食事療法士 辻野 将之 さん
   をお迎えしての、前編です。





食事療法士として、活動する辻野将之さん。
鍼灸あんまマッサージ指圧などの国家資格を持ち、東洋医学の視点からの
「食養生」を指導している。
現在、往診専門の「そら鍼灸食養治療院」を開院し、星野リゾートと共同企画で、
「星のや 軽井沢」にて、森林養生プランの実践も行なうなど多忙な辻野さんに、
その歩みや、食養生の大切さをうかがいました。
 
辻野さんの公式Facebook https://www.facebook.com/masayuki.tsujino
そら鍼灸食養治療院http://soragroup.jp/shinryo/
辻野さんのブログ辻野式 http://kenko.soragroup.jp/
 
 

ロズリン:辻野さんは、東洋医学の見地から食事療法の指導をなさっていますが、
       お子さんの時から、食事にこだわりのあるご家庭で育ちましたか?
 
辻 野 :ごく普通の家庭でした。
      奈良県で育ち、父は教師。母の食事も特に変わったことはなく、生協で健康に
      良さそうなものを買うぐらいでしたね。
 
ロズリン:うちは、父親がアマチュアでレスリングし、最も体重の軽いバンタムとフライ級
       だったので、体重管理で食事の節制がしじゅう必要だったんです。

       そのため父にあわせた食生活を、家族全員でしていました。
 
       お野菜がとても多く、肉は少なめで、甘いものも干ぶどうとか自然な甘味の
       ものばかりでした。
 
辻 野 :それはいいですね。
      子供の頃から、そういう食事をしていると元気な体になったのでは。
 

ロズリン:
そうですね。風邪もひきませんし。
       辻野さんはどういうきっかけで、この道に入りましたか?
 
辻 野 :大学受験に失敗して浪人した時に、食事療法で、ガンなど難病患者への治療
      をする師匠に出会ったんです。
 
      師匠の親戚と祖母が友人でした。
      ある時、知り合いの若い娘さんが、かなり進んだ乳ガンと発覚したんです。
      でもその師匠が娘さんに3カ月ほど食事療法を行なったことで、治ってしまった。

 

      医者は 「 治るはずはない 」 と言っていたのに、本当に治ったんです。
      当時自分にとって、ガンイコール死の病だったので、それは衝撃的だった。
 
      それで父と共に仙台まで話を聴きに行ったんです。
      更に衝撃を受け、その日のうちに仙台に住むその師匠に弟子入りすることに。
      そして弟子入りをした上で、色々と勉強しました。
 
ロズリン:例えばどんな勉強ですか?
 
辻 野 :まず鍼灸マッサージなどの資格がとれる専門学校に通って、東洋医学の
      基本知識を学びました。



衝撃的な出会い
 
辻 野 :その後も師匠のもとで手伝いながら、接骨の資格も取りました。
      そして食養生の勉強を本格的にしようと思い、約7年ぐらいは複数の治療院の他、
      温泉宿などをかけもちしていましたね。

      また休日は日本のいろいろな生産者のもとを訪ね歩いてました。

 
ロズリン:生産者というと、農業の現場ですか?



辻 野 :それも含めてです。
      たとえばこの醤油がいいと理論的にはわかっていても、実際の醤油蔵やみそ蔵
      などを訪ねると、理論とは違う要素がたくさん組み込まれていることがわかるんです。
 
      今はインターネットでどんな情報も手に入りますが、真髄の部分は現場にいかないと
      わからない。
      現場で職人さんとお会いして初めて聞けることであり、現場の作業を体験して初めて
      わかることばかりです。
 
      これがおもしろくて、休日に生産者を訪ね続けていたんですが、食事指導の精度を
      高めるために、いったん仕事をやめて、日本国内、次にアジア方面の食事情を訪ねる
      放浪の旅へ、約1年半ほど出ました。
 
      日本は青森の恐山から初めて、沖縄まで北から順に巡ったんですよ。


ロズリン:あらすごい。お金もかかったでしょう。
 
辻 野 :最初は、車を売った20万円が軍資金。
      旅でお金がかかる移動と宿泊費をゼロにしようと、その分食費に全てを費やしました。
      テントや自炊用の鍋釜を背負って、日本中歩こうと思ったんです。
 
      でも荷物が重くて、10メートル歩いてはとまってという感じで最初は歩けなかった。
      徐々に慣れたのですが、徒歩での日本縦断は秋田県からは断念しました。

      青森って歩くとめっちゃでかいんですよ ( 笑 )。 あとはヒッチハイクもしたんです。




ロズリン:私も若い頃、ヨーロッパで友人とヒッチハイクは経験ありますよ。
       日本でもできるんですね。
 
辻 野 :日本ではヒッチハイクはあまり馴染みがないかもしれませんが、ちょうどその時、
      猿岩石というお笑い芸人が、アジアを無銭放浪するテレビ番組のお陰で、ヒッチ
      ハイクが世間に認知されていたんです。
 
      僕が道路で車に手をあげると 「 本当にヒッチハイクをしてる人がいるんだ! 」と
      乗せてもらえた。 時期に恵まれましたね。




ロズリン:海外はどちらに?
 
