ドイツ歯科衛生士として活動している
   橋詰 いづみ さん をお招きしての
   後編です。






日本と違うデンタルヘルスの環境の中、予防の大切さを強く感じるように
 

ロズリン:始めてみたら、歯科衛生士の仕事はどういう感触でしたか?
 
橋 詰 :そうですね。一生懸命やっていましたが、私は器用ではありません。(笑)
      自分の強みでカバーしようと考えていました。
 

ロズリン:橋詰さんの強みって何ですか?
 
橋 詰 :患者さんにわかりやすく説明出来ることです。
      難しい単語を使わないことが利点になっているのでしょう。
      なぜその処置や予防法が必要なのか、ということを一般の方にもわかりやすく
      説明するようにしています。
 

ロズリン:日本とドイツのデンタルケアに関する違いはどう感じましたか?




橋 詰 :そうですね。
      一般的に日本は歯の治療だけではなく、長期的将来を予想した予防に見据えて
      仕事をしている先生がいらっしゃいます。ドイツはなかなかそういう先生が少なくて。

      歯科医院も一つの会社。利益を出さないと従業員も雇えない。
      理解はできますが、本来の医療の原点で考えると、今現在も大切ですが、長期的
      将来の予防やアフターケアにも力を入れてほしいと思います。
 

ロズリン:それはそうですね。
 
橋 詰 :ドイツのメンテナンスクリーニングは自費です。
      50分、約1万3千円の費用で、歯を視覚的に美しくしてもらいたい。という気持ちが
      強いのです。

      歯の健康については、プロにクリーニングを任せておけば、後は何とかなるだろう。
      と、他人任せの健康管理感がありますね。
      この様な方は、せっせとクリーニングに通ってきますが、ホームケアが出来ていま
      せん、必ずいつかは治療の予約が入ってきます。

      これからは、歯科医院が利益を得るだけのメンテナンスクリーニングシステムでは
      ダメ。歯科衛生士が患者さんと共に、どう変化しなければいけないのか、その為には
      どう行動すべきなのか、目標を一緒に掲げ、理想は、年2回の検診と短い時間で
      終わるクリーニングのみが続くといいですね。

      患者さんの健康自己管理意識を上げると、医療者の仕事の質も上がるでしょう。
      セルフケアが確実に患者さんの生活の中に浸透していってほしい。
      だから私は、プラーク除去を指導する際、現場で体験をしていただいて自分で
      落とせるようになってから帰っていただいています。
 



ロズリン:それは大事ですね。ドイツの患者さんの特徴はほかにありますか?
 
橋 詰 :フッ素を付ければ、むし歯にならないと思っている人が多いですね。
      それはまったくの間違いです。やはりプラークの除去が大事。

      歯ブラシ、フロス、歯間ブラシとその人の状況にあったものを提案しています。
 

ロズリン:日本には歯科衛生士さんが考案した 「 ペンフィット 」 という、歯ブラシが
      ありますね。グリップがペンを握る時のようにフィットし、ヘッドがとても小さい
      もので、みがきやすいです。
 

橋 詰 :日本は色々な便利なものがそろっていますよね。

      今は歯みがき剤も種類が多い。私は個人的には歯みがき剤は補助的役割。
      ブラッシングでプラークをとれると思っていますが。




ロズリン:それについては、今は昔と状況が変わっていると思います。
      
      確かに研磨剤が入っているものは、使わなくてもいいものもありますが、
      うちの製品のようにミネラルを補給してエナメル質を修復する作用のある
      薬用成分や、歯周病を予防する薬用成分などが入ったものは、歯のため
      にいいと思います。
 

橋 詰 :それはそうですね。
      御社の製品をはじめ、再石灰化を促すものは、もはや歯みがき剤を
      超えていると思います。
 
ロズリン:日本での 「 歯磨剤 」 という名前がもはや違っていると思います。

      うちの製品は研磨剤が入っていないので、「 歯みがき 」 とひらがな表記
      を使うことにしていますが、英語の 「 トゥースペースト 」 みたいに名称が
      変わってほしいです。
 
橋 詰 :本当ですね。




ドイツで、予防に力を入れる歯科衛生士のパイオニアに
 
ロズリン:話は変わりますが、橋詰さんは、ドイツで家の環境はどうですか?




橋 詰 :となりにぶどう畑があり、農村生活です。
      といっても街まですぐの場所ですから、夫の仕事に通いやすい場所ですね。
 
ロズリン:ヨーロッパは都会からすぐのところに田舎があっていいですよね。
      日本は都会から歩いて田舎に出るというわけにはいきませんが。




橋 詰 :そうですね。朝など散歩するととても気持ちがいいです。
      でも街の眺めもいい。この間、フランクフルトマラソンに出ました。
      その時、高層ビルやアウトバーンを見て走るのがすごく気持ちよかったですよ。
 

ロズリン:すごいですね。マラソンされるのですか?
 
橋 詰 :はい。それが初マラソンでした。
      次回は、フランスのアルザス地方であるハーフマラソンに出ます。

      ワインの産地を飲んで食べて巡るというもので、5キロ走るとそこでワインとチーズ
      を食べ、また5キロ走ると、違う場所でワインを飲むといったぐあい。
      すごく楽しみです。



       
      後日、写真を送っていただきました!


ロズリン:すばらしい企画ですね ( 笑 )。 毎年日本に帰ってくるのですか。
 
橋 詰 :はい。6歳の娘と、9歳になる息子を連れて、2回日本に帰国します。
    
      日本へ帰るとたくさん訪れたい所があります。
      今回は、姫路城や吉本喜劇のライブ。宝塚劇場、坂本龍馬の記念館などを
      予定しました。

      いつもリストを作って日本へ帰国します。大体が、日本独特の歴史を感じる事が
      メインですね。
      海外に住むようになると、日本の歴史をより知りたいと感じるようになりました。
 


ロズリン:で、若い時にあこがれていたバレエは、まったくやってないのですか。

橋 詰 :はい。まったく。
      やはり体を動かしたくて、以前少しだけやったことがありますが、どうしても昔と
      同じレベルを自分に望んでしまい、それは体力的にも精神的にもつらいので
      やめました。バレエの公演も見に行きません。

      バレエをケガで断念したことは、やはりとても悲しいことでした。
      でもあの時期や体験があったから今の私がいるのだと思っています。





ロズリン:そうですね。今の橋詰さんは、自分にあった道を見つけて、とても輝いています。
      今後、何をやりたいですか?
 
橋 詰 :はい。希望ですが、歯科医師の姿勢や経営方針にとらわれず、フリーな立場で
      仕事を始めたいです。

      ドイツと日本の両方の良さを知っている。
      それを武器に、ドイツで新しい歯科衛生の仕事を開拓したいと考えています。

      そして、ドイツのみなさんのお口の健康の手助けができればと思います。
 
ロズリン:今日は本当にありがとうございます。
      ぜひがんばってください。





<インタビュー感想>

ブログ連載では大変お世話になっていながら、実際にお会いしてじっくりお話ししたのは
これが初めてでした。
 
言葉はなく、体で表現する 「 バレエ 」 というまったくの異世界から歯科衛生士へと転向
した橋詰さん。
いきいきと語るその姿から、人とコミュニケーションを取ることが大好きな彼女にぴったり
の職業なのだと思いました。
 
日本では予防歯科に力を入れる歯科医院が最近は増えてきましたが、ドイツではまだ
そうでもないという事実に少し驚きました。

パワフルな橋詰さんならば、きっとそんな先生方を納得させ、予防歯科の観点から、
ドイツの方々の口腔衛生の向上に一役かえるはずです。

日本からも応援しています!