ところで、:roll: ウマは昔から、戦争、荷物の運搬など、ヒトの生活に
深くかかわってきました。
 
ウマの売買には、昔から前歯切歯 ) のすり減り方で年齢を
確認することがよくありました:!!:

今のように、昔は血統書:**:なんてありませんでしたから、売る方は
より高く馬を売るために、買う方は騙されていないかを確かめるために、
切歯で年齢を確認するのが常でした。
 
ウマの歯には、草食動物の多くに見られる歯冠セメント質という
構造があります。
 
:chin: 私たちの歯の表面は、水晶:**:と同じ硬さをもつエナメル質という
構造でおおわれ、その下にある、象牙質歯髄を保護しています。

 
草食動物の歯の表面は、エナメル質の上にさらに歯冠( 充填 )セメント質
という構造で覆われています。
 
セメント質は歯根表面にあって、歯根膜という靭帯がセメント質と骨に
橋渡しをして歯根を顎の骨に支えています。

これは歯根( 支持 )セメント質と言います。

歯冠セメント質はこれと同じ組織ですが、草食動物の歯冠にある
襞状( ひだじょう ) の構造を埋めるように エナメル質 全体を覆います。
 
ウマは、切歯で草を切り、口の中へ運びます。

このために年齢とともにすり減って、セメント質がなくなり、エナメル質も
なくなり、象牙質が表れてくるので、その切歯の減り方を判断して年齢
推定してきました:heart:
 
まぁ、:ase: 大体はあっていますが、前歯で柵などをよくかじる、歯ぎしりをするなど
かむ癖 」 のある個体では、年齢の割には切歯のすり減り方が
激しいかもしれません。
 


昔からウマの寿命は前歯のすり減り方で 8-) 判定しています。


     
乳歯です。                      永久歯に交換します。



 
 第3切場 ( ) に溝がみられる       溝は歯の真ん中くらいまで出てきます。
 ようになります。




 溝は歯冠全体に見られ、切歯の傾斜が強くなります。


久々に、「コメント投稿」でご質問いただきましたので、この場で
お返事させていただきます:heart:

関西の動物看護士の方から、今後出張診療の予定があるのか、
セミナーの開催予定は無いのかとのご質問をいただきました。

私はご存知のように紹介診療を行っておりますので、出張診療も
個人的な内容を含む為、:ase: 予定はお知らせできません。

またセミナーにつきましても、この場でお知らせできるものはありませんが、
動物の看護士対象のセミナーはいろいろと開催されていますので :wink: 
WEBサイトなどでお調べになってはいかがでしょうか:!!:

乗馬をする私にとっては身近な動物、ウマの話です:heart:
 
皆さんのなかにも、乗馬を楽しむ方、馬には触らないけれども、
競馬を楽しむ方もいらっしゃるので、ウマを身近な動物として
感じられている方もいらっしゃるかもしれません :mrgreen:
 
ウマ寿命をご存じでしょうか?
平均的に2535年といわれていますが、40年以上のウマの治療
をしたという友達もいます 8-| (アメリカの話ですが)。
 
競走馬のほとんどは サラブレッド:**: あるいは アラブ:**: という種類ですが
( 一般に hot-blooded group )、生まれた年の馬を当歳馬その後歳馬
2歳馬とし、競走馬として走る練習を始めるのは
歳後半歳馬 ( 生まれ
てから3年目 ) から 年齢限定のレースに
出走できます。
 
4歳馬までは、年齢差が出ることから年齢限定のレースになります。

競走馬として完成するのは、5~6歳くらいなので、それ以降は何歳でも
出走できます:!!:
 
ただし、その年齢がピークとも言え、それ以降は体力的に下り坂となるので、
遅咲きの馬でもせいぜい7歳引退することが多いでしょう。


それに比べて、乗馬、特に優れた馬場競技ウマは、15以上で
あることが多いです。
 
乗馬は、大きくわけて障害飛越:**:馬場:**:総合:**:3種の競技がありますが、
すべて人が調教して技術を教えなければなりません。

そのために、:roll: 競技馬として完成するのに時間がかかります。
 
競走馬サラブレッド ) として訓練を受けても、性格けが病気
年齢などの理由で、乗馬用の競技馬に転向する場合がありますが、
競技馬に呈しているといわれれる品種は、セル・フランセ種ハノー
バー種
など ( warm-blooded group ) です。


