出す温かさはいいでしょう。
    その日の体調や心の中、コンディションがそのままペイントに現れてしまう。
    そんな人間味のある絵が街を飾り、人が集まる。

    春日部がもっと楽しい街に生まれ変わる、そんな期待が生まれました!

    人生の中で、経済的なことも大切。でも人生の豊かさとは、結局はいかにたくさんの
    友人や仲間を得られるかで、幸せかが決まるのではないかと、笑顔で語る奥村さん。

    奥村さんのお人柄によって賛同し、協力してくれる仲間がきっとたくさん集まることでしょう。