NPO法人「アーク」
(アニマルレフュージ関西,ARK)の代表、
エリザベス・オリバーさんを
お迎えしての後編です。





阪神大震災を分岐点に、アークの活動が本格化

ロズリン:
アークは、1995年の阪神大震災の後に大活躍したと聞いています。

エリザべス:
地震によって被災した動物たちを預かることになり、
その数は、なんと600頭にも上りました!

毎日、仕事を終えてから車で神戸に行き、避難所をまわって動物を
預かっては、能勢に連れて帰るという日々がおよそ6か月も続きました。
犬、猫だけでなく、鳥やうさぎなども預かりました。

本当に大変でしたが、活動がマスコミに取り上げられたおかげで
全国に名前が知られるようになり、寄付もたくさん集まるようになりました。
設備を整え、スタッフの数も増やすことができ、
アークとしての地盤が固まりました。

ロズリン:
600頭の動物たちを無事、飼い主の元に戻そうとするのは大変でしょう。



エリザべス:
そうですね。飼い主の元に戻れた子もいれば、
諸事情によってそれがかなわず、10年以上も預かり、
アークで亡くなった子もいます。

ロズリン:
東日本大震災のときも動物を保護されたんですよね。

エリザべス:
ええ。阪神大震災のときとはまた別の大変さがありました。
東北はこちらから遠く、車で行くと16時間以上かかります。
行って保護して、飛行機でこちらに連れて帰るという形で220頭ほど預かりました。



いまだ仮設住宅に暮らしたり、地元に戻れずにいる人たちが多いので、
飼い主の元に戻れないケースは多いですね。いま、残っているのは9頭かな。

<東北震災時のレスキュー活動>








動物福祉の教育に力を注ぎたい

ロズリン:
動物保護について、日本の現状はどうですか。



エリザべス:そうですね。少しずつ意識が高まっていると感じます。
たとえば、阪神大震災のときは、被災地で活動している動物保護団体は
3つしかありませんでした。
でも、東日本大震災のときはすごく数が増えていました。
また、いくつかの自治体では動物の殺処分がゼロになりました。

ロズリン:そういえば、犬や猫の避妊手術の援助金を出す
自治体も増えていますね。



ただ、困った点もあります。
実は東日本大震災のあと、被災犬を3頭引き取ろうとしたんです。
そうしたら、55歳以上の人は同居する子どもが了解しないとダメだと、
断られました。

けがをしている犬でも、高齢の犬でも、どんな犬でもいいと伝えたのですが、
わが家は子どもがいないので、結局引き取ることはできませんでした。
日本のこういう杓子定規なところは、改善してほしいですね。

エリザべス::あと、日本人は安楽死が嫌いですね。
仏教的、あるいはアジア的なものの考え方なのでしょうか。

私は安楽死は反対ではありません。
最後、病気で苦しみのみが待っているようなら、安楽死を考えます。
でも、日本中には、どのような理由であれ、安楽死そのものを
非難される方もいらっしゃいますね。



そのわりには、保健所に送ることにはあまり抵抗がないようです。
保健所の殺処分は、安楽死ではないですから、とても悲惨なものです。
それなのに…。安楽死についての正しい知識を持ってほしいですね。

ロズリン:これからアークで目指す活動は?



エリザべス:保護できる動物の数には限界がありますから、
今後はとくに教育に力を注いでいきたいと思っています。

獣医や看護師などの専門家、行政の人たち、それから未来を担う
子どもたちを対象に、動物福祉について学ぶ機会をつくり、
広めていきたいと思っています。




元気の秘訣は、早寝早起き&焼酎

ロズリン:いま、ご自身でペットは飼っていますか。

エリザべス:はい。犬が6匹います。私が出張などで長く家を留守にするのを
とても嫌がって、今回は怒って私の靴をズタズタにしてしまいました(笑)。

ロズリン:仕事以外の趣味は?

エリザべス:ガーデニングが好きです。アークのスタッフで
植物好きな人がいるので、花壇の計画を立てて楽しんでいます。
芝とかバラなどは日本の気候に合わないと思うので、
ギボウシなど日本の花が中心です。

陶器も好きです。日本は各地にいい陶器がたくさんあるでしょう。
若いときはいろいろ買い集めましたが、いまはだいぶ処分して。
でも、グラスとか器とか、お気に入りのものをそろえるのは楽しいですね。

ロズリン:アクティブに人生を楽しんでいますね。
エリザベスの元気の秘訣は何ですか。

エリザべス:早寝早起きですね。あと、焼酎が好き。
芋、麦、そば、なんでもいけます(笑)。
これも私の元気の素になっていると思いますよ。



ロズリン:精力的でとても励みになるような話、本当にありがとうございました。


<インタビュー感想>

エリザベス・オリバーさんは、その活動で大変多くの動物を救ったことが認められ、英国のエリザベス女王から叙勲を受勲されています。私は、彼女の現在に至るまでの経緯にとても興味がありましたので、今回のインタビューはとても興味深く、また大変勉強になるものでした。

アークの立ち上げ前、エリザベスは一人で活動しています。彼女は動物に対する想いが強く、一人でも活動する意志と行動力を持っています。今回の話の中で、そういった彼女の人柄が、周囲の方を惹きつけ、アークの活動に繋がっているのだろうと感じました。

エリザベスの話の中で、アークの活動以外でとても興味深かったのは、日本のチャリティーへの意識についてです。私も普段から感じていましたが、日本の方はあまり寄付するという習慣はないですね。たとえば、サンギが売り上げの一部を寄付している盲導犬協会のように、どうしても行政や一般企業活動では補えない、“困りごと”が存在します。動物の問題も、前回インタビューをした鳥居さんの「子供地球基金」がカバーしている災害や戦争を経験した子どもの心のケアも、そのひとつだと思います。

子どものころからの習慣がない方は、すぐにチャリティーについて考えるのは難しいかもしれません。でしたら、社会の困りごとをひとつ、まずは興味をもつことからはじめてみてはいかがでしょうか。私も、現在行っている活動(幼稚園のお手伝い)について、さらに何ができるか、一度振り返って考えてみようと思います。





<エリザベス・オリバーさんプロフィール>

●アニマルレフュージ関西アーク代表
http://www.arkbark.net/

●著書「動物と分かちあう人生」「Rescue!エリザベス・オリバーの動物シェルター」「スウィート・ホーム物語―オリバーさんと、幸せをつかんだ22匹の犬」
http://www.arkbark.net/?q=ja/node/3396

アークでは定期的に東京、横浜、大阪、神戸、
奈良等都市部で里親会を実施しています
詳しくは
⇒ http://www.arkbark.net/