ワインの輸入販売会社 「 ヴィレッジセラーズ 」 の代表をしている
 リチャードコーエンさん をお招きしての後編です。


コーエン:実はワインに行きつくまでに、ほかの工業製品の輸入も手がけてみたんです。

      たとえばオーストラリアでは一般的な赤ちゃん用の椅子。
      ばねが入っていて、赤ちゃんが足でとんとん蹴って弾む楽しい玩具で、安全だし
      安いんです。

      近所の人に紹介すると、みんな喜んで買ってくれる。
      これは売れるなと思って流通に乗せようとしたら、これだけの大きさがあるのに
      こんなに安いと商売にならない、と。
      同じ大きさならオルゴールをつけるなどして付加価値をつけて、もっと値段を高く
      設定しないと取り扱えないと、結局うまくいきませんでした。
 
      ほかにもいろいろチャレンジしてみたんですけど、ちょっといい工業製品を持って
      くると、日本は技術が優れているから、あっという間に真似して似たようなものを
      作ってしまう。

      なかなか条件のよいものに巡り合えませんでした。

   

      そこで、ワインを思いついたんです。
      オーストラリアワインならオーストラリアでしか作れない。
      瓶にワインをつめるだけだから、いわゆる付加価値のつけようもない。

      それで、ワインを輸入し始めたら、すぐにうまくいきました。
 
 
 
富山でワインの輸入を開始
 
ロズリン:おもしろいなと思うのは、本社はそのまま富山なんですよね。
      ワインの輸入販売というお仕事としては、地方に本社があるというのは
      めずらしいんじゃないですか。

コーエン:そうですね。
      でも、富山だからこそ成功した部分は大きいと思います。
      まず、富山が本社だというと、みんな不思議がるんです。
 
      さらにうちが酒類輸出入販売免許の名前に、もともと造り酒屋をしていた知人の個人名
      を使っていたこと。
      その家はとっくに酒は造っていないのですが免許はずっと守ってきていて、それを借りて
      ワインを輸入したいと相談したら、どうぞと受け入れてくれたんです。

      そのおかげで、ふつうOO物産とかなのに、めずらしいというのでみんな興味を持って
      くれて、しょっちゅう取材の申し込みがあったんです。
 
      媒体に名前が載ることで、かなり信用がつきました。




               富山のヴィレッジセラーズ本社




ロズリン:お客さんは、東京など首都圏のレストランやホテルが中心ですよね。
      流通の問題はいかがでしたか。
 
コーエン:当時は、荷を積んだトラックが夕方ごろ富山を出発すると、朝の3時か4時ごろ
      には東京に着くわけです。 その時間なら道がすいているので、東京の近くから
      昼間荷を運ぶよりも早かったんです。
 
      また富山は鉄鋼の町、住宅用のアルミ建材を横浜の港に運んだ後、帰りの
      トラックは空になる。
      そこでオーストラリアから輸入してきたワインを載せてもらうことなった。
      だからこそ、コストが安く抑えられたんです。
 
      そのうえ営業面でも、こちらが富山だというと、それならばしょうがないと、営業
      も足を運ぶのではなく、電話ですませやすくて。
 
      富山ならではのメリットは、いろいろとありましたね。
 
 
ロズリン:扱っているワインは、オーストラリアワインだけですか。
 
コーエン:いいえ、オーストラリアが中心ですが、そのほかニュージーランド、北米、
      チリ、アルゼンチンなどのワインも扱っています。

      ヨーロッパは、シャンパンだけです。
 

ロズリン:
国によって、どんな特徴がありますか。

 

コーエン:オーストラリアワインは、非常に健康的なブドウの味が楽しめます。
      それだけ味が強いので、フランス料理などとは合わせにくいかもしれません。
 
      ただ、ワイン製造の技術が発達し、今はどの国でもいろいろなスタイルのワイン
      ができるようになったんです。

      それで、たとえばオーストラリアでも、もう少し味を控えめに、香りをよく出した
      ワインが欲しいなどと注文すれば、十分応えられるんですね。

      その意味では、国ごとのワインの特徴は薄れてきていますね。
 

ロズリン:私が日本にきたころは、ワインは赤玉くらいしかなかったので、仕方なく
      オーストラリアから取り寄せて飲んでいました。
   
      でも、しだいにワインを飲む人が増えてきて。
      最近は、銀座あたりでも、ワインバーは多いですね。
 
コーエン:そうですね。
      でも、実は日本のワインの消費量はそんなに上がっていないんです。
      東京の一部では増えているように感じますが、全国でみるとそれほどでもない。
  
      ただ、世界レベルではワインの消費量はぐんぐん伸びていて、アメリカでは
      この数年で消費量が倍になりました。



            


ロズリン:リチャードご自身は、どんなワインが好きですか。
 
コーエン:年とともに好みが変わってきました。
      若いころはパワーのあるワインが好きでしたが、いまは熟成感のあるやわらかな味
      のワインが好きです。品種でいうと、ピノノワール。

      あと、シャンパンかスパークリングワインが好きです。
 

ロズリン:毎日、飲んでいますか? ワイン以外のお酒は。
 
コーエン:はい。妻と二人で毎日飲んでいます。

       ワイン以外ですと、日本酒は飲みますね。和食を食べる機会が多いので。
       というのも最近は、和食の店がワインを取り入れるケースが増えてきたんです。
     
       前は、和食には合わない、などと言われたりしましたけれど、考え方が変わって
       きたんですね。
 
ロズリン:たしかに、和食とワインはよく合いますよね。
      私もワインは大好きなので、今日のお話はとても興味深かったです。

      ありがとうございました。




 <インタビュー感想>
 
   サンギも輸入商社としてスタートしましたが、創立当初はヨーロッパからワインを
   輸入していた時期もありました。

   その当時の日本には本当に赤玉ワイン位しかなくて。
   赤玉ワインは砂糖が加えられていてとても甘いので、普通のワインに馴染みのなかった
   日本人には、なかなか受け入れられませんでした。
   腐っているのでは?という問い合わせもあったくらい。今では嘘のような話ですね。
 
   鉱山技師からワインビジネスへと、コーエンさんの経歴もまたユニークですね。
   たまたま見つけた日本語の本との出会い、奥さまとの出会い。
   そして富山という地の利に活かされたビジネス。人生とは本当に思いもよらなかった
   方向へとゆき着くものですね。
 
   コーエンさんの言うとおり、最近は和食のお店でもワインを楽しめるようになりましたね。
   何げなく飲んだワインが、ヴィレッジセラーズの輸入した
ワインかもしれません。
 
   オーストラリアでは友人同士集まれば、美味しいお食事とワインを囲みながら5時間、
   6時間とゆっくりと語り合うのが普通です。

   これから秋を迎える日本には美味しい食材が並びますね。
   皆さんもワインとともにゆっくり楽しんでみてはいかがですか。