フリーバイオリニストで、サンギが協賛する
 「 東京シンフォニア 」 のメンバーでもある
  横山 久梨子 さん をお迎えしての後編です。







その時を楽しく生きて、仕事をしていく
 
ロズリン:アメリカから戻って来て、どのように仕事をみつけたんですか?
 
横 山 :何のつてもなかったので、音楽とは関係ないバイトをしながら仕事を探していました。
      たまたま縁があった仕事で出会った人が、またほかの仕事を紹介してくれて、どんど
      ん増えて今にいたります。
 
ロズリン:その時、不安はなかった?
 
横 山 :私、性格的にそういう不安ってあまり感じないんです。
      その時その時を楽しく生きている感じなんですね。
      基本的に他人と自分を比べません。他人と比べて自分はどこの位置にいるかを
      考えないから不安も感じません。

      だからいつでも充実しているのかもしれませんね。




ロズリン:すばらしい!良い生き方ですね。
 
      横山さんは、ホテルで演奏活動をしたりミュ-ジシャンのツア-に同行したり、
      演奏家としての活動も多いですが、ライブツアーで大変なことは?
 

横 山 :
バイオリンが一人の時は絶対に間違えられないというプレッシャー。
      あと、ドラムや電子楽器の入るライブの場合、自分の生音は全く聞こえず、
      イヤーモニターから聞こえる音を頼りにしなくてはいけないので、音程も取り
      にくく、弾きずらいというストレスはありますね。


   
               演歌歌手ジェロのツアー


ロズリン:異なる環境での演奏は大変なんですね。でも楽しそう。
 
横 山 :ええ。一緒に演奏する人たちも素敵ですし、しかも終わった後は御当地の
      おいしいものを食べられるという楽しみも ( 笑 )。





ロズリン:ホテルでの仕事はたくさんのレパートリー必要なように思います。
 
横 山 :そうですね。子供が多かったらジブリをやろうとか。
      ムードが必要なら、大人っぽいジャズをやるとか。常にいろんな楽譜を
      持っています。
 

ロズリン:
ジャズも弾くの?
 
横 山 :はい。まだきちんと勉強はしていないんですが、一度ちゃんと勉強してみたい
      と思っているんです。
 
ロズリン:ジャズはくせがありそう。クラシックに悪い影響はない?
 
横 山 :私の場合は、むしろ役に立ってます。
      クラシックだけのときは体ががちがちになってしまっていたんですが、
      ジャズをやってから、ふっと力を抜くポイントがわかり、クラシックもとても
      弾きやすくなりました。
 

ロズリン:今までステージの上で困ったことはある?
 
横 山 :あまりないですが、子供の頃に一つ伝説と言われる大きな失敗があります ( 笑 )。
      ユースオーケストラの最後の公演で、交響曲の一番最後にカッコよく決めるとこで、
      弓を落としてしまったんです。




ロズリン:えぇっ!
 
横 山 :でも床に落ちた弓がうまい具合に跳ね上がってきて、それを見事にキャッチして、
      逆に最後にビシッと決まっちゃったんです。

      演出のようにカッコよかったと今でも言われます。
 
 

ロズリン:
それは印象的です ( 笑 )。
      横山さんは演奏活動の他に、教える仕事もしていますね?
 
横 山 :ええ。実はそういった仕事も大好きで、平日はほぼ毎日教えているんです。
     3つの教室に所属している他に自宅でも教室を開いていますし、生徒さんの家に
     訪問して教えることもあります。
 

ロズリン:一番長く続いている生徒さんはどれくらい?
 
横 山 :10数年ぐらいです。年代は3歳から50代半ばの方まで幅広いです。
      家で沢山練習してほしいと言うと、いやになってしまう人もいますから、レッスンで
      集中して練習すれば、ちゃんと上達できるように教えたいと思っています。

      もちろん練習もできるだけして欲しいですが、演奏を楽しんでもらうことが私の
      レッスンの一番の目的なんです。



            地元のジュニアオーケストラの団員達
      ほぼ毎年、トレーナー講師として夏の強化合宿に参加する




物事に失敗しても、人生を失敗するわけじゃない。
 
ロズリン:横山さんのバイオリンは素敵な色ですね。
      これは結構古いものなんですか?
 
横 山 :はい。私が子供の時に、いい楽器だからと譲ってもらいましたが、1900年頃
      フランスで作られたものだそうです。

      とてもいい音がするので、気に入っていてずっとこれを使っています。




ロズリン:買い替えはしなかったの?
 
横 山 :一度もしていないんです。私の体に対して少し大きいので、先生に勧められて
      他のものを試してみたんですが、これより好きな音色の楽器には会えませんでした。

      こういった楽器に子供のころに出会えるなんて、運命を感じます。
 

ロズリン:どんな人が過去、使っていたんでしょう。




横 山 :わからないのですが、実はユースオーケストラでできた親友が使っていた
      バイオリンが、同じ年代にフランスで作られたものだったんです。

      もしかしたら、当時の友人同士が使っていたバイオリンが時を経て、こんな風に
      日本で再会したのかもしれない、なんて考えたりしています。
 

ロズリン:
そう考えると、とてもロマンチックです。
 
      横山さんがバイオリンを弾く楽しみと、オーケストラで演奏する楽しみは
      どんなところにありますか?




横 山 :やはり私は、バイオリンの音色がとても好きなんです。
      小さい時にはじめに魅かれたのも音色でした。
 
      また、アンサンブルで人と合わせるのが、とても好きですね。
      盛り上げようと思ってるところで、周りと一緒に感情が高まって共鳴すると、本当に
      幸せを感じます。
      オーケストラも大勢の一つ一つの音や個性が集まり、一つの形を作ることがいい
      なぁと思っています。
 


ロズリン:
横山さんは、ご自身も一度音楽をあきらめた経験がありますが、若い方に
       アドバイスするとしたら?
 
横 山 :やりたいことがあったら、やってみればいいと思います。
      私自身、音楽をあきらめて一般大学の受験に挑んで失敗した経験がありますが、
      そのおかげで他の道が開けたし、最初から失敗を恐れて挑戦をやめると、もったい
      ないですよね。

      何かに失敗しても、人生そのものを失敗するわけではありませんから。




ロズリン:
本当にそうですね。今日はどうもありがとうございました。






<インタビュー感想>

  これまでは 「 東京シンフォニア 」 の一員という顔しか知らなかった横山さんですが、
  お話しを伺って、他のステージでの演奏家、また生徒さんに愛される先生という一面も
  見ることができました。
 
  今回のインタビューの中で最も印象に残ったのは、 「 その時その時を楽しく生きている 」 
  という言葉と、横山さん自身のそういった生き方です。
  何かをするときにどうしても人と比べてしまって不安になったり、一歩が踏み出せないこと
  がありますが、横山さんは音楽をあきらめたときでさえ、立ち止まらず前へ進んでいるよう
  に感じました。それはなかなかできない、とても素敵なことです。

  一度あきらめた音楽と再び出会うことができたのも、横山さんの前向きな生き方があって
  こそだと思いました。
 
  これまで東京シンフォニアのメンバーのインタビューを何度かしていますが、メンバー
  それぞれが全く異なる道を通って出会い、今一つの音楽を作っているのだと思うと、その
  音楽がかけがえのないものだと感じます。

  メンバーを知ることで、より彼らの音楽を楽しむことができるように思います。
 
  もし東京シンフォニアのコンサートに行かれることがありましたら、定期開催のシャンパン
  コンサートでは、メンバーとお話しができる時間があります。

  また、このブログの過去のインタビューを読んでから行くと、より楽しめるのではない
  でしょうか。