 
       セルフランセ種                 ハノーバー種


一般に、動物の寿命1年人間の4年分と同じと言われていますが、
乳歯がすべてそろう年齢 ( 乳歯列の完成 ) 、平均的な永久歯の生え換わり
時期 ( 人の智歯=親知らずを除く )、性成熟 ( 発情を伴う排卵/射精が可能と
なる時期:妊娠適齢期ではない ) を実年齢で比べてみると、イヌネコは初めの
1年で人の12くらい成長してしまいます。
 
人の寿命70年として、犬の寿命15年くらい、18年くらいと考えると、
2年以降1年は、3~4年に換算できるでしょう:!!:
 
ウマは、初めの1年6年、次の年から1年3~4年と考えられます。
ウマなどの草食動物犬歯をもちません。生えてもウマ犬歯のように
とても 小さく:ase: 武器にはなりません。)
 
        乳歯列の完成年齢    永久歯の交換時期(智歯を除く)   性成熟
ヒ ト              2 歳齢                          6~12歳齢                    12~13歳齢
イヌ・ネコ       2ヶ月齢                          5~7ヶ月齢                  6~8ヶ月齢
ウ マ             8ヶ月齢                          1~4歳齢                    12~18ヶ月齢
                          (痕跡的な犬歯は5歳齢)

 
ウマは、相対的に歯の成長はゆっくり、別の言い方をすれば、性成熟が早いといえます。
これは草食系動物特徴といえるかもしれません。
 
ウマに限らず、草食動物は、草をすりつぶすときに歯の表面が一緒に擦られるので、
歯がすり減りやすく、それを補うかのように、動物によって、永久歯完成に数年
時間が要する、あるいは一生伸び続ける歯をもつなどの特徴をもっています。
 
歯の成熟 ( 歯根根尖の閉鎖 ) と 老化 ( 歯髄腔の狭小化 ) は動物の寿命とも
関係していることですが、比較的寿命の長いウマの永久歯は、20歳以上になるまで
1年約3~4mmずつ伸びて歯が成長
するといわれています:!!:
 
 





:roll: さて、カンガルーによく見られる病気についてお話しましょう!
 
カンガルーによく見られる病気は、通称、LUMPY JAW
ランピージョー ) と呼ばれます:!!:
 
この “ LUMPY ” というのは、“ こぶだらけの、でこぼこした、
不格好な ” という意味で、 “ JAW ” は “ あご ” ですから、
この
病気では、顎がでこぼこしてしまいます。
 
これは、もともと ウシ に見られた病気で、ウシ の口の粘膜の傷から
土壌中にある放線菌という細菌が組織の中に入って 膿瘍のうよう
うみ ) を作り、それがこぶのように見えるために呼ばれた名前です。

動物の口や鼻の中には、放線菌という細菌は常に見られ、何らかの
理由で、ある量の放線菌が体の中に侵入すれば、ウシ 以外の ヒツジ
ヤギウマイヌブタ などにも、また、口や鼻以外の体のいろいろ
な所に感染症を引き起こすことがあります。
 
ウシLUMPY JAW の原因は、硬い草、乾草の中の異物
( 金属片やガラス片など ) によって、口の中の粘膜についた傷から
放線菌が入って増えるためと考えられています。

 
:wink: ウシ は、ヤギシカラクダ などとともに、つの胃をもつ
動物
ですね。
 
ウシ はまず食べ物を 第1ミノ )にため込んで、あとで、固形分
だけを口に戻して ゆっくりと 噛み直し反芻 します。
片っ端から草を口に入れるのですが、このときはあまりよく噛まずに、
草と一緒にいろいろなものを 1胃 にため込んでしまいます。
 
口に戻せる固形分は、草で、いわゆる “ ゴミ ” は戻せないので、
1胃 に溜まってしまいます。
学生の頃に、傘の柄、丸い針金、小さな石などが 1胃 から出てきた
のを見てびっくりした覚えがあります。
 
=:[ こんなものを呑み込む時に、口の中を傷つけることもあります。

 
ウシのように 集団で生活する動物 の中に1頭でもこの病気にかかると、
その牧草地や遊牧地がこの細菌で汚染されると、すぐに広まってしまう
ことから、できるだけ早く病気を見つけて、その病気の個体を 隔離 して、
蔓延を防ぐ必要があるといわれています。
 
病気自体は、早くに発見できれば、抗生物質の投与で治療できると
いわれています :!!:

長引くと、集団まるごと感染してしまうこともあります。
そうなると、抗生物質で治療した牛や羊のミルクや肉は、我々が口に
することはできませんから、酪農家にとっては大損害です。

 

ウシLumpy  Jaw 。 ほっぺたが膨らんでいる ( 矢印 ) のがわかりますか?
 
 
動物園の カンガルー にみられる LUMPY JAW は、顎がでこぼこする
症状に変わりませんが、 「 細菌の種類が違う 」 、 「 歯茎から感染が
始まることもある
」 、「 歯が交換する時にもみられる 」 など、ウシの病態
とは少し違って、歯槽膿漏 ( しそうのうろう ) に 似た病態を示しているように
思ったことがあります。
 
動物園では、「 カンガルーを複数の個体で飼育している 」 、「 広い所に
捕食関係のない動物と一緒に放し飼いにしている
」 、「 常に口の中を
観察できる状態にない
」 などの環境にあるので、この病気が広がるのは
簡単です。
 
土を入れ替える、病気の カンガルー を別にして治療しながら飼育する
などの工夫をしなければなりません :!!:
 
とにかく、早くに治療を始めて、慢性化させない努力が必要といわれています。
獣医歯科専門医の仲間に、カンガルー LUMPY JAW ついて相談
したことがありますが、 :| どこの国の先生も困っている病気のようです。
 
LUMPY JAW は オーストラリア や ニュージーランド で野生に生息する
カンガルー ワラビー にも見られる病気です。
 
人間の食べ物を食べてしまうのが原因だという人がいますが、必ずしも
そうとは限りません。
それより、自然界にはない異物や、いつもは口にしないような硬い茎や木片
口にして口の中に傷を作ってしまうことが原因と考えるほうが妥当でしょう。
 
:roll: 野生では、完全にしっかりと治りきるまで治療することがなかなか
難しいようです。


:-D  今シリーズのトップバッターはカンガルーです:!!:
 
ご存じのように、カンガルーは有袋類 ( ゆうたいるい ) のなかまで
( おなかに袋をもつ動物:コアラフクロキツネ ) 、独特の進化を
遂げたといわれ、現在ではオセアニア:**:を中心に生息しています。
 
現在はこの有袋類というグループ名はなくなり、カンガルー目
 ( 双前歯目とも呼ばれる ) と呼ばれていますが、カンガルー目の
中には、ワラビーコアラウォンバットポッサムが属しています。
 
カンガルー目の特徴は、下顎に大きな長い前歯:**:があること ( 上顎には
6本切歯:**:があります ) と、の薬指と中指が癒着 ( ゆちゃく=くっつ
いている ) していることです。

:roll:  この指の癒着は、木登りに適応した形質と考えられています。
 
おなかに袋 ( 育嚢=いくのう ) を持つ以外にも、他の哺乳類にはない
特徴をもつ動物だそうです。

― 有袋類のメスのほとんどはおなかに子供を育てる袋を持っていること、
完全な胎盤を持たないこと、左右子宮を持つこと、睾丸(こうがん)
ペニスの前にあること ― 
 
また、妊娠期間が相対的に短く、出生時の個体はかなり小さいことも
特徴のひとつです。
 
たとえば、カンガルーの赤ちゃんはとても小さくて、アカカンガルー
赤ちゃんの体重は1g以下といわれています:heart:
おかあさんの体重の0.0033%ですよ!

