津久井智子さんという知り合いがいて、彼女は消しゴムの表面を彫って、それを版画のように紙に押しつけてイラストや絵を描くことを仕事にしています。彼女はその技法を「消しゴムはんこ」と呼んでいます。:**:
 
 消しゴムに彫刻刀で画像を彫りつけて、その印影を紙の上に表す技法は、多分以前からあったはずです。私は絵が下手なので、そういうことをやろうと思ったことはありませんが、絵のうまい子供であれば、消しゴムに絵を描いたり彫ったりすることはあるでしょう。彫った絵にインクをつけて紙の上に押しつけるようなことも、あったはずです。:wink:
 
 しかし、その技法を芸術の域にまで高からしめたのは、彼女の功績だと思います。その彼女に注目して、消しゴムはんこの本を最初に出版するように手配したのが私の家内だったということで、先日彼女の活動の10周年を記念するイベントに行ってきました。:heart:
 
 麻布で行われたそのイベントの会場には、消しゴムはんこで作成した彼女の作品が展示してありました。消しゴム1個の大きさだと小さいイラストしかできませんが、彼女の技術も進歩して、最近では比較的大きなゴム版に画像を彫って、大きな紙の上に印刷するようにもなっているようで、襖絵か屏風絵のような大作も飾ってありました。:-P




 何色もの色が出るように、重ね刷りをしているのだそうで、とても消しゴムを押して描いたとは思えない、華やかな図柄が実現されていました。:**:




 どこかのカルチャーセンターで技法を教えているということで、そこの教室に出席している人たちも来ていました。私のような絵心のない人間にはとても無理ですが、消しゴムはんこによる美しい作品を作る人がこれからも出てくればいいなと思いました。:oops:




 「消しゴム」という言葉が日本で使われるようになったのは、西洋からこの製品が入ってきた明治以降です。鉛筆で書いた字をゴムで消すのですから、「消す」と「ゴム」を組み合わせて「消しゴム」あるいは「ゴム消し」という複合語が作られたと考えて、問題はないでしょう。:-D
 英語で消しゴムのことを eraser と呼ぶというのは、中学で教わります。ただこの言葉だけであれば「消すもの」という意味を表すだけで、ゴム製のものだということは分かりません。実際、黒板にチョークで書いた字を消すための道具も eraser といいます。
 辞書で調べて見たら、イギリスでは消しゴムのことを rubber というのだそうです。これは「ゴム」という意味を表す言葉ですから、字を消すための道具だということは分かりません。:roll:
 
 フランス語では、消しゴムのことは gomme à effacer と言い、これは「消すためのゴム」という意味です。だとすると日本語と同じなのですが、普通は gomme<ゴム>と言い、これだとイギリスと同じです。
 
 ドイツ語を調べてみると、消しゴムは Radiergummi と言い、まさに日本語の「消しゴム」と同じです。とは言え、フランス語やイギリスの英語と同じように Gummi<ゴム>だけでも消しゴムという意味を表すことができるのだそうです。:idea:
 
 日本語では「ゴム」と言えば材料を意味するだけで、字を消すためのゴムだけを表すということはありません。欧米にもゴム製品はたくさんの種類があるはずなのに、どうして「ゴム」だけで消しゴムを意味することができるようになったのか、不思議なところです。:hahaha: