日本に来たのも、ワインの輸入販売もすべて偶然の出会いから
 
元はオーストラリアの鉱山技師。いまは、日本でワインの輸入販売会社
「 ヴィレッジセラーズ 」 の代表をしているリチャードコーエンさん。
40年前に来日し、紆余曲折を経て、ワインの輸入販売業で成功するまで
の軌跡を伺いました。
 

 
きっかけは、図書館でみつけた日本の本
 
ロズリン:リチャードはオーストラリア出身で、日本にきた時期も約40年前と、
      ほぼ私と同じなんですよね。
 
コーエン:そうです。若いころは、まさか日本で暮らすことになるとは
       思ってもいませんでした。
 

ロズリン:なぜ日本にきたんですか。
 
コーエン:大学で鉱山学を学び、オーストラリアの中心部にある鉄鋼の鉱山で
       働いていました。そのときインドネシア語の勉強がしたいと思ったんですね。

       ところがそこは田舎で本屋もなく、いちばん近い町まで1000キロ以上。
       図書館にあった語学の本が唯一、日本語の本だった。
       こんな偶然の出会いが、日本と縁が結ばれた理由なんです ( 笑い )。
 
ロズリン:その本で、日本語を勉強したんですか。
 
コーエン:ええ。語学の本といっても文法書ではなく、日本語が読み書きできる人のための
       本だったんですが、とにかくそれしかないので暇さえあればそれを読んで自習
       しました。

    

       その後、いったん大学に戻り、大学のランゲージサポートというシステムで
       日本語を勉強したら、はまってしまって。
       ぜひ日本に行って勉強したいと思い、内定していた鉱山会社に
       「 1年だけ休ませてもらえないか 」 とお願いしたら、日本との商売が多い会社
       だったので、「 行ってこい 」 とお金を出してくれまして。

       それで日本で語学学校に入りました。


ロズリン:日本のどちらでしたか。
 
コーエン:東京渋谷です。当時は宣教師が多かったですね。
 
ロズリン:日本語の勉強はいかがでしたか。
 
コーエン:1年では満足できるほどのレベルにはならず、会社に相談して結局2年、
       学びました。
       最後の6か月はマンツーマンでの授業で、とてもハードでした。
       その後、オーストラリアに戻り、鉱山会社で8年間働いたんです。




ロズリン:お仕事で、日本語を使う機会はありましたか。
 
コーエン:しょっちゅうありましたね。
       鉱山のほとんどに日本からのバイヤーが来ていましたから。

       日本語ができる人が少ないので、日本人が来るときの案内係を任される
       ことも多かったです。
 
 

勢いのある国、日本に興味津々
 
ロズリン:次に日本にきたのは?
 
コーエン:そのころ日本で知り合った女性と結婚しまして、妻はオーストラリアの生活に
       満足していたのですが、私が日本に行きたい、と。

       妻の父親が金属関係の製造会社を経営していたので、いっしょに働かないか
       と声がかかったのをきっかけに日本に来ました。
 

ロズリン:
日本のどこが魅力的だったの?

   


コーエン:当時の日本は世界の経済をリードしていて、すごい勢いがあった。
       それが面白そうだと思いました。
  
ロズリン:そのときは日本のどこですか。
 
コーエン:妻の父親の会社の本社が東京、工場が富山にあり、どちらがよいかと
       聞かれて、迷わず富山、と。山もあるし、魚もおいしいから ( 笑い )。
 
 
ロズリン:でも今はワインの輸入販売ですね。
      それをいつ、どのようなきっかけから始めたのですか。

コーエン:
しばらく富山の工場に勤め、なじんできたころ、妻の父親が亡くなりました。
       そうしたら、それまで実家の仕事は継ぎたくないと言っていた長男が
       「 やりたい 」 と戻ってきまして。

       それで、私は重役として残りながらも、自分で会社を設立し、自分たちの
       工場で作った製品やその周辺のものを、オーストラリアの鉱山に売る仕事を
       始めたんです。
 
       大手に対抗するため、私が自ら各鉱山を回り、細かく話を聞いて、
       「 こういうところに困っているんだ 」 と言われたら 「 それじゃあこういうもの
        ができるんじゃないか 」 というように提案していく。

       そんな形が功を奏して、事業は大成功。
       しばらくはすごくうまくいっていたんですけど、途中でジャパンバッシングが
       始まって。
       日本の経済的な成功があまりにすごいので、負けている国が日本の車を
       ハンマーで壊したり、などということが頻繁に起こるようになったんです。

   

      それで、日本の製品を売り込みに行くと、「 喉から手が出るくらい欲しいん
      だけど、日本のものは買うなと本社から言われている 」 と…。

      そこで、 「 うちは輸出するだけでなく輸入もしていますよ 」 というアピール
      を兼ねて、ワインの輸入を始めたんです。
 

ロズリン:
なるほど! そこでやっと ( 笑い ) ワインに行きつくわけですね。
      それでは後編で、ワインのビジネスについてもう少し詳しく聞きましょう。