我々人間は、お母さんの体重50kgとしても、赤ちゃんの体重は
2.5~3.0kg
くらいですから、5~6%と概算されます。
 
この小さな小さな赤ちゃんは生まれてすぐに、お母さんの袋 ( 育児嚢
の中に一生懸命:heart:自力で登って行ってそこで乳児期を過ごします。
袋の中にはお母さんの乳頭があるので、赤ちゃんは袋の中でおっぱいを
飲んで育ちます。

いつまで袋の中にいるかは種によって違うといわれています。



カンガルーの赤ちゃん:**:です。 ( 写真左 ) 袋の中でおっぱいを飲んでいます:heart:
成長した姿はとても想像できませんね。
 
成長や生活についても興味深いことがいろいろあるようですが、歯のことに
話題を移します。

以前、歯の交換のタイミング、交換時の乳歯と永久歯の位置関係について
少しお話したことがありましたね。
 
わたしたちや犬や猫は乳歯の下、あごのやや内側から永久歯が生えてきます。

ところが、カンガルーは、マナティーのように、口の奥から前に向かって、
ベルトコンベアーの様に歯が移動しながら生えます。

それと、乳歯永久歯に変わるのは、小臼歯動物前臼歯といいますが、
小臼歯と同じです ) は、1本だけだそうです:!!:
 
カンガルーの口の中に最初に生える歯は、この 「 乳臼歯 」で す。

その後、この乳臼歯の永久歯に当たる 「 第1前臼歯 」 が生えてきます。
さらに、成長が進むと、永久前臼歯の後ろから 「 第1後臼歯 」 が生えてきます。
 
約6歳くらいで前臼歯が抜け落ちて、口の中には4本臼歯が生えそろう
といわれています。
 
切歯永久歯 乳歯は生えていませんから、生えてきた歯が永久歯
ということになります ) で、上顎左右3本ずつ、下顎左右に大きな1本
見られます。 ( カンガルー目の別称である双前歯目とは下顎のこの大きな
2本切歯を指します )
 
カンガルー草食動物ですから、口の中に犬歯は見られません。
臼歯の形は草食に適応した、大きな前後に2咬頭ある形 ( 歯が2つの山
でできているようにみえる ) をしています。
 
カンガルー目の歯の特徴でした!

:chin: 次回はカンガルーによく見られる病気について、お話を進めます。

味覚の話の続きですが、昨年の12月にインドネシア
コモド島:**:周辺にダイビングに行きました:heart:
 
コモド島はご存じなくても、一番大きなトカゲ として知られる
コモドドラゴン ” は聞いたことがあるかもしれません  :roll:
 
船の上から浜辺をゆっくりと歩いているのを見ると、ワニのように
見えました。
このトカゲの仲間もそうですが、よく舌をぺろぺろ出している
のを見たことがありませんか?

犬や猫と違って空気中の匂いを直接嗅ぐのではなく、舌を出して
舌の上の唾液に触れた、空気中の匂いを感じるようです :!!:


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唾液中の消化に関わる酵素は、動物にとって食べるものや味覚に
関係していると考えられています:!!:
 
わたしたちは、唾液の中に澱粉を分解するアミラーゼという酵素
持っていますので、ご飯を噛んでいると 甘み:**: を感じるようになりますが、
食肉動物ウシ科の動物には唾液中にアミラーゼがありませんから、
でんぷんを長く噛んでいても 甘み を感じることはありません:roll:

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:mrgreen: 唾液がいろいろな刺激で分泌されることは、皆さんもよく経験
されることでしょう。

梅干やレモンのことを考えただけでも、口の中に唾液が出て
きちゃいますよね:heart:

おなかがすいているときに、美味しそうな匂い:**:がしてくると
それだけで唾液が出たり・・・・・。


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健康な体が作る唾液の中には、いろいろな酵素免疫グロブリン*
(抗体の一部)、カルシウムリンなどのミネラル成分などが含
まれています:!!: 

酵素は、主に、消化に関わるもの菌作用をもつものがあります。
 
人の唾液中の抗菌作用をもつ酵素には、リゾチームペルオキシダ
ーゼ
ラクトフェリンが古くから知られていますが、リゾチームペル
オキシダーゼ
の酵素単独では、ほとんどの病原細菌の細胞壁を壊す
ことはできないようで、口腔内の役割についても、各種動物の唾液中
の有無についてもあまりよくわかっていません。:roll:

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唾液の成分がプラークのもとになるバイオフィルムを作る話
をしましたが、動物の唾液成分働き分泌の機序(しくみ)
について、何回かにわたってもう少しお話しますね:wink:
 
まだ分かっていない、あるいは調べられていないことが多いので、
はっきりとしたことはわかりませんが、教科書や論文で発表されて
いる内容で、わかる範囲のことをお伝えします:!!:

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