辻 野 :東洋医学といえば中国なので、当初は中国にいる友人を頼っていって、
      そこからベトナム、タイ、インド、ラオスなどを放浪しました。
 
      日本でも施術しながらの旅でしたし、海外でも時々、ボランティアで鍼灸や
      マッサージの施術をしながら食文化を見て回りました。
 
      さきほども言いましたが、現場で体験することが重要ということが、この体験で
      よくわかったので、私の食養生の指導は知識ではなく、体験をともなう施設で
      やりたいとの思いが、この頃から固まってきました。
 
 

体験型の養生施設を作りたい夢を実現
 
ロズリン:すばらしいですね。帰国して、その実現に向かったんですか?
 
辻 野 :ところが帰国後、普通の会社員になっちゃったんです。
 
ロズリン:意外ですね。




辻 野 :実は中国にいく前に、成田エキスプレスの中で知り合ったコンサルタント会社の
      社長と意気投合しまして。

      彼の会社が病院を買収する話があると聞いて、私もいきなり宿泊型の食養生の
      施設を作ることなどできませんから、先ずはコンサル会社で経営を学ぼう。
      更にその病院に食養生を導入し夢を実現しようと考えたんです。
 
      残念なことに、入社後その話はなくなってしまいました。
      でもこの会社で、多くの経営者と出会えたことや飛び込み営業などの経験をした
      ことは、とても自分にとって大きいですね。
 
      ビジネスの感覚もつかめたし、対人コミュニケーション能力も鍛えられた。
      治療をしていても、最初はみな初対面なので、こちらがもじもじしていたら治療に
      ならないので、とてもいい経験でした。
 

ロズリン:よかったですね。何年ぐらい会社員をしたんですか?
 
辻 野 :3年ですね。結局、その会社で食養生の施設を実現する可能性がなくなったので、
      やめて外に出てチャレンジすることにしたんです。
 
      そこでの営業経験を活かし、投資家などに企画を持ち込んだんですが、新しい
      試みで、儲かるかどうかがわからないので、なかなか難しくて。
 
      でもある企業の社長が、おもしろいからやってみようと、トライしてくださることに
      なったんです。
 
      それが株式会社星野リゾートの社長でした。
      自社旅館 「 軽井沢星のや 」 で、宿泊プランの一環として 「 森林養生 」 プラン
      というのを共同で開発し、現在まで続いています。
 
森林養生プランは星のやWEBから URL : http://www.hoshinoya.com/




ロズリン:実際にはどういうものですか?
 
辻 野 :3泊4日の滞在プランです。
      最初に僕がその方の問診や脈診などの診察に加え、生活習慣など細かい
      チェックを行ないます。その方のご希望も
      聞いて、どのように体質改善をすればいいのかを考えます。
 
      滞在中に食事指導を行ない、実際食べていただき、森林の散歩やスパ、
      必要なら鍼灸を組み合わせるという体験を自然の中でしてもらうんです。
 
      宿泊プランとしては、かなりのヒット商品なんですよ。
 

ロズリン:いってみたいですね。でも実際に3、4日で体質改善ができるんですか?

 


辻 野 :正確には、4日間の生活改善で、体質を変えるきっかけをつかんでもらう
      ということです。
      玄米を食べたほうがいいと口でいうよりも、実際に食べてもらい、おいしさを
      実感してもらう。
 
      たとえばダイエット目的で来た方に、玄米菜食を基本にした食事を食養生に
      則り正しく食べてもらいます。

      毎日かなりの量の玄米を食べてもらうのですが、量は多くても実際にやせてきて
      体調も良くなってくる。

      この 「 食べてもやせる 」 実感を持ってもらうと、その後続けやすいんですね。
      体験し、まずはその良さをわかってもらうための宿泊型プランですから。
 
 
 
 
インタビューは後編へと続きます。
お楽しみに!
 
 

<辻野さんの著書>
 
 著 書 : 「 お米を食べるだけでこんなにやせた 」 ( 講談社 )
 監 修 : 「 週末お米ダイエット 」 ( マガジンハウス )